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金持ちジュリエット(410文字)ショートショートnote杯
うちの親は超金持ちで過保護がすぎる。
プロの女優になった私。
主役のジュリエット役をパパがお金で買った。
劇場の建て替え工事の費用を負担するらしい。
お陰で劇団では金持ちジュリエットと言われ浮いてしまっている。
この劇で役者として腕を一番見せるのはジュリエットの乳母だ。
私がやりたい役。
ロミオとジュリエットが初めてあった時、相手が誰かそれぞれに伝えて、バルコニーでの名場面で水をさし、ジュリエットの行動を見て一喜一憂して運命の流れを変えていく女性。その場その場の流れで考えをコロコロ変えていく女性。
そして、ジュリエットの幸せを願いながら不幸に導く女性。
この役こそが味があり、役の作りがいがある。
工事費用を聞いた。
私のお小遣いでもなんとかなる。
私はパパの2倍のお金を出して、ジュリエットの乳母の役を買収した。
脚本ができた。
私は高鳴る胸を押さえながらページをめくった。
脚本が書き換えられていた。
ロミオとジュリエットの乳母との恋物語に。