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「待ち望む期間」から始まるキリスト教の一年

 ブログ形式の投稿は1週間のご無沙汰となりました。

 キリスト教にも独自の暦がありまして、カトリックでは典礼暦と呼ばれ、プロテスタントでは教会暦と呼ぶ教会が多いのではないかと思います。この記事では後者を用いますが、いずれにせよ大きな枠組は同じです。
 教会暦の一年はアドベントから始まります。アドベントはキリスト誕生を記念するクリスマスを前にした約4週間のことで、日本語では待降節・降臨節等と呼ばれます。その始点は聖アンデレの日(11月30日)に最も近い日曜日で(wiki)、今年の場合は11月29日です。アドベントが始まると、多くの教会でアドベントクランツ(ローソク)やツリーが飾られます。ツリー設置は、今や商業施設等の方が早いと思いますが(^^;;
 今回の見出し画像は、所属教会の日本同盟基督教団 新発田キリスト教会新潟県 新発田市)の昨年のクリスマスイブ礼拝での写真です。

 つまり、昨日22日は「一年の最後の日曜日」だった訳です。この日は、ペンテコステ(聖霊降臨日、今年は5/31)から始まった聖霊降臨節、その翌週から始まった三位一体節(どちらを採用するかは教派により異なる)の最終主日でもあり、神から与えられた一年間の恵みに感謝する収穫感謝日と定めている教派もあります。アメリカの習慣「収穫感謝祭」は日本でも報じられることがありますが、同じ趣旨の営みは教会でも行われているところがあるのです。目に見える形で農作物を持参して集まるところもあります。

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日本基督教団 新井教会(新潟県妙高市、2015年)

 このようなことは分かっていても、「お祝いごとのクリスマスから一年が始まってもいいのではないか」とつい思ってしまうのも事実です。しかし、一年の始まりに待ち望む期間が置かれていることには大きな意味があるのではないかとも思います。
 キリスト教では、私たち自身をはじめとするすべてのものが神によって造られたと信じています。「すべてのもの」には、日々の生活を支える衣食住や家族・友人をはじめとした周囲の人々も当然含まれます。また、神は様々な形で私たちの日々に祝福と導きを与えてくださいます。苦しい時の助けや問題の解決、さらに罪の赦しや「救い」、そして永遠の命もそこに含んでいいのではないかと思います。神を抜きにして私たちは存在し得ず、生きていくこともできないのです。
 待ち望む期間はそれを改めてじっくり認識するための期間でもあるのではないかと思います。

 すでに「待ち望む」という言葉を何度も用いていますが、これはキリスト教独特の言葉ではないかと思います。アドベントにはキリストの誕生(降誕)だけでなく、やがて訪れるこの世界の終わりにキリストが再び地上に来られる(再臨)ことをも待ち望む意味があり、後者を強調したセカンド・アドベントという言葉もあります。
 「待つ」だけでもそれなりに意味は通じるかと思いますが、それに「望む」を加えることの意味は、降誕と再臨の出来事に秘められた神の約束に希望を抱くということではないかと思います。地上に来てくださった神の独り子・キリストが、十字架の死によって全人類を罪から救い、復活によって、信じる者すべてに永遠の命を与えてくださる。そして、再臨によって神の国が完成し、約束された永生へと招いてくださる。そういった約束への希望です。

 降誕を待ち望むと書いたものの、キリスト誕生とされる年の翌年から始まった紀元後はすでに2020年を数えています。これも不思議な感覚です。ある本の中で次のように書かれていました。

待降節の時期に初めて教会に来たある人が、「教会の人たちはまるで劇をしているようだ」と思ったそうです。まるでキリストがまだお生まれになっていないかのように、降誕を待つ時を過ごしているというのです。これは、待降節を過ごす時のわたしたちのとまどいをよく見抜いているのではないでしょうか。わたしたちは何を「待つ」のか。アドヴェント(到来)とはどなたの「到来」なのか。

 今の時代が「『すでに』と『いまだ』の間」と表現されることがあります。「すでに」与えられているものに感謝しつつも、待ち望むべき「いまだ」の方(ほう)をもっと意識すべきなのかもしれません。キリスト誕生までの400年間預言者が出なかったという「(旧約と新約の)中間時代」の人々の心情に思いを馳せることも、一定の意義はありますが。

 アドベントの時期を意義深く過ごす助けとなる黙想書が、昨年立て続けに出版されました。

 この記事を出してからまだ1週間近くあるので、店舗購入・ネット購入いずれも間に合うのではないでしょうか。前者はショートメッセージ集で、後者は聖書を読むためのガイドと先人たちの言葉で構成されています。アドベントを知る助けにもなるのではないでしょうか。
 先に引用した文章の出典元は、2冊目のあとがきです。

 最後に豆知識を一つ。
 伝統的な考えでは、アドベント・クランツの一本一本に意味が込められています。第1日曜から灯す1本目は「希望」、2本目は「平和」、3本目は「喜び」、4本目は「愛」です。色は、3本目のみピンクで、それ以外は悔い改めを表す紫なんだそうです。
 一度だけこの実践例を見たことがあります。

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日本基督教団新潟教会新潟市 中央区、2018年)

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