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こんな服どうですか?
こんにちは、ひょっとこボウイです。
最近は、もっぱらどんな服を作ろうか悩んでいる日々を過ごしております。
「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」という言葉を知ってから、
僕は毎日、朝起きて、過去のデザイナーの文献や、服の資料を1時間ほど読み漁るということを日課としています。
その中で感じる、成功するデザイナーにみられる特徴というのを書きたいと思います。
まず、服は、「防護」「防寒」というものを目的に生まれました。
つまり体を守るためのものです。
そして、数千年という時代の経過の中で、体を守ることは前提とし、
・「位を示すもの」
・「装飾するもの」
に変化をしていき、今日の服に至っています。
僕も、かつて服飾の専門学校に通っていた時は、新進気鋭なデザインや、独創性などに大きな魅力を感じていました。
ジャンポールゴルチエ、マルタンマルジェラ、川久保玲、アレキサンダーワンなど、個性のあるデザインこそが一流の服であり、売れる服であると確信していました。
ですが、それは大きな誤りでした。
それができるのは、ほんの一部の天才に限るのです。
この天才という意味をもう少し具体的にお伝えすると、
機能面を度外視しても売れる服が作れる人
ということです。
本来、社会というのは、問題解決で全ての物事が回っています。
例えば、電車は長距離を便利に移動する手段として、世界中に広まりましたし、コンビニをはじめとする小売業は、生産者と消費者が簡単に繋がれる場として存在しています。
これらは全て誰かの問題を解決しようとした結果、生まれたものです。
つまり、問題があって、それに対しての解決という流れが、世の中の理なのです。
しかし、この法則がしばしば無視される現象が起きます。
その最も顕著なものがファッションではないかと僕は思います。
なぜなら、ファッションにおける、プロダクトの多くの動機が、
自分の作ったものを多くの人に共感してもらいたい!
というものだからです。
つまり問題解決という前提を無視してしまっているのです。
人間というのはベネフィット(利益)がなければ基本的に動くことはありません。自分の問題を解決してくれるというメリットがあるから、初めてお金という対価が発生します。
もし、無名のデザイナーの服に共感して、欲しいという人が現れるようでしたら、それはゴルチエやマルジェラをはじめとした、天才の卵だということです。
ですが、そんな人は1%にも満たないのが現実です。
天才以外が、自分の作った服で食っていけるようになるには、
この問題解決にフォーカスする以外に活路はないと僕は思っています。
例えば、カナダグースというブランドをご存知でしょうか?
今では、ダウンウェアを代表するブランドで、冬になると1日1度は都心で目にするようなブランドです。
このブランドが登場し始めた時、「マイナス30度以下の極寒地でも防寒ができる服」として大きな話題となりました。
しかし、実際に日本で生活している上でマイナス30度なんて気温には常識的に考えて起こりません。つまり完全なオーバースペックなワケです。
ですが実際、日本では爆発的に人気となりました。
なぜだと思いますか?
日本はマイナス30度にはなりませんが、冬が寒いというのは事実です。
そして、いくらヒートテックや上着を身に纏ったとしても、
「全く寒くない」という感覚になることはありません。
つまり、「冬が寒い」ということが問題点ということです。
マイナス30度のところで使われているダウンなら、「今より、もっと暖かくなる」というベネフィットが刺激されたのです。
もう一つ、代表的な例を紹介すると、CHANELもその一つです。
CHANELがここまでハイブランドとして偉大な地位を築いた、大きな要因の一つに女性服の解放が挙げられます。
これは何かというと、シャネルが活躍し始めた1910年代は、女性は腰にコルセットはじめとする、窮屈な服装をするのが常識とされておりました。
そんな、女性服の「常識」に異論を呈した人物こそが、ガブリエル・シャネルです。
シャネルは、「女性は窮屈な服など求めていない」と確信しており、
当時、男性下着に使われていたジャージー素材を女性服に取り入れるという大胆な行動を取りました。
それが、結果的に女性たちの心を大きく掴み、シャネルは大きく成長していきました。
これは、まさに問題解決の最たる例ではないかと思います。
社会の一般常識とされていた、それまでの女性の服装に、
それはおかしい!と多くの女性の不満を代表して、一石を投じたワケですから、女性からの指示は絶大でした。
このように、かのシャネルでさえも、問題解決というところからデザイナーの地位を確立しているのです。
もちろん、デザイン性というものは、服を作る上でとても大切です。
ですが、大前提として、
着る人にどんなメリットがあるのか?
今の世の中で服に関しての不満はなんだろうか?
そんなふうに考えることが、面白いデザインを生むきっかけになるのではいかと思います。
そんなことを考えて僕自身も作って参ります。
ではまた。