#150 学習効果とは何か(3)学習効果を高める
過去から累積が増えたとしても、年間生産量が減るとかえってコストは上昇してしまいます。
繁閑が激しいと効果がなくなります。
追加生産しても改善が全く見られないことが起きます。
これを「高原効果」「高原状態」と言います。「頭打ち」ですね。
Hirchmann,W.B.は「天井心理」(ceiling psychology)を言います。これは 「前持って決めた目標を達成してしまうと進歩しなくなる」ことです。 よって、コストプラス型の下請け契約の方が、学習曲線に沿ってコストが下がるようなことが起きます。
また学習効果の原因を探してみると、実際には、製造方法自体の変化が貢献していることがわかります。たとえば、
大量生産に向いた製造法へ
機械器具の用意して量産体制に入る
大量生産に合ったデザインに変える
そのための経営者の決断、スケール観
です。
みなさんの業務や専門職業のスキルアップに当てはめてみましょう。これが年功賃金の根拠になっているということです。
したがって、せっかく得た知識や技能が無くなったり、流出するのは避けたいです。
さらに、それらを部署内や会社内で共有して他の人のレベルを上げることも重要です。
特に、伝えにくい「暗黙知」を社内共有しようというのが経営学のSECIモデルというものです。
これは 「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「連結化」(Combination)、「内面化」(Internalization)という4つの変換プロセスを経ることで、集団や組織の共有の知識(形式知)となると考える。
ある個人の学習効果が高まってくると、「仕事に慣れてくる」ということになります。しかし人間は「飽きてくる」という性格も持っています。
専門性が深い分野ですと、飽きることはないのですが、もう進歩についてゆけない、若い人に負けるというようなことも起きるでしょう。