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激辛の鏡、毎週ショートショートnote、410字ちょうど
「叶えたい願いがあるんです」
占い師の背には、大きな鏡が飾られていた。
「この、願いを叶えられる鏡を、舐めて、その辛さに耐えられたら、君の願いは叶うと思うよ」
私の頭には、離れ離れになった最愛の人と再会したいという願いがあった。
「やってみるかい?」
「もちろんさ」
私は鏡の前で深呼吸し、恐る恐る舌を鏡の表面に伸ばした。
――その瞬間。
口の中が燃えるように熱くなり、全身が炎に包まれたような激痛に襲われた。舌が焼かれるような辛さが舌先から喉の奥まで駆け抜け、口中が灼けるように痛む。
視界が滲む。身体が震え、意識が飛びそうになる。占い師が用意した水を飲んだら負けだ。願いを叶えるためなら、これくらいの痛み、耐えてみせる!
ようやく、痛みが収まり始めたとき、占い師が言った。
「お前、よく耐えたな」
「これで願いが叶うんだろう?」
「この辛さに耐えられるくらい根性があれば、自分自身に打ち勝ち、願いを叶えられるってことさ」
「根性を試しただけ?」