文フリギリギリ出店記(と今後の販売予定)
5/19に行われた文学フリマ東京に初出店しました。準備がすべてギリギリだったことを前回書いたのですが、
なんとか出店できたものの、当日も全部ギリギリだったのでその記録を残します。また今回つくった本『はこんでころぶ』の今後の販売予定についても最後に書いています!
ギリギリ出店記
当日朝
朝早く起床し、時間の余裕を持って出発。準備がギリギリだった僕はもういない。失敗を次に活かせるかどうか、人の在り方はそこで決まる。
それにしても本が重い。重すぎる。32kgある。南極に3週間行ったときよりも荷物が多い。本当は印刷所から直接送ってくれるサービスがあるのだけど、準備がギリギリだったので間に合わず、自分で搬入することになった。やはりギリギリは良くない。ギリギリは悪なり。
Amazonで買った運搬車に段ボール2箱を積んで引っ張っていく。耐荷重がギリギリだけど、大丈夫だろうか。
結果としては大丈夫じゃなかった。ちょっとした段差ですぐに荷崩れしてしまう。運んでは崩れ、運んでは崩れ、今回つくった本のタイトル『はこんでころぶ』を奇しくも自分で体現することとなった。
電車の段差を越えられないから、毎回32kgの箱を持ち上げて乗る必要があった。満員電車には当然乗れず、何本も見送った。エスカレーターに乗るのも怖いから、エレベーターを探し回った。余裕のあったはずの時間が、滝のような汗に変わって流れては消えていく。
電車は乗り換えが3回必要だったが、2回目でついに心が折れた。そして結局タクシーに乗った。タクシーって楽だし速いし最高。なんで最初から乗らなかったんだ。この分なら、開場40分前くらいには到着できそうだ。
涼しい車内で優雅に他の人の出店情報などを眺めて過ごしていたら、しかし違和感を覚えた。なんか知らない道を通っている。
おかしいなと思って運転手に確かめたところ、東京流通センターではなく、ビッグサイトに向かっていたことが判明した。流通センターって言ったのに!
一転して暗雲が立ち込める。慌てて引き返してもらう。開場20分前に到着して、急いで会場へと走る。設営準備には15分くらいかかるから、やはりギリギリだ。僕は失敗を活かせない側の人間であった。
会場の外には、既に来場者の長蛇の列ができていた。もう始まるじゃん!急いで自分のブースまで走り、設営準備を進める。カッターで段ボールを開けようとしたら、急ぎすぎて指を切ってしまい出血した。なんで始まる前に怪我をするんだ? なぜか鞄の中に絆創膏が入っていたので、ことなきを得た。準備がいいのか悪いのかわからない。
開場1分前に設営完了。
ギリギリの準備にしては、いい感じではないか…….!?と悦に浸っていたら、見本誌(参加者全員の見本誌を立ち読みできるスペースがあって、事前に置いておく必要がある)を置き忘れてことに気づく。挨拶に来てくれた友人のJUNERAYさんに代わりに置きに行ってもらった。
12時、開場
入場開始します!というアナウンス、そして拍手と共に文学フリマが始まった。ガヤガヤと喧騒が聞こえ、人がめちゃくちゃ入ってくる雰囲気が伺える。僕は一番隅っこのブースだったので、数分遅れてから人の波がやってきた。
どんどん人が来て、どんどん本が売れる。すごい。僕は本屋の運営にもすこし関わっていて、稀にレジに立つこともあるのだが、ふつう本はこんなペースでは売れない。とてもありがたいことなのに、勢いにパニックになって、
会計のたびに本紹介のプレートを派手に倒す
「1000円です!」と言いながら自分で1000円札をお客さんに渡す
サインを書く際、「2025年5月24日」と意味不明な未来の日付を記す(本来は2024年5月19日)
などの奇行を繰り返した。すみません。本屋に関わっているとは思えない挙動である。
ただ、自分でつくった本を自分で売るのは、やはりとても楽しい。読んでくださる方の顔が見えて、お話できるのがとても嬉しい。読者って実在したんだ!という驚きもある。
「note読みました」「こないだの記事面白かったです」とかいろんな方々にお声がけいただき、ありきたりなリアクションしか出来なかったけど、そういうのはマジで嬉しいです。翌日になってから嬉しさが染み出してくるタイプのやつです。
親子で来てくださった方とか、差し入れを持ってきてくださった方とか、午前中に『はこんでころぶ』を買って、午後に再訪して感想を伝えてくれた方もいた。7万字あるのに!?読むの早すぎる。
14時半、読者誕生
始まって1~2時間は、元々noteや記事を読んでくれている方が多かったけど、徐々に「Webカタログで見かけてあらすじが気になって」とか「ブースのペンギンのイラストが可愛くて」とか、その場で立ち寄ってもらえる初見の方の割合も増えてきた。そういう人たちが見本用の本をじっくりめくって、すこし悩んでから「これください」と言ってくれると、嬉しくてゾクゾクきた。読者が生まれる瞬間に、立ち会っている!と感じた。
ブースに張り出したペンギンのポスターは、「めちゃくちゃ遠くから見えました」と何度か言われて、かなり目立ったようだ。ブース準備がギリギリだったが故に、シンプルにイラストを入れまくったのが功を奏した。ギリギリもたまには悪くない。
15時くらいに、当日用に刷っていた『はこんでころぶ』がすべて売れる。ありがたい。が、実はまだ在庫があった。
当日の朝に、「後日にどっかで売ったろ……」という下心で作っていた第二版が家に届いていて、念の為、段ボールが弾けるくらいギリギリまで追加で詰め込んでいたのだ。おかげで在庫切れを回避できたので、やっぱりギリギリっていいかもしれない。ただしそのせいで、「同日に2つの版が出る」という怪奇現象が発生した。
15時半、休憩
来客が落ち着いてきた。昼飯を食べるのを忘れていたので、休憩をとる。JUNERAYさんが店番やるよ!と言ってくれたので、お言葉に甘えた。ありがとうございます。
おにぎりを食べ、30分くらい他のブースを回って帰ってきたら、JUNERAYさんが僕の本にめっちゃサインしてくれていた。こっちの方が売れるかもしれない。
買った本たちの一言紹介
ブースを回って入手した本たちを一言ずつ紹介していきます。
16:45、完売
閉場の30分前くらいになると、会場全体からもさすがに人が減ってきた。そして時を同じくして、すべての在庫が完売した。
やったー!ありがとうございます。めちゃくちゃちょうどいい在庫数だったんじゃないか!?
と思ったら、その後も何人か買いに来てくださった方々がいて、やっぱりギリギリ足りなかった。申し訳ないです。
18時、酒
撤収作業を終え、タクシーで浜松町に移動。32kgの本がなくなって身体が軽い。毎日文フリがあったらムキムキになっちゃうかも。出店者同士で打ち上げをした。
出店直後で、多額の現金を持っていたので、気が大きくなって財布の紐がガバガバだった。あとお互い初対面の人は、本を買う代わりに自分の本と交換していて、「本本位制」の経済が生まれていた。
眠気のギリギリまで飲んで帰宅。翌朝起きたらなぜか全身が痛くて起き上がれなかった。やはり文フリは筋トレだ。
総じて楽しかった!また出たい。
12月の文フリ東京には、すでに申し込んであるので出ると思います(新しい本を作れるどうかはわからないですが…)。
あと地方開催のはもっと落ち着いた雰囲気らしいので、そっちにも興味がある。岩手とかめちゃくちゃ行きたい。地方の文フリに出て回って、本を売った金で現地の酒と飯を飲み食いしたら、最高だろうな。理想の道楽ってそれかも。
『はこんでころぶ』 今後の展開予定について
さて、今回つくった『はこんでころぶ』は、今後「書店での展開」をメインにしていきたいと思います。遠方に住んでいる方も、書店さんのオンラインショップ経由で買えます!価格はどこでも1000円(+税)です。
なるべく本屋経由で手に取って欲しくて、一旦は自分での通販はやらないことにしました。本屋って良いから。あと個人的には、本屋にもっとこういう個人制作本がたくさん増えるといいなと思っていて、ただ本屋を運営しているとその難しさ(発注が煩雑など)も感じているので、受注側も自分で体験してなんかスムーズな方法作れたらいいなと思っています。
既に買えるお店はこちら。
フラヌール書店(東京・不動前・Webショップあり)
UNITÉ (東京・三鷹・Webショップあり)
透明書店(東京・蔵前・Webショップあり)
今後の情報をまとめる特設ページを作りました
ほかにもいくつかの書店さんと調整中です。特設ページ(という名のnote)を作ったので、今後、こちらに随時更新していきます。
取り扱っていただける書店さんもめちゃくちゃ募集中です。販売条件やお問い合わせ先などもこちらのページにまとめておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください!