僕は鼻炎だ、何故かこの時期は特に酷い。
意識は常に朦朧として、顔の先端は決まって大きく腫れ上がってる。
ふわふわと空を漂ってる感覚、一人だけで身軽になった心地。
せせら笑いにも聞こえるほどの交差点の黄色い表情、
屋根は今にも音を立てて崩れそうなほど撓っているのに。
いつから来なくなったっけ、
いつから貰えなくなったっけ、
いつまで信じていたっけ。
そうなる一年前まではあんなにワクワクしてたのにな。
この季節が来るとそれで頭が一杯だったのに。
「良い子にしてないと」そう急かされても
布団の上で何度も寝返りを打って眠れなかったのを鮮明に覚えてる。
気づけばいつもよりぐっすり眠りにつく。
決まって一番に早起きをして少し丁寧に包紙を破く。
今では苦澄んだ瞳もあの頃あの日だけは
誰よりも無垢で純粋な輝きを見せていた。
「今年も会えなかった、悔しいな、どんな顔してんだろう」
「ねえ、ねえってば」
僕は鼻炎だ、何故かこの時期は特に酷い。
記憶はいつもここにあって、目蓋は決まって大きく腫れ上がる。
今も多分空を漂ってる。プレゼントはまだ?
温もりさえ感じるほどのあかぎれだらけの手と優しい表情、
僕は鼻炎だ、僕は鼻炎だ。
でも前より良くなったよ、気づいたから。
少し暖かい24日、深夜、これで最後といつもより多く鼻をかんだ。
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