残り物には懺悔がある、毎週ショートショートnote、410字
ゆきちゃんと私が、鳥居をくぐり、いつものようにブランコに向かおうとした時、神主さんが本殿の方から声をかけてきた。
「今、プレゼントを配っているんだ。良かったら二人とも中においで」
神主さんに連れられて、本殿の中へ入っていくと、机の上に封筒が二つだけ置かれていた。
「もっといっぱいあったんだけど、みんなに配ってしまってね、残りはこの二つだけなんだよ」
私はすぐに頭の中で作戦を立てていた。一番くじでラストワン賞が豪華なことを知っていたからだ。
「ゆきちゃん、先に選んでいいよ」
ゆきちゃんが封を開けると、そこにはちっちゃな、あまり可愛くない人形が入っていた。
私は内心、成功だと思った。
私は残された封筒を開けた瞬間、飛び跳ねて喜んだ。
可愛いシールが何枚も入っていた。
「やったー!」
ふとゆきちゃんを見ると、目に涙をためて、何も言わず、ただくるりと背を向けて境内を出て行った。
私はやってはいけないことをしてしまったのだと、やっと気づいた。
(ちょうど410字)
ラストワンが豪華ということ前提で懺悔しているところがかわいいですね。