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ショートショート王様(毎週ショートショートnote. 410文字)
ペテル三世が、王位についた戴冠式で、声高らかに宣言した。
「余は、時間を大切にする。長々とまとまりのない報告をする人間は嫌いじゃ。そこで……」
王様の改革案はこうだ。ショートショートを書ける人間は、まとめて話をするのがうまい。
毎日、お題を出し、皆がショートショートを書く。人事評価では、作品のスピードと完成度を重視すると。
「俺が、3階級特進できたのはショートショート王様のおかげだ」
そんな声も聞かれた。
家来は皆、こぞってショートショートを書き出した。仕事もそっちのけで。
世の中は乱れ、市民の不満は爆発した。
君主制廃止を訴える反政府軍に武器は必要なかった。大勢で城に入り、
「今日のショートショートのお題は『革命』!」
と叫んで回った。
皆で、ペンを取りプロットを書き始めた王直属の騎士とそれを見守る王族たちを縛るだけだった。目の前の革命を見てペンが進む者もいた。
世界の王様の中で、ペテル三世は、最も在位がショートショートだった。