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違法のネコ(410文字)ショートショートnote杯


近年、覚醒剤や麻薬で多幸感を得るように、なんと猫を吸う行為が蔓延した。

猫吸いとは、飼い主が猫の体に顔をうずめ、猫の臭いを嗅ぎながら、スーハ―スーハーと息を吸ったり吐いたりすることだ。

普通はお腹だが、背中や顔、肉球、お尻まで嗅いでしまう乱用者までいることがわかった。

この行為には常習性があり、常習者で逮捕されると猫を飼うことはできない上、猫から半径百メートル近づけない。

一方で、正常な人間は、もちろん猫を飼うことができた。

彩は、2年前逮捕され、執行猶予中の身だった。恋人の裕司とは、去年知り合い、そのことは内緒にしていた。

「彩、猫ってかわいいよね」
「えっ?」
「俺、今度、猫を飼おうと思ってるんだ。明日、うちに来るから見に来て」

次の日、ゆっくり、裕司の部屋のドアを開けるとそれはいた。

頭が大きくて、ヒョウに比べてずんぐりして黒色の斑点のまわりに同色の輪状の斑。
「裕司、それ、猫じゃない。ジャガーだよ」

捕まるのは、裕司だった。

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