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春の城下町で訪れたい登録有形文化財

建築、アート、そして自然美。
心をニュートラルにしてくれる旅

慌ただしい日々の喧騒から離れて、自分自身と向き合えるのも、旅の醍醐味の一つ。前回ご紹介した名城を借景にするのが、今回ご紹介する兵庫県の姫路市立美術館と青森県の弘前記念庭園・旧藤田家別邸洋館です。登録有形文化財でもある建築美、コレクションの美術品の数々やアートに触れ、四季折々変化する自然美を前に、自分自身をみつめて心をニュートラルにする旅へと訪れてみてはいかがでしょうか。

モダンな赤レンガ造りの美術館「姫路市立美術館」

兵庫県・姫路城の東隣、姫路公園内に赤レンガ造りの大きな建物が目につきます。日本美の姫路城とは対照的な、西洋美を体現する建物が、姫路市立美術館です。姫路市の芸術文化振興を目的として1983年に開館し、2003年に国の登録有形文化財に登録された魅力的な建造物です。

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もともと陸軍の兵器庫として建設され、1913年に増築。終戦後、1947年から1980年まで姫路市役所として使用され、1983年から美術館として再活用されてきました。そして、2019年4月に半年余りの改修工事を経て、リニューアル・オープンしました。

建物の前には、西洋式庭園の作庭技法の一つである平面幾何学式庭園が広がります。庭園には13点の彫刻が点在して展示されており、ベンチも置かれているので散歩にもおすすめ。広大な庭園から美術館へ歩くだけでも、清々しい気分にさせてくれます。


国内外数々のコレクションや企画展も

姫路市立美術館は、美術作品の収集方針として、「①郷土ゆかりの美術館の優れた作品及び郷土の歴史・風俗等に関する美術作品、②日本の近現代美術、③ベルギーなど海外の近現代美術」の3点を規定しています。姫路市はベルギーのシャルルロワ市と姉妹都市でもあり、ベルギーの美術作品が約350点も所蔵されているのも特徴です。

その他、日本画、油彩、水彩・素描、版画、彫刻、工芸など収蔵品のジャンルも多彩。中でも西洋美術では、クロード・モネ、カミーユ・ピサロ、オーギュスト・ロダンなど。19世紀から20世紀初頭にかけて活躍した巨匠の作品を多く所蔵しています。

「愛され親しまれる美術館」を目指し、開館以来、作品の収集、展示、調査研究を通じて地域の美術の振興や文化の高揚に寄与してきました。常設、企画、コレクションギャラリーの3つの展示室では、様々な展覧会が開かれています。

年に数回行われている企画展では、これまで陶芸家のルーシー・リーや画家ユトリロの回顧展、グラフィックデザイナー 永井一正ポスター展、アートコレクティブ チームラボ作品展など国内外問わず貴重な展示が行われてきました。企画展も常設展も良質ですので、ぜひ感性を磨きに訪れてみては。
※2021年2月8日〜3月31日まで、メンテナンスのため休館を予定しています。


岩木山を眺望する、広大な日本庭園「藤田記念庭園洋館」

青森県・弘前城の追手門近く、弘前公園の隣接にしているのが藤田記念庭園です。弘前市出身の実業家である藤田謙一氏の別邸で、大正10年(1921年)に東京から庭師を招いてつくられた江戸風な景趣が特徴です。総面積は約6,600坪という大規模な広さ。弘前市が市政100周年を記念して整備し、1991年に開園しました。

庭園は、高台部と低地部に分かれています。高台部は、岩木山を眺望する借景式の庭園で、洋館、和館、匠館の建築物は見学もできます。低地部の庭園は、池を中心とした日本庭園の形式の一つの池泉廻遊式庭園で、茶屋から眺める池や花菖蒲、ツツジなどの群落、滝もあり、景趣の変化を楽しめます。時間に余裕をもって、散策してみてください。
一部エリアでは、シートを広げて飲食もできるので、ピクニック気分で過ごしても。大きなしだれ桜の木も数本ありますので、弘前公園とともに春の時期に訪れてみてはいかがでしょうか。
※2 冬期間(11月24日~翌年3月31日)は高台部のみ見学可。

スイーツも充実!青森県産りんごのアップルパイや本格かき氷も

藤田記念庭園の敷地内にある旧藤田家別邸洋館は、足を運んでおきたいスポット。ドーマー窓に煙突、赤と青色の屋根、ステンドグラスにレンガ作りの外壁と、北欧風の素敵な建物です。2003年に国の登録有形文化財に登録されました。

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洋館にある「大正浪漫喫茶」では、地元の食材を使用した料理やスイートなど、メニューも充実しています。ぜひ食べていただきたいのが、青森県産りんごのスイーツ。アップルパイは数種類揃っているので、味比べしてみるのもおすすめ。また、庭園内にある「匠館」に併設されているカフェでは、自家製フルーツシロップを使用した本格かき氷がなんと年中食べられます。冬のかき氷をお試ししてみては。

大正浪漫喫茶のサンルームの大きな窓からは、美しい庭園の景色が広がります。洋館内から庭園を眺めてゆったりできる静かな時間は格別。趣ある空間で、穏やかな時間を過ごしてください。

※2 通常開園:4月上旬~11月末。冬期開園は高台部と大正浪漫喫茶を含む洋館は通年開館(休館日なし)。

記者:岩崎雅美

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