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東日本大震災で、夫と子供を失った女性に前に現れた「霊の記憶」



「本当に側で見守ってくれているのなら
『ここにいるよ』って言ってよ。いま、私の近くにいるのならここの何かを動かしてみてよ」と叫んだことがある。

それに呼応するかのように
掛けてあった青いコートが目の前で揺れた。

あの時の私は泣きじゃくっていて、
気休めに幻覚をみただけなんだと思っていた。

カーテンも閉めて、窓も閉め切っていた。
真冬の凍えそうな夜の日だった。

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一周忌を迎えた日、突然友人からLINEがきた。「何かあった?」と。
理由を尋ねると、その友人が言った。

「何かね、さっき電車待っている時に
ふと、貴女のお母さんのことを思い出したの。
だからさ、もしかして貴女に何かあったんじゃないかと思って連絡したんだ」

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心霊的な体験は今までもしてきたことがなかった。信じているわけでもない。

だけど、もしかしたら。
もしかしたら、ほんの少しのきっかけでも、
糸口になるように紡いでくれている”何か”はあるのかもしれない。


悲しみはきっと、永遠になくならない。

それでも、何かの行為を介して、
その人の光に触れられる瞬間はある。
その光に触れるたびに人は”生きていかなきゃ”と少しだけでも思えるのかもしれない。


この記事を読んだ瞬間に感じた気持ちを、
時を経ると忘れてしまうかもしれないので、備忘録として。

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