もっと早くからやればよかった、担々麺屋の酸辣湯麺、耳の劣勢(2024年10月の日記)
10月3日(木)鮭の食べ方
鮭の切り身は焼いて食べるのが一般的だが、実は茹でた方がおいしい、との情報を得、いろいろとやってみた。結果、冷凍して売られている安いものは茹でた方が身がプリプリになって確かにおいしい。その上、部屋が魚臭くならなくてよい。ひっくり返す手間もない。沸いた湯に入れて放置。ズボラでも魚を食べることを許される。但し、水に浸してプリプリになるということは水っぽく仕上がるという意味でもあり、塩分も薄まるし、ご飯に乗せて食べるには向いていないかもしれない。私は鮭をご飯に乗せることなく鮭のまま食べるので、プリプリでよかった。逆に、茹でに向いていないのは、今が旬の脂の乗った秋鮭などである。これはそもそもがプリプリなので、茹でることで鮮度が落ちたようなベチャッとした感じになってあまりおいしくない。秋鮭は焼いた方がいい。たとえ部屋が魚臭くなってもだ。
10月7日(月)植物育成LEDライト
なんとなく植物育成LEDライトを買ってみたが、かなり良い。なぜなら、室内で植物がぐんぐん育つからである。当たり前のように思われるかもしれないが、普通、植物は室内ではうまく育たない。人間に快適な程度の室内の照明では光量が弱すぎるからである。私はかつて、植物をいろいろ買ってきては枯らしを繰り返し、どうしてうまく行かないんだろうと自己肯定感が削がれる思いだったが、そう言えば植物ってのは外に生えているのだから外に出して水をやっておけば育つのでは? と思い、春先に南向きのベランダに出してみたところ、そこからは枯らすことが殆どなくなり、自尊心も修復されていった。爾来、私は「植物は室内ではうまく育たない」をスローガンに植物のことを考えるようになったわけだが、植物育成LEDライトの導入によってその概念がコペルニクス的転回、パラダイムシフト、青天の霹靂されたというわけだ。室内で植物がぐんぐん育つ。他にも植物育成LEDライトには長所があり、植物育成LEDライトというのはかなりの光量が出力されるから、部屋がパッと明るくなる。明るいと気分が良い。降雨によって雲がどんよりしている日はなんだか気分もどんよりしがちであり、それは気圧の低下も要因としてあると思うが、なんか外が暗い(が故に部屋も暗い)、ということも一因なのではないかと思う。私は植物育成LEDライトパネルの1枚を居間の窓辺にある植物群に照射しているが、それにより南向きの窓辺がかなり明るく、毎日が快晴のように錯覚することができている。
10月10日(木)もっと早くからやればよかった
「もっと早くからやればよかった」ということが時々あり、私の最近の「もっと早くからやればよかった」は、キッチンタイマーの導入である。なぜなら、キッチンで時間を計れるからである。特に麺類を茹でる際には麺目躍如で便利すぎる。
10月13日(日)お祭り
電車で3駅くらいの都市で毎年恒例の出店とかいっぱい出るお祭りが開催されていて、行ってお祭り気分を味わおうかと思っていたが、結局は行かなかった。思ったより暑かったからである。お祭りとは非日常のことであり、私の生活は日常の限りない連続なので、行ったほうがよかった。
10月14日(月)読んだ小説
最近読んだ小説で好ましかったのは、待川匙「光のそこで白くねむる」である。今年の文藝賞受賞作。
10月18日(金)担々麺屋の酸辣湯麺
曇りで雨も降らないとの予報だったので、出かけることにした。ここ数日で平素の気温・湿度がだいぶ下がってきて、ようやく快適に外出できるタイミングが今日であった。気分上々で特に目的なく自転車で走り出し、そうだ、あの人気の担々麺屋の酸辣湯麺を食べに行こう、と思った。当該人気の担々麺屋の担々麺は1年ほど前に食べたことがあり、美味であった。この夏の少し前くらい、私は酸辣湯麺にハマっていて、市内の酸辣湯麺がメニューにある麺屋の酸辣湯麺を殆ど食べ尽くしており、残すはこの人気の担々麺屋の酸辣湯麺、というところまで来ていた。それで気温も下がってきた本日にようやく向かうことができた、というわけだ。12時50分頃に店に到着した。店内には野球部っぽい高校生3名がテーブル席に、土方風な男性1名がカウンターにいた。つまり、空いていた。私は空いている店が好きだ。なぜなら混んでいないからである。着席し、店員さんがお水を持ってきてくれたタイミングで酸辣湯麺をオーダーした。酸辣湯麺の好ましい点は、店によって全然違うものが出てくるところである。1. 粘度の高い茶色いスープにラー油と思われるものがぐるぐる巻きにかけられた酸辣湯麺、2. 赤いスープにトマトときゅうりという異色の材料が入っている酸辣湯麺、3. 細切りたけのこたっぷりでまぜそばみたいな酸辣湯麺、4. これでもかと生姜が効いていて健康に良さそうな上に豊富な丼もの(私は麻婆丼を選択した)とセットで980円という破格且つきわめて美味な酸辣湯麺、5. 美味しいけどなんだか健康に悪そうな酸辣湯麺、6. 老夫婦が営んでいる町中華で食べたけど食べたのが昔すぎてよく覚えていない酸辣湯麺、7. 食べたのは最近だけど何の印象もなくて何も覚えていない酸辣湯──などと様々な酸辣湯麺を想起しているうちに、8. 先程オーダーした酸辣湯麺、が着丼した。いただきます。この店の酸辣湯麺には細かく刻んだ豆腐がメインの具として投入されていた。こういうタイプの酸辣湯麺にも時々出くわし、どのようにして豆腐をこんなに細かく律儀に刻んでるんだろう、って思い、豆腐を細かく刻んだ人への感謝の念が溢れる。他、えのき、しめじが申し訳程度に入っていた。スープは薄味で、上品な味がした。麺は博多とんこつラーメンのような細麺で、香りがよくきわめて美味だった。ごちそうさまでした。店を出、近くにイオンがあるので行くことにした。イオンというのは都市部の郊外に存在する巨大なショッピングモールのことである。当該店舗は、有志が作ったイオン格付けランキングにおいてかなり上位に位置されているのをSNSで見かけたことがあり、他店舗のイオンへの優位性をこれみよがしに見せつけるようにイオン内を堂々と闊歩してこようと思った。よいクルマに乗ると気が大きくなる人がいるように、よいイオンを歩くと気が大きくなることができるかもしれない。イオンに着いた。エスカレーターで2階にエスカレートしていき、本屋に寄った。全ての本が魅力的に輝いておもしろそうだったが、何も買わなかった。ユニクロに寄った。全ての服が私に着てほしそうに蠱惑してきたように思ったが、何も買わなかった。ダイソーに寄った。何も買わなかった。1階へ下り、niko and…には立ち寄らなかったため、やはり何も買うことはなかった。そうこうしているうちに、店内アナウンスで、「雨が降ってきたため、足元が滑りやすくなっている可能性がある」旨が我々に周知された。我々、というのはその瞬間にイオンの当該店舗内に存在した全ての聴力がある生き物のことを、この場合は指す。雨。確かに担々麺屋からイオンへの道のりでわずかに霧雨がぱらついているのは観測されていたが、雨が降るとは聞いていなかった。そもそもが曇りの予報だったし、天気は気まぐれだから、この巨大なショッピングモールで暇つぶしをしていればそのうち止むだろう。私は無印良品に行き、ノジマに行き、カルディに行き、スーパーマーケットをうろうろし、フードコート及びレストラン街をうろうろし、もうイオンに飽き、帰ることにした。何も買わなかった。外に出ると、路面にはかなりの雨が降ったであろう形跡があり、眼前には大粒の霧雨が空気中を浮遊していた。この中を自転車で小一時間かけて帰るのは厳しいように思った。いつ止むのか確認しようと、スマートフォンにインストールされているウェザーニューズアプリで雨雲レーダーを開くと、果たして雨は降っていなかった。アプリを操作して時間を遡ってみても、この場所に雨が降った記録は残っていなかった。従って、いつ雨が止むのかわからなかった。そもそもが何もないわけで、何もないものを消失させることはできない。迷ったが、本格的に降り始めても困るので帰ることにした。途中、雨脚が強くなり、ホームセンターに避難した。霧雨ではなく、普通に降雨していた。アプリを開くと、今この場所で雨が降っているデータはなかった。目の前では激しく雨が降っていたが、なかったことにされていた。人生とは、本当はあったものがなかったことにされる、その連続のことなのだろうな、となんとなく思った。ホームセンターの植物コーナーに寄った。ビカクシダがたくさんあったのでたくさん買った。ホームセンター内をうろうろし、併設されているスーパーマーケット内をうろうろした。豚肉が安かったが豚肉を買っている場合ではなかった。フードコート内にあるインドカレー屋のナンドッグはかつて食べたことがあり、650円で750円くらい大きなナンドッグが出てきてよかったのだが、いつの間にか750円に値上げされていた。食べなかった。雨が小降りになったタイミングで自転車を走らせて帰宅した。家に着く頃には雨は止んでいた。
10月20日(日)フェス
電車で3駅くらいの都市で2年ぶりのブックフェスが開催されていて、行ってフェスを味わおうと思っていたが、結局は行かなかった。現状で積読がやんごとなきことになっており、これ以上の積読が増えると私の脳では処理しきれない状態になる可能性があるからである。だけど、よく考えてみたら、フェスとは非日常のことだから、行くだけ行ってみればよかった。
10月21日(月)ちょうどいい日
天候、気温、湿度、日差し、風力など、何もかも全てがちょうどよく、こんな日がずっと続けばいいのに、と思う日が一年に2回くらいあり、今日がそれであった。とても気分がよく、人生最良の日は今日だ! と思うことができた。
10月23日(水)耳の劣勢
私は普段メガネをかけているが、現在常用しているメガネは耳にかける部分が金属のままであり、その鋭利な金属が耳に食い込んで痛みが発生している状態である。特に左耳が痛い。左耳の当該部分を触診してみると、皮膚が凹んで金属に爪痕を残されている様がはっきりとわかる。このまま行くと左耳がメガネによって削ぎ落とされる可能性がある。私はお経を書くとすれば耳にもきちんと忘れずに書くタイプだが、まさかメガネによって耳なしになるかもしれないとは、意外な刺客であった。私はかつて、顔面上で耳と鼻が戦争を始めるという話をどこかに書いたことがあるが、現状、耳の劣勢である。
10月24日(木)洗濯
私は洗濯という行為がわりと好きで、近頃では、洗濯物を敢えて増やして洗濯する、ということをやっている。
10月25日(金)リトルビッグワークショップ
リトルビッグワークショップ(Little Big Workshop)というゲームが非常におもしろく、夜の9時に始めて、気付けば朝の9時になっていた。リトルビッグワークショップというのは、工場を経営するシミュレーションゲームである。Nintendo Switchでセールになっていたものを購入し、Nintendo Switchというのはスペックがやや低めのハードウェアであるから、工場が大きくなり従業員や作業台、受注が増えていくにつれて遅延やカクつきが増え、やがて労働者は労働をやめた。微動だにしなくなり、時間だけが過ぎていった。労働をしなくていい工場があれば是非とも働きたいところだが、経営者やゲームプレイヤーにとっては望まない事態である。このゲームはあまりにもおもしろく、もっと工場を拡張させたい、もっとたくさんの労働者に労働をさせたい、ゲーム内で資金をガッポリ稼ぎたい、との強い欲望から、PlayStation4で同じゲームを購入し(セールではなかった)、ニューゲームで始め、気付けば朝の9時だった、というわけだ。このように時間や自我を忘れて物事に没頭することを「フロー体験」と言い、経験上、私はどうやらこのような経営シミュレーションゲームをしているときと、文章を書いているときにフロー体験が起こりやすいようである。従って、この文章は、ここがどこで今がいつで自分が誰なのかさっぱりわからない状態で書かれている。
10月29日(火)自宅で辛麺
近頃では私は、専ら辛麺である。ここで言う辛麺とは宮崎辛麺のことであり、唐辛子、卵、ニラ、にんにく、ひき肉が具材の麺類である。メジャーどころでは、辛麺屋桝元というチェーン店で提供されている。この辛麺、簡単に家で作れる上に、それなりにかなりおいしいものができる。
二口コンロで、麺用の湯たっぷり、スープ用の湯400mlをそれぞれ沸かし始める。私は麺用は平型のフライパン、スープ用は雪平鍋を使っている。
スープ用の鍋に、鶏ガラスープの素大さじ1、醤油小さじ1、豆板醤好みで適量(なくてもいい)、唐辛子好みで適量(市販の一味唐辛子で良い)を投入しておく。酒小さじ1を入れた方がいいという説もあるが、いつも忘れてしまう。
湯を沸かしている間に、にんにく3片を粗みじん切り、ニラ半束を4cm幅でカットしておく。にんにくはカットできたら鍋に投入。ニラの茎の部分もこのタイミングで入れちゃう。葉の部分はちょっと待ってね。
卵を好みで1〜2個溶いておく。
湯が沸き始めたらひき肉100gを入れる。適宜アクを取った方が気分が良い。
にんにくとひき肉に火が通ったら、ニラの葉の部分を入れる。弱火で30秒くらい経ったら溶き卵を回し入れて後は放置。卵が固まったら火を止める。
ニラのくだりあたりで、麺を茹で始めるとできあがりのタイミングが同じくらいで良い。中華麺とかうどんとか蕎麦とか、麺の種類は好みで。麺なしで具だくさんスープとして飲んでもやぶさかではない。カルディで売られている「きねうち麺」を使うと、辛麺屋桝元の定番っぽくなるようである。私はいつも市販の十割蕎麦66gを用いている。なぜ66gかというと、だいたい十割蕎麦の乾麺は200g入りで売られていて、それを3等分するとおよそ66gだからである。100gはちょっと多いので、3等分がちょうどいい。なぜ十割蕎麦かというと、良質な蕎麦湯が取れ、麺を茹でている間に蕎麦湯を採取して飲むのが至福だからである。
丼に盛り付ける。
箸を用意する。穴開きのレンゲがあると底に沈んだひき肉やにんにくを余すことなく採集でき、よい。私はこれのために穴開きのレンゲを購入した。今年買ってよかったものベスト10に入る。
いただきます。おいしい。人生最良の日は今日だ! と思うことができます。
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