スターター統率者デッキから始めるEDH ~デッキの概要と低予算改造案~③ ギサとゲラルフ編
はじめに
スターター統率者デッキ解説記事、第3弾はギサとゲラルフになります。ゾンビを使えと言わんばかりの能力を持ち、構築済み時点でもかなりまとまった内容となっていて、他の4つと比較しても完成度の高いデッキです。
公式のデッキリストは以下リンク参照
デッキの解説
ギサとゲラルフは場に出た時に4枚切削し、ターン1制限ありですが墓地からゾンビクリーチャースペルを唱えることが可能となっています。単純計算で毎ターン墓地から1枚分の仕事ができると考えると非常にアドバンテージ獲得力のある統率者と言えるでしょう。
毎ターンアドバンテージを得るためには墓地には常にゾンビを置いておきたいところですが、このデッキは構築済み時点で 多くのゾンビクリーチャーが投入されているため墓地にゾンビが置かれていない状況というのは少ないでしょう。
基本的な戦術としてはゾンビを横に展開し、それをゾンビロードで強化して殴るというビートダウンの基本に忠実な作りとなっていますが、肉袋の匪賊などのようにETB能力で仕事をしてすぐ墓地に行くようなクリーチャーが多数採用されており、それをギサとゲラルフで使いまわすという墓地利用のギミックも内包されています。
また、アスフォデルの灰色商人という強力なドレイン能力を持つゾンビも搭載されており、これを他のカードで生贄に捧げて墓地から再利用し、ドレインで倒すなどのプランも取れます。
デッキの中身と統率者が非常に良くかみ合っており、構築済み時点でゾンビデッキの楽しさは十分に体感できるデッキとなっています。
デッキの改造
構築済み時点での本デッキの勝ち筋はゾンビによるビートダウンやアスフォデルの灰色商人などを主体としたライフルーズで40点削り切りを狙うというものですが、今回はそちらの勝ち筋も残しつつ、ゾンビ特有のコンボも組み込んだ改造を施していきたいと思います。
前回のイスペリアの記事でも触れたようにEDHにおいて無限ループによるコンボは極めて一般的で、カジュアルEDHでも見かける機会は非常に多いです。中でもゾンビデッキはコンボに繋げられるルートが意外と多いので、事前に一人回しなどをしてコンボを確認しておくといいでしょう。
前置きが長くなりましたがデッキ内容は以下となります。
抜いたカードは検討の欄に入れてあります
IN
1 墓所破り
1 墓所這い
1 アーチリッチ、アサーラック
1 戦墓の巨人
1 死の男爵
1 疫病吹き
1 秘蔵の縫合体
1 アンデッドの戦長
1 墓生まれの詩神
1 墳墓の暴君
1 大鉈のスカーブ
1 腐敗の大鉈、ウィルヘルト
1 過充電縫合体
1 アンデッドの大臣、シディシ
1 大軍翼のスカーブ
1 貪欲な腐敗腹
1 冥府の掌握
1 対抗呪文
1 湖での水難
1 現実変容
1 秘儀の否定
1 禁忌の錬金術
1 意外な授かり物
1 生き埋め
1 生ける屍
1 ゾンビの黙示録
1 頭蓋骨絞め
1 月銀の鍵
1 狂気の祭壇
1 英雄たちの送り火
1 アシュノッドの供犠台
1 バントゥの碑
1 ファイレクシアの供犠台
1 家庭と故郷の剣
1 通報の角笛
1 勝者の戦旗
1 旗印
1 二重屍
1 終わり無き死者の列
1 同族の発見
1 屋根の上の嵐
1 高級市場
※DECK-UP様のデータベースがまだ更新されていませんが、統率者の宝球は伝説の秘宝と変更しています。 値段は全部合わせて約1万円前後となります。(2022年12月13日現在)
ゾンビシナジーがあるとはいえ、いまいち強力とは言えなかった永遠衆のギミックを排除し、コストパフォーマンスがあまり良くなかった大型クリーチャーを廃止してコンボパーツや打点を引き上げるカードを採用しました。
新たに無限ループのコンボを組み込み、それでいてビートダウンの勝ち筋を少し太くするような調整をしてあります。コンボが妨害されたり、コンボパーツが除外されてもビートダウンプランへ切り替えることができる点が強みです。
コンボの解説
ゾンビデッキのコンボの肝となるのは「墓所這い」と「ファイレクシアの供犠台」などのサクリ台(クリーチャーを生贄に捧げるカード)です。順に説明していきます。
「墓所這い」は戦場にゾンビがいれば黒1マナで墓地から唱えることができます。これは「ギサとゲラルフ」がいなくても可能です。
そしてこの唱えた「墓所這い」を「ファイレクシアの供犠台」で生贄に捧げます。効果で黒1マナを出し、「墓所這い」が墓地に置かれます。
そしてこの黒マナで「墓所這い」を再度墓地から唱えなおすことで墓地と戦場を無限に行き来する無限ループが完成します。
この2枚のループに加え、「戦墓の隊長」のような死亡誘発や、「戦墓の巨人」のようなキャスト誘発するカードがあれば無限に誘発させることができます。
「墓所這い」は「英雄たちの送り火」でトークンを生贄に捧げればサーチ可能で、「ファイレクシアの供犠台」は「月銀の鍵」からサーチ可能なので覚えておきましょう。
「ファイレクシアの供犠台」以外のサクリ台では「墓所這い」は無限に墓地と戦場を行き来することは出来ませんが「アシュノッドの供犠台」では黒1マナを無色2マナに変換することで疑似マナブーストができ、「狂気の祭壇」では1マナで2枚切削してライブラリーをどんどん掘り進められる等、高いシナジーを形成するためこちらも非常に強力です。
さらに「屋根の上の嵐」があれば無限コンボはより容易になります。「屋根の上の嵐」があれば「墓所這い」を墓地から唱えるコストも0になるため、上記のサクリ台の効果も無限に起動できます。「ファイレクシアの供犠台」であれば無限色マナ、「アシュノッドの供犠台」であれば無色無限マナ、「狂気の祭壇」であれば無限切削でライブラリー修復手段の入っていない対戦相手のライブラリーを全部吹き飛ばして勝てます。
「屋根の上の嵐」はもう一枚、「アーチリッチ、アサーラック」と組み合わせることで無限コンボを形成します。
「屋根の上の嵐」がある状態で「アーチリッチ、アサーラック」を0マナで手札から唱え、「魂を喰らう墓」以外のダンジョンに入ります。
すると「アーチリッチ・アサーラック」が一生戻り続けるため、無限にダンジョンを探索して勝利となります。
「屋根の上の嵐」が無い場合でも「伝説の秘宝」と「通報の角笛」、「アンデッドの戦長」、「バントゥの碑」のマナコスト軽減のうち2枚以上ある場合でも、黒1マナで「アーチリッチ、アサーラック」をプレイ→ETB効果誘発時に「アーチリッチ、アサーラック」をタップし「伝説の秘宝」で黒マナを出す→ダンジョン探索して「アーチリッチ、アサーラック」を手札に戻し再プレイ…のループで無限ダンジョンになります。
また、「屋根の上の嵐」は「ヘイヴングルの死者」と組み合わせることで無色1マナで墓地のゾンビを唱えることができるようになり、「ファイレクシアの供犠台」「アシュノッドの供犠台」と組み合わせることで無限に唱えることができます。(アシュノッドの供犠台の場合はこれに加えて無色無限マナ)
様々なコンボを紹介しましたが、これらのコンボはパーツ単体が強力という非常に優秀な特徴があります。
EDHのコンボパーツには単体では役に立たないものも多いです。
以前紹介した「タッサの神託者」は相方である「Demonic Consultation」と組み合わせることで対処の難しい非常に強力なコンボとなりますが、それぞれ単体ではほぼ何もしないカードです。
その点、このデッキのコンボパーツの「屋根の上の嵐」は手札のゾンビのみならず「ギサとゲラルフ」の効果で唱えるゾンビのコストも踏み倒し、「ファイレクシアの供犠台」などのサクリ台は生贄効果を使いながら「ギサとゲラルフ」で唱えなおすことができます。
「ヘイヴングルの死者」はコストを支払う必要はありますが、対戦相手の墓地からも釣り上げることができ、「バントゥの碑」や「戦墓の隊長」などのドレイン、ライフルーズは置いておくだけでも仕事をします。
そしてこれらのカードは1枚噛み合うことでシナジーを形成し、数枚噛み合えば無限コンボとなります。
慣れてくるとその場のアドリブでカードを組み合わせて高い効果を上げることができます。何が噛み合ってシナジーやコンボになるのか、組み合わせは膨大ですが、繰り返し使い込むことで練度を上げることができるでしょう。
以下に主な組み合わせと効果を列挙しておきます。基本的に「墓所這い」+「サクリ台」か、「屋根の上の嵐」があればコンボ完成は近いと考えれば良いでしょう。
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 = 無限に戦場と墓地を行き来
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 + 二重屍 = 有色無限マナ
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 + 墓地に秘蔵の縫合体がある = 有色無限マナ
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 + 戦場に出た時誘発するカード(戦墓の隊長等) = 戦場に出た時誘発が無限
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 + 死亡した時に誘発するカード(腐敗の大鉈、ウィルヘルト等) = 死亡した時誘発が無限
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 + 唱えた時誘発するカード(バントゥの碑等) = 唱えた時誘発が無限
墓所這い + ファイレクシアの供犠台 + ウィルヘルトor首無し騎士or戦墓の巨人 + 狂気の祭壇 = 無限トークン&無限切削
屋根の上の嵐 + 墓所這い + ノーコストのサクリ台(ファイレクシアの供犠台や狂気の祭壇等) =無限に生贄効果
屋根の上の嵐 + アーチリッチ、アサーラック = 無限ダンジョン探索
アーチリッチ、アサーラック + 伝説の秘宝 + 通報の角笛orアンデッドの戦長orバントゥの碑 =無限ダンジョン探索 + バントゥの碑があれば無限ドレイン
屋根の上の嵐 + ヘイヴングルの死者 + アシュノッドの供犠台orファイレクシアの供犠台 = 墓地と戦場のゾンビすべて無限出し入れ + アシュノッドの供犠台なら無色無限マナ
コンボの解説が長くなってしまいましたが、ここからは他の強化点について説明します。
上記のコンボのパーツが除外されたり、または揃わない際にビートダウンによる勝利に切り替えられるように、ゾンビの全体強化や回避能力の付与などを追加しています。
打点強化カードの中でも「旗印」はゾンビが沢山横に並んでいる状況なら一枚で数人殴り倒せるくらいの打点を付与してくれますが、対戦相手の部族も恩恵を受けてしまう点には注意しましょう。
長期戦になり、墓地が肥えた時は「生ける屍」や「ゾンビの黙示禄」で大量のゾンビを並べましょう。墓地に「アスフォデルの灰色商人」がいた場合は大量のライフを奪えます。
特筆すべきカードとして「過充電縫合体」が挙げられます。
このカードは瞬速持ちのゾンビなので対戦相手のターンでも「ギサとゲラルフ」の効果で唱えられるうえ、範囲の広い強力なカウンター効果を内蔵しています。
「屋根の上の嵐」が出ている状態であれば毎ターンノーコストで1枚カウンターが撃てるため非常に強力です。
ギサとゲラルフは「あなたの」各ターンに1枚墓地からゾンビ呪文を唱えられる効果なので対戦相手のターンには使えませんでした。誤った情報を記載してしまい申し訳ございません。
ただ、ソーサリータイミングの指定は無いため、自分のターンに飛んできた妨害を墓地から潰すことはできます。
また、「家庭と故郷の剣」は「ギサとゲラルフ」と非常に相性がいい装備品となっています。
戦闘ダメージ誘発で基本土地のアンタップインと対象クリーチャーのブリンクをこなす装備品ですが、戦闘前メインフェイズで「ギサとゲラルフ」の効果を使い、墓地からゾンビを唱えた後、「家庭と故郷の剣」でブリンクすると、4枚切削の他、もう一度墓地から唱える効果を使えるようになります。
ブリンクされたカードは別オブジェクトとして扱われるため)
注意点として「ギサとゲラルフ」本体に「家庭と故郷の剣」を付けてブリンクすると装備が外れてしまうので、できれば他のクリーチャーに装備して殴りましょう。
多数のコンボとビートダウンの手段を搭載したデッキですが、いずれのプランも速度という面ではややゆっくりとした動きになりがちな弱点があります。序盤は「肉袋の匪賊」、「貪欲な腐敗腹」などの再利用できる除去を駆使して盤面を保たせましょう。
デッキ全体の注意点として、リソースの大部分を墓地に依存している都合上、墓地対策に極めて弱いという弱点があります。
MTGというゲームは墓地対策へのさらに対策という手段に乏しいため、墓地対策には細心の注意を払い、打ち消しで対応できるようにしたいところです。
ここからの強化案
構築済み時点での完成度の高さから、上記の改造案でも概ねゾンビデッキのやりたいことは基本的にできるようになっています。
ここから強化していくには以前紹介したような青の強力な汎用カード(イスペリアの記事を参照)や黒の強力汎用カードで脇を固めていく方針が手堅いと思われます。
それ以外の強化方針としてはデッキをより先鋭化させていくことになります。「ミケウス」や「歩行バリスタ」「納墓」などを投入し、よりコンボルートを増やす改造を施すもよし、
「運命の扉」による打点強化や前回紹介した各種追加ターンカードを投入し、よりビートダウンに寄せるもよし、
「予期の力戦」などを投入し、「ギサとゲラルフ」ならではのムーブを追加するのも面白いでしょう。過充電縫合体と同じく、ギサとゲラルフの効果は「あなたの」各ターンなので墓地から瞬速プレイはできません。大変失礼しました。
土地は前回前々回の記事と同様にペインランドあたりから手を付けていくといいですが、墓地利用デッキの強力土地として「ファイレクシアの塔」があります。これがあるのとないので結構違ってくるのでなるべく優先してデッキに入れたいところです。
ゾンビは歴史の長い部族ゆえ、カードの種類も多岐に渡ります。自分のプレイスタイルや、あるいは周りのメタに合わせたカードを採用し、自分の持ち味を出して改造できるのもこの「ギサとゲラルフ」デッキの長所とも言えるでしょう。
以下にWisdom Guildをゾンビで検索したURLを貼っておくので自分好みのゾンビを探してみるのはいかがでしょうか。
まとめ
以上が「ギサとゲラルフ」デッキの解説、強化案になります。いかがだったでしょうか。
以前公開した二種類のデッキと比べて多彩なコンボと墓地を使ったギミックが非常に面白いデッキとなっています。
先述したようにゾンビは長い歴史ゆえに非常に沢山の種類が存在します。今回私が改造案で挙げた以外にもユニークな効果を持ったゾンビも無数に存在します。そういったゾンビの中から自分に合ったものを探して試行錯誤する楽しみがあるのもこのデッキの良さと言えます。
また、ゾンビはメジャーな部族なので今後も新しいエキスパンション毎に新ゾンビが追加されやすいのも嬉しいポイントとなっています。
新旧様々なゾンビを取り入れて自分なりの最強構築を目指して行きましょう。
次回は赤黒「ドゥームスカージ・カルダール」デッキ(公式名:「渾沌の具現」)の解説と強化案の記事を予定していますが、デッキの構築を模索中なので、少し記事が遅れるかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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