ヘロヘロ東京観劇旅行記


〈大まかなあらすじ〉

田舎住み観劇オタクの筆者は、ある舞台を見に行くため東京旅行へ。しかし出発前夜に急に嘔吐! 死にかけながら東京に向かい、そして帰ったこの悲しみを供養するために書いている旅行記である。

※一部不快な表現が入っている場合があります。
※私の気持ちを成仏させるためだけの文章です。
※旅行中、手洗い・消毒等感染対策は入念に行っています。

〈Prologue〉

ミュージカル「憂国のモリアーティ」シリーズが大好きだ。

「憂国のモリアーティ」は、集英社ジャンプスクエアで連載されている長編マンガである(第1部全19巻、現在は番外編の「憂国のモリアーティ-The Remains-」が連載中)。シャーロック・ホームズの宿敵であるジェームズ・モリアーティを主人公とし、モリアーティが操る華麗な犯罪を名探偵シャーロック・ホームズが追う推理ものであり、バトルものであり、そしてクソデカ感情マンガである。異論は認める。大好きだ。
そして本作を2.5次元ミュージカル化した、ミュージカル「憂国のモリアーティ」(通称モリミュ)は、2019年5月の初演を皮切りにほぼ毎年(コロナ禍でも!)上演が続けられ、2023年8~9月の5作目で一区切りを終えた。
私は2021年9月、無料配信されていた2作品をなんとなくみたことをきっかけに、即Blu-rayを集め、舐めるように見返し、CDも買って全曲歌えるようになり、2023年1月のOp.4は大阪3公演、8月のOp.5は大阪6公演を全通した。2.5舞台をほぼ見たことがなかったのにこの熱量である。みなさんも見てください。
しかし先述した通り、モリミュはOp.5を機にいったん一区切りがついてしまった。私はOp.6の続編もしくは5作品の再演を望んでいます。が……。今年夏にコンサートがあり、それも何らかの形で見るつもりではいるが、ジャンルを問わず演劇が好きな私としてはやはり舞台が見たい。

そんな中、ある舞台の情報が流れてきた。

「HIGH CARD the STAGE - CRACK A HAND」

「HIGH CARD」というアニメは以前から知っていて、見てはいなかったが世界観好きだし面白そうだなと思っていた。ふーん、2.5舞台になるんだーというくらいの気持ちだったが、私が戦慄したのはその後である。

演出 山本一慶(ミュージカル「憂国のモリアーティ」ルイス・ジェームズ・モリアーティ役)
脚本 西森英行(ミュージカル「憂国のモリアーティ」脚本・演出)
音楽 ただすけ(ミュージカル「憂国のモリアーティ」音楽)

キャスト
フィン・オールドマン役 赤澤遼太郎(ミュージカル「憂国のモリアーティ」フレッド・ポーロック役)(※Op.1~3)
ウェンディ・サトー役 七木奏音(ミュージカル「憂国のモリアーティ」ミス・ハドソン役)
ノーマン・キングスタット役 久保田秀敏(ミュージカル「憂国のモリアーティ」アルバート・ジェームズ・モリアーティ役)

アンサンブルキャスト
竹内一喜・永咲友梨・若林佑太(ミュージカル「憂国のモリアーティ」アンサンブルキャスト)

怖い!!!!!
キャスタッフのモリミュ率が高すぎて逆に怖い。
いっけー(山本一慶さん)は役者としての姿しか見たことがなく、演出している舞台はこれまで見たことがなかったが、それらも高評価っぽいし、こんな布陣の舞台観なければ絶対後悔する。そのくらいモリミュのキャスタッフに信頼を置いている。
あと、ウェンディ・サトー役の七木奏音さまのキャラクタービジュアルに惚れた。

ということで、1月25日の夜公演、1月26日の昼公演のチケットを取った。東京行き決定である。
予習としてアニメ1期も全話見た。くぼひで(久保田秀敏)さんはモリミュでアルバート兄様というとても高潔な人物を演じてらっしゃるのだが、今回演じるというノーマン・キングスタットは見た目だけでなく挙動もめちゃくちゃ濃かった。楽しみだ。

〈1月24日〉

出発前日。大学の授業は午後に一つあるのみだったので、家にこもり、期待に胸を膨らませながら荷造りをしたり、当日の服のコーディネートをしたりした。気軽に行ける距離ではないので、服装にも気合が入る。最近Axes Femmeの服を友達から大量にもらったので、全身Axesのコーデになった。可愛くて最高。新しい靴も合わせて最高。

鏡が若干汚れているのはご愛嬌。

マニキュアも塗った。余談だが、私は全くじっとしていられないので、速乾ポリッシュの癖に手を動かしてはめちゃくちゃよれるのを繰り返し(そして生来の不器用さも災いし)、満足のいく出来になるまで3時間かかった。ただ塗っただけで別に難しいことはしていないのに3時間かかるってどうなんだ。でもかわいいので満足した。夜ごはんにはうどんすきと、祖母がくれたという牡蠣をチンして食べた。殻を開けると結構大ぶりだった。ここから悪夢が始まる。

〈1月24日(25日)深夜〉

荷造りもまあ一泊だけだからすぐ終わるし、明日は早いし、そろそろ寝るか……と床についてスマホをいじっていた深夜0時頃、突如吐き気が起こった。吐き気自体はそこまで珍しくないし、おおかたピルをちょっと適当に飲んだせいだな……と思った。最近新しいシート飲み始めたばっかりだったし。
結構つらめの吐き気だったが、吐き気止めを飲み、鼻呼吸を意識し、締め付けの強いパジャマのズボンを中学のジャージに履き替え、リラックスすることが大事だとネットに書いてあったので蒸気でほっとアイマスクをして根性で寝た。明日に響くし。

深夜2時ごろ、やはり急な吐き気で目がさめた。あ、これやばいかも……と思い、ベッドから起き上がって部屋を出ようとした瞬間嘔吐した。
一回じゃ収まらなくて、4,5回吐いたと思う。途中で気づいて近くにあったゴミ箱を手元に引き寄せそこにゲーゲー吐いた。それでも時すでに遅し、部屋の入り口が吐瀉物まみれになった。朦朧としながら、あ、私今日うどん食べたんだったな……とぼんやり考えた。
実家住みのありがたいところは同居人が助けてくれることである。自分はもう歩くことがせいぜいという感じだったので、母を起こして片づけてもらった。兄も含めて24年子育て経験のある母は違う。本当にありがとうございました。
一回吐いたらもう出し切ったと思ったのと、脱水症状になるのは良くないと思ったため、リビングで麦茶を飲んだ(ちょうど我が家にはスポドリも経口補水液もなく、よりミネラルが含まれているのは鶴瓶の麦茶だろうと思ったため)。しかし後から知ったことだが、吐いた後はうがいをするのみでしばらく絶飲食の方がいいそうだ。案の定また吐いた。今度はトイレに行く余裕があったので汚さなかったが、さすがにふらふらだった。胃酸のにおいって、なんでこんなに不快なんだと思った。ちょっと貧血っぽくもなっていたのかもしれない。結局そのまま1時間半ほどぼんやりし、4時ごろに寝た。

〈1月25日〉

早朝、ポケモンスリープのアラームが、元気な時の私が設定した時刻をお知らせしてくれた。起きても何も食べられる気がせず、またかなり余裕を持った時間にアラームをかけていたため、ふらふらのろのろと顔を洗い、ぼーっとし、着替え、ぼーっとして、最後の荷づくりをした。着ようと思っていた服は、もし旅行中に吐いて汚して廃棄……となった場合あまりにもつらすぎるため、スーツケースに詰めてホテルで観劇直前に着替えることにした。髪を整える余裕すらなく、髪が変な方向にビヨンビヨンはねていて、すっぴんの上顔色も悪く、毛玉だらけのスウェットにジーパンの出で立ち。とてもこれから文化の中心地TOKYOに観光に行く人間とは思えない。
朝になって嘔吐は収まったが、今度は腹を下すようになった。ただ、私は常日頃から特に何もなくてもお腹を下しているような人間である。褒められることではないが、いつもの感じと言えばいつもの感じなので少し安心した。安心するところではない。ただ、下痢以外に発熱などの諸症状はないためその点は安心である。嘔吐が収まったので他人に迷惑をかけることもないだろう。


なんとか広島空港へ到着する。しかし出発便まで時間があり、そして座った状態でそれまで待つのはだいぶつらかった。長椅子に横になろうかと思ったが、外聞が悪すぎるし座面は板なのでシンプルに痛い。一縷の望みをかけて、案内所の人に横になれる場所はないかと聞いたところ、ベッドのある休養室を案内してもらった。少しでも布団で横になれる環境はとてもありがたかった。
ただ、このあたりから、水分をとればすぐにそれが水様便として出てくるようになった。嘔吐にしても下痢にしても、脱水が一番怖いので、下した直後にポカリを一口飲んでいたが、その直後に水様便として出てくる。水あたりというらしい。
Twitter(自称X)で、優しいフォロワーから体調を心配するメッセージが入っていた。本当に嬉しかった。「東京も寒いのでお気をつけて……」と書いてあったが、標高が国内第3位の広島空港に比べれば東京は南国である。ちなみにその時の外気温は体感マイナス5度くらいあった。天気予報を調べ、東京の最高気温:11度の文字を見てちょっとふふっとなった。


少し休ませてもらい、いよいよ出発である。身の回り品のカバンに飲みかけのポカリを入れていたため、他のものと別で検査をされていた。無事、異常なしと証明されたポカリは、堂々とした面持ちで私の元に帰ってきた。
先日の飛行機事故を受け、なるべく非常口近くの通路側をと思って席を取ったのが功を奏した。機内最後方のため、トイレも近く、またCAさんの待機場所とも近い。安心感がすごかった。
機内でも、ポカリを少し飲んでは下し、飲んでは下しを繰り返していた。トイレに行くたび顔がやつれているのが自分でもわかった。CAさんに体調が悪いですと言おうかと思ったが、言ったところで何にもならないなと思ったので耐えた。何しろ自分自身がどうすればいいのかわからないので。とりあえずポカリを飲むのをやめた。
着陸にあたり、10分ほど揺れた。10分揺れたと思ったが、もっと長かったような気もするし、もしかしたら10分どころではなく3分だったのかもしれない。私としては長い時間だった。上にふわっと浮き、急にふわっと沈むのを繰り返す。ジェットコースターの小さな起伏を小出しにされている感じだ。私は元気だったらこういうのが大好きなのでいくらでもはしゃいでいられたが、元気ではないので全くそういう気分にはならない。シンプルに死ぬ!と思った。


ついに関東上陸。考えてみれば昨年7月に横浜に行ったとき以来の関東である。ただそんなことを思う余裕もなく、よろよろと降りた。
そのままホテルに向かっても良かったが、さすがにこのあと1時間以上座れるかもわからない電車に揺られるのは勘弁である。こちらでもまた救護室を使わせてもらった。やはり布団はありがたい。
しばらく休憩し、少し回復したので、薬局で正露丸糖衣錠と新たなポカリ、そして薬を飲むための水を買い出発した。満杯のペットボトルが2本も入ったトートバッグは重い。
駅に着いたところで家族に連絡をせねばとホームドアの写真を撮った。広島の鉄道にはホームドアなどないので、ホームドアを見るだけで私は旅行に来たなあという気持ちになる。家族にもホームドアを見せることで、私が無事東京に着いたということを知らせられたようだ。

田舎者はホームドアを見ただけで興奮する。田舎者ならわかってくれるはず
(追記:この記事を読んだ友人から、「アストラムラインにホームドアあるじゃん」と言われました。確かにそうかも。広島にもホームドアあったかも。適当すぎる……)


ひたすら電車に揺られる。運よく座れたので、スマホを見ることもあまりせず、ぼーっと車窓を眺めた。知らない土地の風景、知らない駅名。面白い。
乗換駅が押上駅(スカイツリー前)という駅だったのでわくわくしたが、スカイツリーは全く見えなかった。スカイツリー前なのにスカイツリーが見えないとはどうなっているんだ。広島駅は別にマツダスタジアム前って名前じゃないけどマツダスタジアムが見えるぞ。悲しい。


やっとこさ劇場とホテルのある北千住に着いた。ホテルはとてもきれいで雰囲気のよいところで、着いた瞬間ベッドでまた寝た。体調が悪いのにも加え、夜中の嘔吐のためシンプルに睡眠時間が足りておらず、このままでは観劇中に寝てしまう。ギリギリまで寝たあと、最低限のメイクをして髪を整え、Axesの服に着替えて劇場へ向かった。ちなみにこのとき久しぶりに鏡を見たが、髪がすごい方向にはねていて、私は広島からここまでずっと前衛芸術をみんなに見せつけていたのかという気持ちになった。
席は1階5列下手側通路2席という良席だった。授業中の私と教授なんかより断然近い。オペグラはいらなそうだ。眼鏡を新調していて良かったと本気で思った。

開演前、撮影可の時間に撮った写真。特にズームはしていないのにこれ。近すぎる。


(ここからオタクの舞台感想 ※ネタバレを含みます)

本当に楽しかった。1幕はハイテンポだが綺麗にまとまっていて、2幕は心情も丁寧に描かれているなという印象だった。オープニングの歌もかっこよくて素敵で、なにより明るい雰囲気の話なのでずっと笑っていられる。クリス役の丘山さんは顔が綺麗すぎて、本当にあの顔が数メートル先に実在しているのが信じられなかった。でもところどころの動きがうるさくアニメのクリスよりも味付けがだいぶ濃くなっていて、きっと変な人なんだろうなと思った(実際カテコの様子を見るに変な人っぽかった(褒め言葉))。ヴィジャイ役の松田岳さんは初めて見る方だったが、ヴィジャイのマイペースな感じと強さが現われていてとても良かった。確かにヴィジャイ、緊急事態でも植物の豆知識言ってそうだもんな……という気がした。レオ役の石橋弘毅さんも始めて見る方だったけど、とてもよかった。親が大企業社長、自分は支店長を任されているが……という複雑な立場の14歳の潔癖さと葛藤がひりひりするほど伝わってきた。
フィン役の赤澤さんは、アニメで見たフィンをそのまま体現しているようだった。私は赤澤さんをモリミュのフレッドとギアミュのスザクという落ち着きのある役でしか見たことがなかったため、フィンみたいなハイテンションで軽くて明るい役を見るのは新鮮だった。それでいてシリアスなところはシリアスなところで締めるのですごい。ただ一点、フィンが船酔いで永遠に吐いているシーンがあるのだが、それを見て私もウッ…となってしまった。吐いている演技がコミカルかつリアルだったからこそだと思う。赤澤さんはすごい。
ウェンディ役の七木さまは本当に美しかった。ウェンディは真面目な経理担当で剣術を得意とするのだが、しかしその実態はずぼら、遅刻癖あり、汚部屋住み、酒に酔ってだる絡みするというギャップが最高のキャラクターである。舞台でもその真面目さとキュートさが伝わってきてメロメロになってしまった。それと長い刀を使った殺陣が最高である。モリミュのハドソンさんは絶対に戦闘とかしないので、七木さまってこんなに動けるしかっこいいんだ……と思った。動くたびにたなびく長い黒髪、最高。
ノーマン役のくぼひでさんがめちゃくちゃ出てきて笑ってしまった。単純な出演時間で考えたらノーマンよりリンジーで出てる方が長いだろ。まあ、リンジーでキャスト発表するよりノーマンの方がインパクトがあるからだろうけど……。くぼひではアルバート兄様しか知らなかったので、くぼひでアラカルトという感じだった。しかし5役すべてで圧倒的演技力を見せつけて来る。流石。ノーマンは他キャストの着替え時間を持たせるための長尺の日替わりがあったが、うるさすぎてよかった。むきエビマッチョくん?だっけ? その場にいるアンサンブル二人がずっと困っていてよかった。リポーターの永咲さんの回し蹴りがとってもよかった。私が見た公演はぜんぶ蹴られるエンドだったのだが、他の回はどうなんだろう?それを確認するためだけにも円盤が欲しい。既に。
私はアンサンブルの永咲友梨さんをモリミュOp.3から推しているのだが(モリミュのアンサンブルキャスト全員推しなんですが)、クレジットされていない女性重要キャストを全部永咲さんがされていて、もはや存在感はプリンシパル並みで本当に嬉しかった。まさかニャットもアーヤも永咲さんとは。ていうかたくさん役やって、踊って、場転して、忙しすぎる。美味しいものたくさん食べてゆっくり休んでほしい。ありがとうございました。髪の毛の先をくるんとカールしていたのが可愛かった。
他キャストもみんなみんなよかったけどちょっと書ききれない!とってもよかった。最高だった。山内優花さんも感想で書いてたけど、竹内一喜さんがまたサムと言う名前の役をやっていてサム…!サム……!!という気持ちになった。私はモリミュOp.4にいまだに囚われている人間です。無事でよかった。
一部で物議を醸しているらしい客降りだが、私は好きだった。特に推しキャストがいない(いるけど)だったからかもしれない。私は劇の世界に自分を没入させるのが好きな、おそらく夢女子的な感じで劇を楽しんでいるのだが、キャラクターが客降りすると自分と同じ世界にいるんだなという気分になってそれだけでうれしくなる。通路側2席目だったのでファンサもらえるかなとか思ったりしたが、特になかった。ただ、クリスが軽くキスをした名刺をそのまま目の前の人に渡していたのでなんだかこちらまで照れてしまった。ボビーもノーマンも、キャストみんなで踊るエンドは大団円という感じで大好き。
歌も踊りも笑いも涙もあり、極上のエンターテインメントを見たなという気持ちになった。映像で見るのもきっと楽しいけど、映像よりずっと、現地だからこそ楽しめる舞台だなと思う。席は後ろの方はあまり埋まっていなかったのが残念だったけど、みんな見にくればいいのにと思った。楽しかった。それだけで東京に来た価値があった。

(感想おわり)


とはいえ体調は思わしくなかったので、観劇後、コンビニでゼリーを買い、ホテルに戻った。風呂に入る元気もなく、翌日に回すことにし、水分だけとって何も食べずに寝た。

〈1月26日〉


目がさめたら7時半だった。よく寝た。ポケモンスリープのスコアは100だった。
吐き気はなくなっていたがやはり体調はあまりよくなかった。
このあたりで、もしかして焼き牡蠣がよくなかったのでは?と思い始めた。ピルを適当に飲んだからだと思っていたが、これまで適当に飲んだときに吐き気はあってもこんなに吐いたりすることはなかった。熱もないし、普段ずっとマスクを着用、同居の妹が大学入試前のため感染対策には細心の注意を払っている。そう考えるとやはり牡蠣としか考えられなくなってきた。そういえば私の分だけ大きかったから、ちゃんと火が通っていなかったのかも。牡蠣め……東京に来てまで地元広島に困らされるとは。広島のせいではないが。
症状は軽くなってきても、これまで特に何も食べていないため単純にエネルギー切れで動くと息切れがする。本当はフォロワーに教えてもらった周辺のおすすめスポットを散策してから昼公演に向かうつもりだったが、そんな元気はなく、泣く泣く諦めた。ごめん、フォロワー……。
風呂に入り、ちまちまと昨晩買ったゼリーを食べる。そして寝る。
チェックアウトは11時だったが、料金を支払って1時間延ばし、ギリギリまでゆっくりしてから出た。

2公演目。感想は先に書いたので割愛するが、実は初日は睡眠不足が祟り、あるシーンでうつらうつらしてしまったのを後悔していたため、しっかりと睡眠をとった後見ることができて良かった。2回見ることで得られる発見もあるし、前日に比べて変わったところもたくさんあるし、やっぱり最低2回は見たいよな、とオタクとして思った。すごく面白かった。アフタートークで演出のいっけーが出てきて、お!いっけーだ!と思った。相変わらず顔が綺麗だった。もっと他に言うことはないんか。

劇が終わり16時。19時台の飛行機に乗って、もう帰らなくてはならない。少し寄り道しようかと思ったが、少し良くなったとはいえ万全でない体調で歩き回るのも、知らない土地をむやみに歩くのもリスキーなのでまっすぐ羽田へ向かった。
電車からスカイツリーのようなものと、東京タワーのようなものが見えた。

東京タワーは一瞬、山とかによく立ってる鉄塔かと思ったが、ここは山ではなく東京である。山手線に乗ってて見える赤い鉄塔なんて東京タワーしかないだろう。レヴュースタァライトを思い出した。スカイツリーは私の大好きな機界戦隊ゼンカイジャーの聖地。北千住はスカイツリーや浅草に近いとフォロワーに教えてもらっていた分、どこにも行けなかったことを思い出して悔やんだ。

羽田に着き、あとはもう広島に帰るだけ。広島なんていう辺鄙な土地に住んでいると、東京に行ける機会なんて1年に1度くらいしかない。広島で生まれ育った子供が夢見るのはやはり東京である。広島にあって東京にないものもたくさんあるだろうが、東京にあって広島にないものなんて星の数ほどある。少なくとも、2.5次元舞台は広島にはやってこない。舞台を見るためだけに上京したのだから、舞台が見れてよかったじゃないかと思うけれども、それでも、特別な東京旅行中ずっと体調が悪かったのは本当につらかった。舞台チケットだけじゃなく、交通費も宿泊費も合わせると学生にはかなりの金額だったし。

東京から広島までの新幹線は4時間を切るんじゃ……とあげ太くん(注)は言っていたが、飛行機だと1時間と少しだ。広島に、家に帰ってきた。次の日はずっと寝ていたので体調は良くなった。せめてこの体調の時に東京に行っていたらと思うとあまりにも悲しい。ただ今回の旅で幸運だったのは、誰とも会わず、人と必要最低限しか話さなかったことだ。東京に住む友達はたくさんいるが、妹が入試前で広島でもすべての3人以上の飲み会を断っている状況なので、例によって友達と会う約束は一つも作っていなかった。みんなに迷惑をかけなくて本当に良かった。フォロワーから教えてもらった北千住周辺観光スポットは、絶対どこかでリベンジしたい。また東京、行くぞ。今度は元気100パーのときに。

観劇2日目の写真。また5列目で超近い。今度は上手側だった。
ドンレミーはなんと私の泊まったホテルの1階にあった。が、お菓子を買っても食べられないなと判断したため(食べ物の匂いするだけでちょっときつかった)泣く泣く諦めた。今度こそ食べる。誰かはわからないけどフォロワーありがとうございます。


(注)あげ太くん…広島テレビで放送中のミニアニメ「おしゃべり唐あげあげ太くん」に登場する唐揚げのキャラクター。おっさんの広島弁をしゃべる

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