見出し画像

カミングアウトコンビニ(毎週ショートショートnote、410字)

森の中、喉がかわく。ちょうど目の前にコンビニがあった。ここでドリンクを買おう。

コンビニの前に張り紙があった。

『もう隠し事はしません。カミングアウトコンビニ』

一体何を隠してたと言うんだ。恐る恐る入ると、中年の男性の店員がひとり。

「いらっしゃいませ。いっぱい買ってね」

考えてる事がダダ漏れだ。それカミングアウトとは違うから、と心の中で突っ込みながら、ドリンクコーナーに進む。

山の水というボトルを手に取る。
「やっぱり、水がいいですよね」
店員が背伸びしてこちらを見ている。

ついでに、きつねうどんを手に取ると「あ、それ、私も大好きです」と店員。

きつねを置きたぬきうどんを手に取りレジに向かう。
「650円になります」

出口に張り紙があった。
『このコンビニの店長はきつねです。騙してごめんね』

ボンッという音と共に建物は消え、買ったものは葉っぱになった。レジだった所には狐がいた。

悔しい、騙された。

俺は、しかたないので元の狸の姿に戻った。

『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

こちらに参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?