CoffeeTalk感想
どうも紫陽花です。
今回は最近プレイしたゲームCoffeeTalkの感想を簡単に書いておく。紹介やプレゼンは目的としていないので、詳しい内容については他の優れた記事に譲るとして、ストアから概要を引用するに留める。
ジャンルとしてはADV、ビジュアルノベルになると思うが、選択肢ではなく提供する飲み物によって物語が分岐していく。VA-11 HALL-Aのフォロワーと言えば伝わる方もいるかも知れない。
私自身、まさにVA-11 HALL-Aをクリアした際にTwitterで勧められたのがプレイのきっかけだった。
全体の感想としては、喫茶店というシチュエーション、多種族が「共存」している社会の描写、ドットの表現と音楽いずれの要素も好みに合うものだった。人種、異文化間の摩擦や仕事、創作に対する哲学、あるいは恋愛、友情、親子の関係など普遍的なテーマがファンタジックな脚色で構成されている。
例えば、エルフとサキュバスのカップルは、家族(種族)について根深い問題を抱えているのだが、種族の特性として不死であり病とも無縁のエルフは一族から追放されるとその特権的な特性を失ってしまうらしい。
このエルフの青年は、恋人と添い遂げる為なら家族と縁を切る覚悟を語るが、居合わせた人狼の男は彼に健康保険の加入を勧め勘当された時の、健康と経済上のリスクを指摘した。
人狼は、満月の夜に変身して怒りの発作を起こす社会生活上の問題を抱えている。
この社会には人狼向けに変身を抑制する薬が存在するようだが、あまり信用のおける代物ではないらしく、彼の特効薬となる飲み物を見つけるのもバリスタの仕事である。
また人狼の友人の吸血鬼の男は血液に対する渇望を科学的に造られた人工血液で解決し、生き血を断つヴィーガン生活を送っている。
これらの要素はいずれもアメリカの保険制度や医療産業の構造に関係するものと言えるだろうが、ストーリー上重要な要素という訳ではないし、キャラクターが抱える問題の本質もここにはない。しかし、ファンタジーと現代社会を見事に融合させた設定が、キャラクターの人生に奥行きを与えていてとても魅力的だった。
(もちろん今挙げたのは、登場人部のほんの数人についての話)
キャラ造型といえば、プレイを開始してすぐに主人公であるバリスタにはVA-11 HALL-Aのジルとは違い、名前やビジュアルが与えられておらず、1人のキャラクターとしての存在感は薄そうだなと思った。
ところがプレイしていくにつれて、バリスタの言動は穏やかでコミュニケーションに長けていながら、謎めいた十分な個性的を持っていることに気付き、ジルのように個人の問題を扱い、その人生を再建するようなストーリーではない今作においては名前とビジュアルを与えない方針が正解だなと納得したが…
1周目をクリアすると、バリスタの秘密が仄めされつつ2周目に入っていく。バリスタのキャラ造型と、登場人物の婚活宇宙人ニールの存在が本作のテーマを総括しているような気がする。
ストーリー以外では、ゲーム内で読める短編小説も面白いし、店内BGMの体裁でかかる音楽も素晴らしい。
1周5、6時間でプレイできるボリュームながら非常に良い読後感だった。続編もあるらしいのでそのうちプレイしたい。
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