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とまった時計たちの、いる家で。

面白い、古民家に遊びに行ったことがある。
とある田舎町の、田んぼの中を分け入って。

床の間には、家主が最も大切にしているコンセプトを示す絵が飾られ。
とある和室は、ワクワクするような図書室に。
縁側には色とろりどりの暖簾がかけられ、風が入っては出て行くのが見える。
金属製チャームが風に揺られ、物語の一ページみたいな、音色を奏でて...。

古い作りに、新しい試みが加わって、本当にもう、面白い。
何十年も前の家の作成者と、新たな家主が連句をしているような。
古きもの、新しきものが出会って、お互いが全く予想もしてなかった物語が生まれるような。

でも、何が一番面白いって。
家のあちこちに置かれたり飾られたりしている、時計たちだ。
「おじいさんと古時計」に出てくるような、古い時計たち。

みんな、とまっている。
バラバラの、時間で。

はて、はて。これは一体どういうことだろう。
世界各国のとある瞬間を表現するために、このようになっているのだろうか。もしくは、何か暗号が込められていて、訪問者に対する家主からのメッセージなのか。

タイミングを見計らい、家主に聞いてみる。
あれ、なんでとまってるんです?

「あ、意味はないんです〜。ただ置いてるだけでw
意味はぜひ、見出してもらえたら。」
と。

うむうむ。流石の切り返し。こういうの、大好物。

さて。再び、時計たちに向き合う。
とまった時刻の数字に、何かコードが含まれているのかも。
それとも、時計の針が示す方向に、何かあるのだろうか。
時計の止まっている時間に、どこか特定の場所に行くと、何かあるのだろうか。別の世界への入り口が、見つかるだろうか。

アニメ「ゴジラS.P」の、未来から過去への干渉についての、とあるやるとりを思い出す。未来から過去へ情報を送ったとしても、何が情報なのかを指し示す情報がなければ、未来は影響を受けない(から、問題ない)。

そんなふうに、未来から、過去のこの場所に、私に対する情報が、たくさんのとまった時計という形で送られていて、私はまだ、この情報を読み解くための情報が何かわかってない状態、なのかもしれない。つまり、未来から、私に向けてのメッセージが、ここに眠っているのかもしれない。

いや〜。こんなふうに思い巡らしているの、本当に好きだ。
しかも、考えているうちに、それなりの意味を見出してしまいそうで。
まだ、なんの意味も見出せてはいないが、そのうち、ふと、隠されたメセージの意味に気づく時がくるのかも。

楽しみに、待っていよう。

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