伝説の笛「409文字)ショートショートnote杯
田舎のじいちゃんの家に行った。
「仏壇の引き出しって、やっぱり、へそくりが入ってるの?」
「ああ、見てみるか?」
桐箱を取り出し、じいちゃんがふたをとる。
紙と笛が入っていた。
「これは、伝説の笛なり。この笛を吹けば◯が踊り出す」と書いてあるらしい。
丸のところに穴が空いている。
僕は、笛を取り出しその横笛を吹いた。
「お、お前、音を出せるのか?」
じいちゃんが尻餅をついて後ずさりする。
「うん、高校で吹奏楽部だから」
「おそらく、これが吹けたのはお前が初めてじゃ。何が踊り出すのか、確かめてくれんか?」
縁側に座り、その笛を吹いた。
ドの音を吹いた時だけ、地震のように庭の砂が動いた。
じいちゃんを呼び、ドを吹き続けると庭の中央の砂が踊り出した。
そこを掘ると壺が出てきた。
蓋が開かないので、じいちゃんが庭石にぶつけた。
割れた壺の破片に混じって、戦国時代の南蛮のガラスコップだったと後でわかる破片がキラキラと綺麗だった。