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壁におもいっきり足の小指がぶつかった。
「いっってぇぇぇ」
寝ぼけ眼を擦りながら、よろけながら、
薄暗い廊下で立ち止まって考える。
ああ、俺何してんだろう。
気づけば、卒業してから2ヶ月くらい外に出てない。
こんなご時世だからって言い訳したいけど
そうともいかない街は少しづつ動き出してる。
来たるべき新たな始まりを楽しみにしながら、
今か今かとワクワクしてるみたいに。
なのにそんなスタートラインにも立ててない俺は
なんだろう、うまく言えないけど置いてけぼりを食らってる。
それは現像できてない山のようなフィルムのせいなのか、
それこそなんとなく圧をかけてくる世間様のせいなのか、
貼るところなくなったコルクボードのせいなのか、
これ以上、書けない、
後ろめたい自分を如実に描写し過ぎてしまった。
描こうと思っていた続きはまだ書けないことに気が付いた。
さっきまでの夏も秋も冬もどこまでいっても
自分的要素が混ざっていることに気が付いてしまった。
自分以外の誰かという設定にしていくことで
自分ではないと自己暗示をかけていた。
ダサいかっこ悪いそう言われても仕方がないし
大袈裟と言われるかもしれないが
本当の意味で死すら考えた。
とめどない絶望感が襲った、何もできない、できる自信がないと。
それでも今二本足で立って、当たり前かのように呼吸ができてる。
そして、震える手で、この文章の続きを書いてる。
あまりしてこなかった文字をひたすら紡ぐことで、生き急ぐことで
弱い自分と本当の意味で対峙することができた。
俺はラッパー、痛みを乗り越えその痛みを歌う人間。
自分と向き合うことで、誰かに寄り添う人間になる。
他から見れば小さな一歩だが、自分にとっての大きな一歩、進むことができた。
やはり、ありのままのibukiで居たいと強く思った。
少しだけ、外の空気が美味しく感じた、後タバコも。
雨の日でも安いビーサン履き続けるよ。
これは少し遅くなった春の話、
もう直ぐ訪れる、夏の話。