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ショートショート王様④、毎週ショートショートnote、410字
「ショートショート王に、俺はなる!」
「王様、アニメのセリフをまねてうまいこと言ってもダメなものはダメです」
「暑いし、頭だって痒い」
「しかし、王様といえば、くるくる巻き毛のロン毛に王冠と決まっています。短髪はおやめください。ましてや、超短髪なんて」
翌日、王様は、宰相のアドバイスを無視して角刈りにした。
その日の昼
「痛いと思って王冠を取ったらおでこに横線が入っとる」
「毛がないから食い込んだんですね」
「おでこの真ん中から血が」
「金属製ですから。ウィッグをつけます?」
「いやじゃ」
その日の夜
「王冠が抜けんぞ」
「汗が潤滑剤になり深く食い込んだんですね」
「引っ張ってくれ」
宰相が力任せに引っ張り、王様は悲鳴をあげ、王冠は取れた。
王様が耳の後ろを触りながら言った。
「毛が、根こそぎ抜けとるぞ」
「これでショートショート王様になれましたね」
「刈り上げが剃り上げになったからのぉ」
その日から、王様は、意に反してパイナップル王様と呼ばれた。