電気の歴史
電気に関する現象は古くから知られてきましたが、科学の対象としては17・18世紀になってからです。
電気が実用化されたのはさらに後のことで、19世紀後半になって産業や日常生活で使われるようになりました。
その後、電気のエネルギー源としての使用方法の並外れた多様さにより、交通機関の動力源、照明などほとんど無限の用途が生まれました。
その多様な特性から電気通信、コンピュータなどが開発され、広く普及し、商用電源は現代産業社会の根幹となりました。
ここではもう少し詳しく時の流れに沿って電気に関する歴史を眺めてみましょう。
電気という言葉の語源
電気を表す英単語 electricity([elektron], 琥珀)は、琥珀をこすると静電気が発生する事に由来しています。
一方で漢語の「電気」という言葉は、ベンジャミン・フランクリンが、雷の正体は電気である事を発見した後に作られた言葉で、「電」は雷の別名であり、いわば「電気」というのは「雷の素」といった意味になります。
電気の認識の歴史
電気について知識がなかったころにも、電気を発生させる魚類の電気ショックに気づいていた人々がいて、デンキナマズやシビレエイによる感電の例をいくつか記しております。
それらの電気ショックが導体を伝わることも知られていました。
紀元前600年ごろミレトスのタレスは琥珀をこすって生じる力は磁力だと信じて、磁鉄鉱のような鉱物がこすらなくても発揮する力と同じものだと考えました。
後に電気と磁気は別物だが密接な関連があることが明かにされました。
電気による力と磁気による力とを区別したのはイタリアの物理学者カルダーノが最初と考えられています。
物質を導体と絶縁体とに分類したのはスティーヴン・グレイで1729年のことでした。
デュ・フェは、電気には2つの型(positive(陽)、negative(陰))が有ることを最初に示しました。
電気の発生
史上初の発電機は摩擦で電気を起こす摩擦起電機でした。1663年ごろにオットー・フォン・ゲーリケが発明した最初の摩擦起電機は、木の回転軸に取り付けた硫黄球を手で摩擦する仕組みでした。
蓄電器の一種であるライデン瓶が、1745年ライデン大学で、ミュッセンブルークによって発明されました。
ワトソン (William Watson) はライデン瓶で実験し、1747年に静電気の放電は電流に等しいことを発見しました。
18世紀中ごろ、ベンジャミン・フランクリンは雷が電気であることを示しました。
電気の正体
静電誘導とは、帯電した物体を導体に接近させると、帯電した物体に近い側に、帯電した物体とは逆の極性の電荷が引き寄せられる現象を言います。導体中を実際に電荷が移動することで引き起こされます。1753年にジョン・キャントン(John Canton)が、帯電体に金属を近づけたときに発生することを発見しました。
電流は電荷を持った粒子の移動によって発生します。
どんな荷電粒子(電荷担体)でも移動することで電流を形成できますが、最も一般的な荷電粒子は電子です。
水に電流を流すと分解されるという現象は1800年にウィリアム・ニコルソンとアンソニー・カーライルが発見しました。これがいわゆる電気分解です。1833年には、マイケル・ファラデーが電気分解の法則を解明しました。
電流に関する最も重要な発見をしたのはハンス・クリスティアン・エルステッドで、1820年に導線に電流を流すと近くにある方位磁針が振れることを明らかにしました。これが電気と磁気の基本的相互作用の発見であり、この発見から電磁気学が発展することになりました。
1821年、エルステッドは電流の流れる導線の周囲に磁場が存在することを発見し、電気と磁気に直接的な関係があり、電流が磁石に力を及ぼすと同時に、磁場が電流に力を及ぼすことを明らかにしました。
1831年、ファラデーが、磁場を横切るように導線を移動させると、その導線の両端に電位差が生じることを発見しました。この発見を応用し、ファラデーは銅の円盤を回転させて機械エネルギーを電気エネルギーに変換する世界初の発電機を発明しました。ファラデーが作ったこの円盤は原始的なもので、実用可能なレベルではなかったのですが、磁気を使って発電が出来ることを示しました。
発電機の歴史
非電気エネルギーを電気に変換することを、発電と呼びます。
蒸気タービンは1884年にチャールズ・アルジャーノン・パーソンズが発明しました。
今では全世界の80%の電力が、何らかの熱源で発生させた蒸気でタービンを回すことによって得られています。
1878年に米国のエジソンが白熱電球を発明したことが、一般的な電力需要を生みました。
1880年にテスラ(Nikola Tesla)が交流モータと交流発電システムを発明しました。
1832年にフランスのヒポライト・ピクシーにより現在の仕組みの発電機が発明されました。
その後交流電気が実用化され、1893シカゴ世界博覧会で10万個の電灯を交流で燈しました。その後交流方式が世界中の電力システムに採用され、トランスによって一般家庭で使用する交流の電気が作られました。
水力発電
発電機の動力として水力を利用した水力発電が1800年代後半に始まりました。
世界で最初の水力発電は、1878年にイギリスのウィリアム・アームストロングが自身の屋敷の照明を点灯させるために設置したもので、アームストロングは水力発電機の発明者と見なされています。
米国では1881年にナイアガラの滝の近くに水力発電所が竣工し、1882年にはエジソンによる水力発電所(直流、出力12.5kW)が竣工し、1886年には米国およびカナダに45の水力発電所、1889年には米国だけで200の水力発電所が稼働するようになりました。1890年にはウェスティングハウスが交流長距離送電を開始しました。
火力発電
初の商用発電所は、トーマス・エジソンにより建設され、1882年9月から稼働したニューヨーク・マンハッタンのパール・ストリートの火力発電所です。当時の動力は石炭燃料による175HPの往復動式蒸気機関でした。電気の需要地に近いエリアへ直流送電するため都市内に建設されたのです
1880年代後期にはニコラ・テスラとウェスティングハウのレクトリックによる高圧交流送電技術の実用化が進み、火力発電所も都市外縁部や郊外で、冷却水の確保に有利な河川沿いや沿海部に展開されるようになりました。
風力発電
イギリスでは1887年にグラスゴーのJ.ブライスが垂直風車により出力3kWの発電を開始したとされています。
アメリカでは1888年にクリーブランドのC.F.ブラッシュが直径17m144枚のブレードからなる巨大な多翼風車で12kWの風力発電をし、その発電機は908年まで20年間使用されました。
太陽光発電
半導体の接合部分に光を当てると電流が生じる現象、pn接合を発見したのはアメリカの研究者、ピアソンです。これが太陽光電池の発明につながる大発明となりました。1958年は太陽光電池が世界で初めて実用化された年です。
原子力発電
1951年には、世界初の原子力エネルギーを使った発電が米国で行われました。
まとめ
電気とはエネルギーの一形態です。
物体を動かすのもエネルギーです。
流れる水の持つエネルギー(運動エネルギー)で発電機のタービンを回転さて電気エネルギーに変えるのが水力発電です。
社会の多方面で増え続ける電気の需要に押されて水力発電は大規模になりました。
大きな水力エネルギーを得るために大きなダムが多数建設されました。
結果として環境破壊が問題となりました。
人の住む所からなるべく離さなければ大きな発電所を作る場所を確保できなくなりました。
結果として送電ロスが発生し、送電装置の保守費用も増大しました。
しかし、電気の需要は膨らむ一方です。
この事態を克服するために様々な発電方法が開発されましたが、全てに一長一短があります。
水力発電の場合、大型化しない限り全般的な電力需要には対応できません。
水力発電がこの困難を克服するには電力の使用目的を限定し、発電量を減らし、発電装置を小型化することが有効です。
こうすれば、使用可能な水源の種類が増加し、発電装置の設置可能な場所が増えます。
発電装置を電力の使用目的の場所に近づけることにより送電ロスも減ります。
これが小水力発電が注目される理由です。
(株)ユームズ・フロンティア 代表取締役 林 優
超マイクロ水力発電の開発・販売
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