【ネタバレ】ドット絵ノワール LACUNA
やっと褪せ人暮らしも落ち着いてきて、積んでるやつをぼちぼち崩すルーチンに戻ってまいりました。久々にゆっくり謎解きをするんぞ!という意気込みで崩したのがこちら。
安心の日本語完備ドット絵SF王道ノワール探偵もの。ネタバレはいつものように最後の最後に隔離しますのでさしあたりは大丈夫です。
LACUNAはこんなゲーム
とある恒星系に属する一惑星。テラフォーミング施設と思われる緑化されたドーム内にたたずむ少女から物語が始まります。ここは新しく植民が開始された惑星らしく、少女は母星で幼馴染だった少年と再会します。彼との短い再会劇から、少女の自宅でのリモート授業を通してドロヴィアとガーラの2勢力が対立するこの世界のあらましをなぞると、突然爆発音とともに大きな衝撃が走り、室内が赤色灯で照らされます。60秒以内にシェルターへ!という非常アナウンスが流れる中、少女が何とかシェルターに滑り込むと、すぐにシェルターを除くすべての施設が大爆発を起こしました。
――それから40年後のガーラ。カフェで別れた妻と語らう中央捜査局の捜査官ニール。ガーラを訪れたドロヴィアの要人警護のことで頭がいっぱいで、彼女の話がなかなか頭に入ってきません。帰宅して一眠りしていると、同僚からの電話で目を覚ましました。その要人が狙撃され、死亡した――犯人は?その目的は?ニールは現場に急行すべく、即座に家を出て電車に乗り込むのでした。
よし、比較的短くまとまったぞ。ゲーム自体は携帯に取り込んだニュースや同僚から届くメール、会話ログなどの各種データを駆使して各進行段階で推理をまとめて捜査が進展していくスタイル。推理が外れていたり、困っている人をほったらかしていると、どんどん不利な展開になっていくのも面白いです。ゲーム中任意で煙草が吸えますが、吸ったからと言って特にめちゃめちゃ有利になったり不利になったりという感じはなかったのでRPアイテムなのかな。まったく吸わないかめっちゃ吸ったかで実績はあります。
LACUNA、ここがいい
・豊かなノワールみ
ありがちと言えばありがちながら、正統派のノワールもの、という感じがよかった。そういうのがやりたくて買ったからな。
主人公は大都会に暮らす人もうらやむ高級官僚ですが、結婚の失敗、ぎこちない娘との関係など、内心には挫折や葛藤を抱えています。世界は搾取する側、される側に分かれ、貧富の差が激しく、人々の不満や怨嗟が渦を巻いていて一触即発。その中で起きた世界のパワーバランスを一気に崩しかねない大事件。そしてある事情から、主人公は組織の助けを借りずに一人で行動しなければならない場面が増えていきます。そんなゲームの流れがスタイリッシュな音楽と相まっていい感じに重苦しいドラマが展開されていくのが面白かったです。
・捜査の進め方
ゲーム中に何度か「シート」と呼ばれる捜査レポートを提出することになります。ドンズバでどこかに答えが書いてあるわけではないので、関連する資料にきっちり目を通して、関連する情報からある程度の推測を加えて結論を出す必要があります。正しく推理しないと味方に負傷者が出てしまったり、容疑者が死亡したりとろくなことにならないのでやりがいがありました。
・ドット絵
だって好きなんだもん仕方ないだろ。Unity製なので疑似2D風になっているのか、光の当たり方や透過の重なり具合なんかがとてもきれいで、よくできたドット絵アニメーションに新しい視覚効果が加わっていて、見てて楽しかったです。
ちょっと前の話ですが、Death Trashの作者さんが「なんでドット絵やねん。予算ちゃんと付けたらよかったのに(意訳」というレビューを挙げて、予算とか関係ないわベストやと思ってこのスタイル選択しとんねや(意訳)というようなことをついったでおっしゃっていました。つか君なぜドット絵とわかっているのに買った上文句を言うのか。ドット絵も職人芸なので予算とかあんまし関係ないです。ドット絵は技術。ドット絵に金を払う。ドット絵はいいものだ。
LACUNA、ここが残念
・ムービー部分スキップしたい&クイックセーブほしい
選択間違えたわちょっとやり直すわ!と言って一旦メインメニューに戻ってゲームをロードすると、その場所に着いたシークエンスの最初からやり直しになるんです。そしてだいたいその場所に着く時は電車に乗っているので、その電車がホームについてドアが開いて降りるとこを見なければなりません。めんどくさい。すっ飛ばしたい。っていうか間違えた直前のとこからそっこーでやり直したい。だって私には積みゲーの山が(ry
・もう少しサイファイみをだね
タイトルにもSci-Fiを冠しているこのゲーム、まあ世界観的にはサイファイみがあるのですけども、主人公が色々インプラント入れてる設定が弱かった。インプラントの更新ですよーってメール届いてたり、インプラントのおかげであんまし寝なくても大丈夫なんだよねみたいな説明ぐらいしかなくて、なんかこう、その設定いる?みたいな空気感があったのが残念。劇中で撃たれる人がいますが、「あっ俺硬質頭蓋に換装してるから頭撃たれても全然大丈夫やで」みたいな話になってればもう少しなんかリアリティあったかもしれん。
あとはネタバレの方に書くので
まとめ
・大ハズれはしないサイバー風ノワールもの
・やりがいのある捜査
・プレイ時間は長くないけど満足感ある
・マルチエンディングだけどチャプター選択して再開不可なので周回は面倒
・光の扱い方が上手で気持ちよく動くドット絵
・お手頃価格
・日本語完備
なのでこの辺が好きな人は買って間違いはない。ネタバレの方はまあポジティブな感想ではないけど完全に個人的な好みの話なので、ハードボイルドっぽい捜査ものがやりたいなら大丈夫。突然ふぇみふぇみしだして話投げっぱなしで主人公が野垂れ死んだりしないから安心してください(わかる人だけわかってくれ。
【ネタバレ部門】ストーリー
がねえ、ちょっとなんかこう、何ていうの?いやその人あからさまに怪しいやろちょっと!ねえ!っていう人の行動がミエミエすぎて、何かしんどかったなあって。その人がものすごく後ろ暗いところがあって、それでもその人の指揮下で働かねばならないお役所勤めの悲哀と言ってしまえばそうなんですけど、こんなに隠蔽下手な人、もうとっくに尻尾出して失脚しとるやろって思っちゃって残念でした。
んで、最後でその事実を明るみに出すか、そのまま埋めてしまうかを選ぶことになるんだけど、明るみに出すと内部通報者全然守られないの。まあ死なないだけマシっちゃーマシだけど、その時はクビになって記録の抹消もされそうになっちゃうにしてもよ、その人が退いたらその処分取り消しとかにならないのかなあとか。そして埋めてしまうと「悪事はいずれ露見するけど、俺は今もそいつの下で働いている」みたいな話になっちゃってなんかスッキリせんなあってモヤモヤしました。
娘が誘拐されて、当局に言うたらわかってるやろな?って言われて単独行動する件についてもですね、まあわかるのよ、わかるけどFBIみたいなとこで働いててそういう時の対処ってもっと個人でも組織全体でもマニュアルあるんと違うん?みたいな疑問を持ってしまったり。そして最後に意を決してみんなに話したら、「お前何やらかしてくれたんじゃ処分すっぞ」って突然チーフに昇格したからって長年のパートナーがいきなりそれは心ない仕打ちすぎやせんかそれ救出後の話でええやろとか。この辺りの紋切り型な感じがちょっとなんかちょっともにょっちゃったなーという不満が残ったゲームではありました。でもそれ以外は面白かったからいいのよ。ほんと。
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