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HAAM注目!今月の空飛ぶクルマ最新ニュースまとめ【9〜10月】
HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)では毎月、次世代の乗り物「空飛ぶクルマ」の最新情報をピックアップし、国内と海外に分けてお届けしています。
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2025年大阪・関西万博における「空飛ぶクルマ」の離着陸場施設の正式名称が「EXPO Vertiport(エキスポ バーティポート)」に決定しました。約半年後の万博ではいったいどのような景色を見ることができるのか楽しみですね!
もちろん、万博に向けた動き以外にも社会実装の取り組みは活発です。国内では一般の施設を利用した実証実験が行われ、海外ではエアタクシー商用化に向けた規定が確定するなど徐々に「開発会社」や「実験施設」だけに留まらないフィールドに空飛ぶクルマの動きが広まっていることが分かります。
今月も国内と海外に分けて、空飛ぶクルマに関する最新情報をお届けします。
【国内の空飛ぶクルマニュース】
1.2025年大阪・関西万博、空飛ぶクルマの会場内ポート名称を「EXPO Vertiport」に決定(10/8)
10月8日、2025年大阪・関西万博における「空飛ぶクルマ」の離着陸場施設の正式名称が「EXPO Vertiport(エキスポ バーティポート)」に決定しました。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会とオリックス株式会社の協賛によるこの施設は、大阪市夢洲の万博会場内に建設され、敷地面積は約7,944平方メートルとサッカーコートほどの大きさとなっています。
多くの人が来場する万博(EXPO)と空飛ぶクルマの離着陸場「Vertiport(バーティポート)」を組み合わせて名付けられた「EXPO Vertiport」。万博をきっかけに、この名称が広まることを期待して名付けられました。
万博開催期間中、この施設は万博テーマ「いのち輝く未来社会」を具現化する「未来社会ショーケース事業」の一環として提供され、技術やサービスを体験できる未来社会の実験場としても機能します。工事の完了は2025年2月を予定しているとのこと。完成が今から楽しみですね!
2.エアモビリティ株式会社、ドイツの空飛ぶクルマ機体開発企業Lilium社とパートナーシップ契約を締結(10/1)
空飛ぶクルマのプラットフォームを開発するエアモビリティ株式会社と、ドイツの空飛ぶクルマ開発企業・Lilium社は1日、緊急医療搬送をはじめとするニーズが高い分野でLilium社の機体を日本およびアジア太平洋地域に展開するための、パートナーシップ契約を締結したことを発表しました。
Lilium社の機体は、初期ユースケースとして緊急医療搬送等での活用が期待されています。
日本では土地の性質から地方や離島へのアクセスや災害時の対応への有効な交通手段として空飛ぶクルマが考えられていることから、今回は2026年以降の運航開始を見込み、契約が締結されることとなりました。
エアモビリティ社はドイツ・ミュンヘンにあるLilium社を訪問し、開発進捗や機体性能を評価した上で協力を決定したとのこと。「日本のドクターヘリ運航者、整備会社等、エアモビリティ社と提携関係にある各社は、Lilium機体に対するサポートを提供できると考えています」とコメントしました。
3.東陽テクニカ、電動化とeVTOLの計測分野を強化するため新事業部を設立(10/1)
通信や交通など、さまざまな分野で「はかる」技術の開発を行う株式会社東陽テクニカは、電動化やeVTOLの計測分野を強化するため10月1日、新たに「eモビリティ計測部」を設立しました。
自動車産業の電動化が進む中、東陽テクニカはこれまで培った独自の計測ソリューションを提供し、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの性能向上に貢献しています。
また、eVTOLは空を移動する新たなモビリティであり、航空機の技術・評価も必要となります。本事業においては、新たな計測ソリューション「電動推進システム評価ベンチ」などを創出し、空飛ぶクルマの分野でも独自の計測ソリューションを開発・提供していきます。
東陽テクニカは、これらの技術革新に組織一体で貢献することで、さらなる脱炭素化の推進や先進モビリティの性能向上を図っていくとのこと。機体の開発を行うのに必要不可欠な試験飛行や、安全性の評価。
私たちが安心して空飛ぶクルマを利用するためにも、このような技術は欠かせません。
4.JR東日本や川崎重工などが、実証実験を開始。ヘリコプター旅行商品で「空飛ぶクルマ」のニーズを検証(10/1)
JR東日本、川崎重工、FPV Roboticsの3社は、空飛ぶクルマを活用した新たな観光体験の創出を目的に実証実験を行います。空飛ぶクルマを新幹線の二次交通として位置づけ、観光価値の高い旅行商品として10月1日から一般販売を開始しました。
実験ではヘリコプターを「空飛ぶクルマ」と見立て、盛岡駅隣接の臨時ヘリポートから、北東北エリアを結びます。岩手県を中心に小岩井エリアや宮古エリア、安比エリアなどを巡る旅行商品も販売。11月2日から20日までの実施期間中、移動・観光への需要を検証するほか、駅隣接ヘリポートを設置する際に必要なサービスや条件の確認が行われます。
空飛ぶクルマを新幹線の二次交通と位置づけたうえで、高付加価値観光の旅行商品として、10月1日から一般販売を開始しました。
チケットは10月1日から催行日の2週間前まで、公式サイトの商品販売ページより購入可能とのこと。空飛ぶクルマを使って旅行する感覚を一足先に味わいたい方はぜひチェックしてみてください。
5.トヨタ、eVTOLを開発する「Joby Aviation」に5億ドルを追加出資。計8.94億ドルの出資に(10/2)
トヨタ自動車は10月2日、eVTOLを開発するJoby Aviationに5億ドルを追加出資することで合意したと発表しました。トヨタは2020年1月に3.94億ドルの出資を発表しており、Jobyへの累計投資額は8.94億ドルとなっています。
トヨタは創業者豊田喜一郎の「空のモビリティ」の夢を追求しており、現会長の豊田章男にもその想いが受け継がれています。
出資の調印を行なったトヨタ執行役員 小川哲男氏は、トヨタがJobyと共にeVTOLの研究開発から実用化に向けて取り組んでおり、これからも空のモビリティが交通課題の解決に貢献する未来に向けて一層取り組んでいく所存とコメント。
現在Jobyは、カリフォルニアで3機目の試作機を完成させ、2024年8月には航空機の型式認証プロセスの第4段階に進んでいます。世界で愛され、信頼されるトヨタも出資する機体が発売されれば、より多くの方が「空飛ぶクルマ」を知ることとなるでしょう。
【海外の空飛ぶクルマニュース】
6.中国の新興eVTOLメーカー「御風未来」が40億円を調達(9/26)
中国のeVTOLメーカー「御風未来(Vertaxi)」が、プレシリーズBで約40億円を調達しました。
主な出資者は広東省中山市政府系投資会社の中山創投で、資金は次世代型eVTOLの研究開発、試験、型式証明の取得に使用。粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)と長江デルタ・杭州湾地区での研究開発・製造センターの建設にも充てられます。
御風未来は2021年に設立され、無人操縦型eVTOLを開発中。2トン級の「M1」が2023年10月に初飛行に成功し、2024年1月には中国民用航空局(CAAC)から型式証明の申請が受理されました。
同社は2025年に貨物用、2027年には乗客用の型式証明取得を目指して開発しているとのこと。中国で進む「低空経済」の活発化はより一層強まっており、同分野で多くの資金調達が行われています。
中国の経済紙「上海証券報」からは、このような1億元(約20億円)クラスの資金調達は24年に入ってから少なくとも11件実施されており、すでに23年通年の件数を上回っていると報じられています。これからも中国では空飛ぶクルマの開発が活発化していくことでしょう。
7.中国の「沃飛長空」、eVTOL「AE200」の試験飛行を実施(10/4)
そんな中国から、もう1つニュースをご紹介します。
中国の自動車大手・「浙江吉利控股集団」傘下「沃飛長空(AEROFUGIA)」は、開発したeVTOL「AE200」の離着陸と水平飛行の性能を検証するローター傾斜試験を、四川省の成都淮州空港で実施しました。
「低空経済」の発展に力を入れているのは成都市も例外ではなく、ドローンや空飛ぶクルマによる人員・貨物輸送に取り組んでいます。沃飛長空が成都市のハイテク産業開発区に本社と製造拠点を設置するほか、淮州空港も複数の高度にまたがる低空域の設置を国内で初の認可が降りました。
今回の試験では、低空域の利用モデルの実現性と技術の先進性を確認しました。今後の空飛ぶクルマを追う上で中国の「低空経済」と「成都市」は重要なキーワードとなりそうです。
8.米国「Pivotal」、パーソナルeVTOL「BlackFly」の飛行回数が1,000回を突破と発表(9/28)
アメリカでeVTOLの機体開発を行う「Pivotal」は、軽量eVTOL機「BlackFly」による有人飛行を1,117回完了したことを発表しました。人間が操縦する軽量eVTOLの飛行回数がこの回数の試験飛行に成功するのは、これが初めてのことです。
Pivotalのティルト航空機は、飛行制御を簡素化して安全性を高める設計が特徴です。同社のCEO・Ken Karklin氏はこの飛行回数の達成を「比類のない偉業」と称した上で、レクリエーションや短距離通勤、探索などさまざまな用途でパイロットが楽しんでいると述べています。
BlackFlyは量産前の段階ではありますが、早期アクセスプログラムを通じて個人所有者に提供され、認定パイロットのトレーニングも実施されています。
現在同社は後継機「Helix」の認定と生産を進めているため、新たな購入者(プログラムへの参加者)の募集は終了していますが、今後もPivotalが提供する空飛ぶクルマの実用化に向けた動きが楽しみです!
9.米国FAA、エアタクシーの商用運航に向けて訓練などの規定を確定(10/23)
来年から米国での運航が予定されている「エアタクシー」。その商用運航に向けた足がかりが用意されました。
米連邦航空局(FAA)は、エアタクシー運航に向けた訓練および操縦士資格認証の規定を確定しました。この規定では訓練過程と操縦士認証手続きが明確に定義されており、eVTOLの商業運航を行う上で非常に重要な一歩とされています。
新規定では、これまで訓練生と教官向けに2つの飛行制御装置を必要としていたものが、単一の飛行制御装置でも訓練が可能となりました。バッテリー駆動のeVTOLに対応した柔軟な安全基準も導入されています。
FAAはこの規定を「この航空機を安全に導入するためのパズルの最後の1ピース」と話しており、今後の運航に向けた動きがより活発化することが予想されます。
交通渋滞を解消するための都市交通手段として期待されるエアタクシー。デルタ航空やトヨタなど大手企業もエアタクシー事業に投資しており、今後は都市部での乗客輸送や短距離輸送が拡大する見込みです。
空飛ぶクルマが私たちの上空を飛ぶだけでなく、移動手段の1つとして利用される日も間近に迫っていますね!
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新しい情報が入り次第、今後も空飛ぶクルマの最新ニュースをお届けしていきます。
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HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。