プロダクト開発の難しいところ(水力発電編)
ユームズフロンティア代表の林です。
今回はものづくりベンチャー企業では共通する部分も多い、製品開発にあたって難しい点などを私の経験からお話しします。
2018年から本格的に水力発電のコア部分である水車の開発をしてきました。
はじめは知識がない分、あまり時間をかけずに市場に投入できる感覚でした。
実際には市場に投入できたのが2021年の秋ごろで4年近くかかりました。
その理由は、水力発電は昔ながらの技術は使っているものの、流体、機械構造、電気、材料、土木などさまざまな分野の知識が必要で、どれかがおろそかになると性能のよい水力発電は実現しないということでした。
私は幸い開発当初から設計に携わっている3人と今でも開発を続けております。
しかし、途中で加わってもらった技術者や販売担当者がやめてしまったり、うまく進まないことの繰り返しでした。
私もはじめは高校の物理の教科書から勉強し、先人の技術者にヒアリングなどを重ねながら開発を進めてきました。完全な素人でしたので会える人には片っ端から会っていただき、少しでも知識を吸収しようと必死でした。
時には海外まで行き、情報収集や技術を勉強したこともありました。
2019年には水車構造について2件の特許を出願し技術についてもやっと研究体制が少しずつ整ってきました。
ただまだまだ改良する点や未熟な部分があります。
今もっとも力を入れている部分は、異常を検知するための遠隔監視システム『Lupe ルーペ』です。
発電自体にトラブルがあった場合や災害などで停電になってしまったときの状況確認に力を発揮します。
発電は20年、30年と長期的な投資、運用になりますので、安全第一で停止している時間を最小限にとどめる必要があります。
また販売にあたり、お客様としてはエコ活動としてPRに使いたいという要望も多く、製品が親しみやすくエコなイメージをもってもらえるようなデザインを心がけております。
性能を向上できるような先進的なデザインを目指します。
水車技術が確立したとしても、設置場所を選定するための水条件調査にも時間がかかり、これらをおろそかにすると運用時にトラブルの原因になったり、予想より発電できないということもあります。
またマイクロ水力発電は発電出力が小さく、あまり発電しないイメージがあります。
しかし流れている水によっては24時間稼働できる場合もあり、太陽光発電や風力発電のように天候に左右されず、結果的に大きな発電ができることも多々あります。
それらをご理解いただくための普及活動もしていきたいと思います。
最近つくつぐ感じることは一人の能力では技術開発や普及活動にも限界があり、人の大切さを実感しております。
私たちは今、技術者3人、デザイナー1人、販売・事務2人合計6人で開発をしております。
これからは特に技術者人材を増やしていきたいと思います。
他社水車メーカー様との交流もありますので、ご教授いただきながら、水力発電全体が今後普及していくように尽力したいと思います。
クルット Webページ
https://crutto.tech/
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