穴の中のポケット(410文字)ショートショートnote杯
青い空を見ながら歩いていて、気がついたら穴の中。
ヌメヌメとした地面はうねり、ポトリとポケットのようなところに落ちた。
だんだん、周りの暗さに目が慣れてくる。目を凝らしてみると、ポケットがついている壁は、うねるように動き、天井には、ぶら下がった大きな塊が揺れている。
僕は、そのぶらつく塊にロープを!
「よし、上手く引っかかった」
ロープを使って昇っていると下から突風が吹き、穴の入り口へと体が吹っ飛ばされた。
外に投げ出され、地面を転がる。体勢を整えて穴の方を見ると、巨大なカエルの化け物だった。舌の奥のポケット状のところに落ち、喉ちんこにロープをうち、それで吐き出されたのだった。
ほっとため息を吐く。
「助かった。もう少しで食われるとこだった。ここは怖い。離れたところに移動しよう」
僕は木を登り、その枝や葉っぱにロープを張った。
「あ、ちょうちょだ」
蝶々が飛んでいて、僕がロープで作った同心円状の網にくっついた。
今度は僕が食べる番。