友情の総重量、毎週ショートショートnote、491字.
友人から手紙が来た。
永遠の友情についてという、よくわからない哲学的な書き出しで始まる手紙だった。
そして、『これからも、ずっと一緒にいたい』ということが、一緒に過ごした思い出の数々とともに書かれていた。
彼の気持ちが重すぎて、ストレートに受け入れられるものではなかった。
僕は手紙の文章を分割して風船にプリントした。
そして、公園でヘリウムガスを入れて、彼の目の前で空に飛ばした。
「重すぎるよ。この風船みたいにもっと軽い気持ちで付き合おうよ」
風船は、順に空高く飛んでいき、彼は黙っていた。
ひゅうっと風が吹き、風船のひとつが、木に引っかかった。
彼がふっと笑った。
「引っ掛かっちゃったね。でも、こうやって見ると、友情が根づいてるのがわかるよ」
首を傾げた僕に彼は言った。
「重い、重いって言うけど、重くてけっこう。僕の友情の総重量をなめるなよ。何人分だと思ってるんだ。あの木の下には、仲のいい友達が何人も眠ってるんだ。ほら、いつも一緒さ」
そう言った彼のお守りの中には、小さな骨が何個か入っていた。
彼が僕にぶつかり、耳元でささやいた。
「これからはずっと一緒だよ」
左胸に激痛が走り、意識が遠のいていく。