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白いお化け、ハロウィンノベルパーティー2024

お題 白いお化け

10月の各番号の日付に、そのお題の小説を公開するノルマ

ジョージの家には「白いお化け」が住み着いていた。新雪のように全身真っ白なお化けは、毎晩のように屋敷中を歩き回り、少しでもホコリや汚れを見つけると大声で叫ぶのだった。

「ジョージ!こんなところにホコリが!すぐに掃除しろ!」

「自分でやればいいだろ」
ジョージは何度も反論したが、お化けは言い返す。

「僕の自慢の白い体が汚れたらどうするんだ!絶対に嫌だ!君の家だろう!」

仕方なく、ジョージは言われるたびにホコリを払い、床を磨き、隅々まで掃除する羽目になった。おかげで、毎日家はピカピカの状態が保たれていた。でも、そのせいで彼はすっかりお化けの「家政夫」になってしまっていた。

そんなある日、彼女のルーシーがジョージの家を訪ねてきた。散らかり放題の自室しか見たことのないルーシーは、ジョージの部屋が驚くほど綺麗なのを見て目を丸くして、ルーシーが感嘆の声を上げた。

「わぁ、信じられない。あなた、一人でこんなにきれいにしてるの?」

「まあ、そうだよ。毎日掃除してるからね」

ジョージは、まさか、白いお化けの命令でやってるとは言えず、曖昧に答えた。でも、ルーシーは大感激した。

「すごいわ!あなたがそんなに几帳面な人だったなんて。結婚したら、私が掃除しなくてもいつも綺麗な家に住めるってことね!」

ルーシーは、片付けが大の苦手だったのだ。ジョージは彼女が嬉しそうに微笑むのを見て、心の中でこのまま何も知られないでくれと願った。

やがて、二人は結婚し、一緒に暮らし始めた。
ルーシーが掃除をしないどころか、散らかす一方の生活に、白いお化けはすぐに耐えられなくなった。夜になるたび、ルーシーの目の前にふわりと現れては叫んだ。

「何だ、この汚い床は!君、こんな状態で平気なのか!?クッションが散らかり、ホコリが舞っている!すぐに掃除しろ!」

「こんな怖いお化けに毎晩叱られるなんて」
ルーシーは泣きながら家を飛び出してしまった。


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