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咽び帰るほど蒸し暑い陽炎、
溶けかけのアイスキャンディ
何も買えないのに握り締めたがまぐち
どこか涼しげな風が吹き込む祖母の家

今日、曽祖母の十三回忌だ。亡くなったのはいつだったっけ、
えーと13年前だからああそうだ、まだ小学生の時だったっけ。
棺桶に花を敷き詰められ旅立つ故人、大きな窯で燃やされ跡形も亡くなった。
こみ上げてきた涙を何故か自然に堪えたのを覚えてる。
あと、式場で食べたご飯は冷たくて美味しくなかったことを。

気づけば十三年も経っている。時間の経過はすごい色んなことがあった。
酸いも甘いも、ほろ苦いも色んなことが。

でもどこかで、
亡くなったのに無くなってなかった。
どこかで寄り添っていてくれてる気がしてた。
あのどこか悪戯な笑みも優しい表情もあったかい腕の中も。

それから数日後、家の近くだったから、一人だけでお墓参りに行った。
あと数本のタバコを握りしめて....
肺炎で..だったからバチが当たるかな、って思ったけど、
なんとなく嘘はつきたくなくて。
あの日、堪えた涙がどういう意味か、知りたくて、

肌寒い風が吹き抜ける夏の終わり
今もこの先も胸のどこかに
正月に味わった栗金団の甘み
あの頃よりも僕は少しだけ大人に

2020_06_10_pm6:59

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