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「ああ、もういいよ、ほっといてよ」
そう言って全て投げ出したくなることがこの季節になるとよくある。
それは、あのギラギラ輝く太陽がいなくなったせいなのか、
肌寒い木枯しがいつもより冷たいせいなのか。
でも、知ってた投げ出してしまえば毛布がないと眠れなくなること
街のネオンが赤や白でいっぱいになる頃寂しくて堪らなくなること。

繋ぎ止めておかなきゃいけないかどうかを決めるために神様がくれた大事な時間が
自暴自棄と消失感に襲われて周りが見えなくなってる自分に猫騙しをしてくれる。
でも、脆くて淡いものほど小さなくしゃみで吹き飛んでいってしまう。
あーあ手の届くところにboxティッシュがあったらな.......

顔の周りが涙でぐちゃぐちゃだ、
あれどうしてだろう。

風邪引いたのかななんて言ってる間に忘れていく。
缶チューハイでも飲んで眠りについて、朝になればけろっとした顔で
また、玄関を後にする。
「心地いいかもね、肌寒いのも。」銀杏の葉がそう呟く。

気がつけばめくり忘れたカレンダーが霜月の訪れを告げる。
落ち葉と忘れてしまった記憶が増えたことに気が付く。
少し分厚いコートを羽織ることが心地よくなってきたな、なんて言って。
去年と同じだ、多分そう、来年もずっとそう。
残暑が拭いさられた時から、あっという間だった。
街はどこか満足げな表情を浮かべてる。

「もう、飽きたよ、ありがとね。冬は乗り越えれそう、一人で。」


2020_06_11_am09:01

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