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不眠症浮袋、毎週ショートショートnote、410字
私と同じ研究棟で働く林を待っていた。
ドアのノックの音がして、不眠症で悩む林が入ってくる。
「これか?俺のために開発してくれたの」
「そうだ。ここに横になって、ヘルメットをかぶってくれ。脳波に直接作用させて眠らせる」
「浮袋は?」
「なんの話だ?」
「魚は深度を体の中の浮袋で調整する。眠りの深度は?」
「夢の話の重さで決まる」
「そっか。じゃあ、やってくれ」
俺はスイッチを入れた。
林は、すぐに寝息を立て始めた。
どんな夢を見ているのか気になり、モニターのスイッチを入れた。
人類は滅亡の危機を迎えていて、地球人の運命は、林の研究、一つにかかっている。どんだけ、重い夢を見てるんだよ。これじゃ、三十年は眠り続けるぞ。
しばらく寝ていなかったから二、三日寝てもいいと思っていたが、これはいけない。
キーボードで、文字を入力すると夢の中に介入できる。話をもっと軽くしてやろう。
俺が、パパッと問題を解決したことにした。
起きた林は目覚めが悪そうだった。