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#305 犯人に「思い込み」「論理の飛躍」はあるのか?「司教一致」も。日本における宗教右派の動きを甘くみていた私

安倍さんの殺害。元統一教会の事件ではいろいろ切り口がある

元統一教会が政治を裏で影響していたのか?なぜそれを見逃がしてしまったのか?反社団体を大手メディアも報じなかったのは悪い、とかに私は関心がある。

実際、NHK、フジ、テレ朝はほとんど報じない。全国紙も濃淡がありすぎる。生まれて初めて体験する異常な状態。なんなんだ。絶対に忘れないぞ。

当初「元統一教会」の名前すら出ていなかった。これらメディアは異常だ。記者クラブでの質問も稚拙すぎてイライラする。

山上容疑者が安倍氏と統一教会につながりがあると「思い込んだ」と報じた。「思い込んだ」はおかしいではないか。実際、強いつながりがあるのに。

識者は言う。「犯行の動機に(論理に)飛躍がありすぎる」と。

本当にそうか?うわべの現象だけで見ていないか?

事件直後は「言論封殺」「民主主義への挑戦」などと言っていたのもトーンダウン。むしろ政治家やメディアの弱みが露呈した。

そのことを書きたい。

まず最初に、私は日本における宗教右派の動きをウォッチしていなかったことを自身反省したことを告白する。

左翼、極左。右翼。右派これらは一応チェックしていた。ただし、極端な思想の人々ほど目立つけれどそれほど影響力があるとは思えなかった。

これが宗教右派になると組織的になる。

私の場合、アメリカにおける福音派と共和党、政教分離についてはかなり勉強してきたつもり。もちろんリベラル派も。

私の趣味の一つが大統領選と言っていい。

最近は、欧州のネオナチ、極右派、キリスト系右派、あるいは環境系、人権系の左派の動きもチェックしている。

日本の左翼。共産党、全学連、革労協などの学生運動、あるいは過激派と呼ばれる、中核派、革マル派、赤軍派などは少しでも知的好奇心がある人なら関心が髙いはずだ。

さらに労働組合、人権、護憲、反核、環境保護団体まで共産党系と社会党系に分かれていてわかりやすかった。

ところが日本における宗教右派の動きにはほとんど関心がなかった。

たしかに天皇制、靖国神社などと神道系のつながりはわかる。そこに自民党などの保守派と結びつきがあることは知っている。

例えば「なぜ、その男系男子なのか?」について話を聞いても、結局のところ「万世一系だから」で終わってしまう。確かに保守。最後は精神論。

これが理論派という方々のリロンらしいので私にはさっぱり理解できないし、残念ながら議論がかみ合わないのです。見ている方向や尺度が全く違うのだ。

その間にも神道系などの宗教団体がこれまでしつこく、熱心に、長く、地道に、お金をかけ、何よりも人生をかけて続けていることに思いがなかった。背後に強い宗教心と反左派があるだけに。

私たちにはとうてい真似できない。

あっぱれである。ある意味、うまくやり続けた。

右翼といえば「日教組粉砕!」とかの街宣車や暴力団まがいの任侠右翼、タレント右派(櫻井=元クリスチャン・サイエンス・モニター、ケント=モルモン教宣教師など)、保守論客(かつての渡部、西部、江藤や中西、西尾、小林なんか)ネトウヨが賑やかだったり威勢がよかったり目立つけど、宗教右翼は目立たない。

暴力団などとは違うとして「民族派」を標榜しているらしい。ナショナリズムなネーミングだと思うけど。(ところで、彼らは反日とか売国とかいう罵倒が好きだけど、日本が元統一教会にこれほど食い物にされてどう思っているのか聞いてみたいものだ)

よってマスコミが手薄になるのはわかる。だって日々、何も起こらず、ある意味、政治に合法的に近づいているのだから(霊感商法などは別にして)。そんなこと多くのロビー団体がやっていることだ。

他と何が違うかというと、精神的なもので、利益誘導など直接的な経済的金員を要求しているように見えないのだ。

彼らは創価学会の真似はしない。オウムや幸福のように自ら結党したり立候補することはしない。あくまで裏で行くことを選んだ。いやむしろ選ばざるを得なかったのだ。

しかも元統一教会はもちろん、かなりの新興宗教も垣根を越えて結束して行動していることは知らなかった。この構図は簡単には理解できない。

宗教法人としての利害が一致している。

それは反共がある(簡単に言えば共産主義は「無神論」だからね)。

もう一つの結束要因は創価学会の躍進。

ほとんどの宗教は、共産主義または社会主義などの現代に関連する全体主義や無神論のイデオロギーに反対する。

よって共産主義の驚異から戦後の自民党など宗教団体と結びつきを強めた。それが冷戦が終わっても続いてきた。

国際勝共連合をみればわかる。

理論右翼のほとんどは「生長の家」の信者あるいは二世、三世である。ただし、現在の「生長の家(北杜市)」自体は左派に転向しており、政治活動は全くしていないことに注意。

よって右翼の考えはほぼ「谷口雅春」の考えに一致している。

右派のシンポジウムや雑誌の顔となっているのは、5人ほどでいつも同じ顔ぶれ。自身の分野と関係ない人が突如登場したりする。重要人物は10人(百地章、伊藤哲夫、髙橋史郎など)ほどで60年代末に長崎大学で打倒全学連(民青+三派全学連)で自治会を勝ち取った人(安東巌、椛島有三の日本青年協議会)が中心となっている。

ようするに「日本会議」である。事務総長は椛島有三。

1997年に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」を統合して設立された。前者は1973年、伊勢神宮で神社本庁と、生長の家など反共右派宗教団体で始まった。後者は元最高裁長官の石田和外の呼びかけで、1978年に発足。議長は指揮者の黛敏郎。

目黒区青葉台3-10-1VORT青葉台II601号。 

日本青年協議会・日本協議会・日本女性の会も同じ場所にある。つまり椛島という人物が50年以上に渡って事務すべてを取り仕切っているのである。全国学協(全国学生協議会連合)のOB会である日本協議会の会長、日青協(日本青年協議会)会長である。

大会やシンポジウムなど動員のうまさは大手広告代理店やイベント会社のよう。

清和会(安倍派)とズブズブ。

村上正邦(参院のドン、KSD事件で実刑)、衛藤晟一(現首相補佐官)を送り込んだ。井脇ノブ子(全国学協を結成。小泉チルドレン)もそうだ

なぜ安倍をアイコンとしたのか?それはおじいちゃんから続く改憲への執念一家だったのが大きい。ここが接点。

もちろん岸から三代に渡って統一教会、韓国系とのつながりがある。これは「思い込み」ではない。

私たちは、「なんで夫婦別姓ってダメなのかなあ?周りに反対する人いる?」

「こども庁」がなんで急に「こども家庭庁」になったのか?家庭のコトバにこだわる人って何?などとボヤっとしていた。

2006年12月15日第1次安倍内閣の下、参議院の本会議で教育基本法が施行以来59年の初めての改正で全部改正。日本会議会長であった三好達は「今の日本人のままでは適正な憲法改正はできない。まず教育基本法を改正し、国民意識を立て直した上で憲法改正に臨むべきだ」

4月27日は「みどりの日」だったのに2007年から急に「昭和の日」に変わったのに気づいていない?

小さなところでは、正月三が日の皇居で見るたくさんの日の丸の小旗は誰がお金を出しているのか?

答えは日本会議と清和会などの圧力。

すさまじく強力でしつこい人たち。

数年前にこれ関係の書籍がちょっと話題になった。特に森友学園(籠池)の問題の際に著者「菅野完」がクローズアップされた。ちょっと怪しい人。

同じ頃、青木理が同種の書籍を出している。まあ左派の権化みたいな人。安倍嫌いの先鋒。

よって私はスルーしてしまった。先入観がじゃまをした。これは大いに反省する。

それらも含めてじっくり落ち着いて読んでみた。100%賛同するわけではないが非常に参考になった。

その中から一部紹介。

菅野完(2016年5月)「日本会議の研究」扶桑社新書
青木理(2016年7月)「日本会議の正体」平凡社

藤生明(2017年5月)「ドキュメント 日本会議」ちくま新書

樋田毅(2018年2月)「記者襲撃」岩波書店

藤生氏は朝日新聞からAERA編集部。日本会議が日本を陰で動かす、牛耳る、裏組織という書き方はしていない。たしかに巨大で強力と見せるのがうまいわけだから、そういうイメージを持つことは、彼らの思うツボだと思う。

樋田氏は朝日新聞の元記者で阪神支局襲撃事件「赤報隊」を追いかけている。この本でも右翼を追っている。ところが第5章に突如、統一教会(本ではα教会となっている)が出てくる。

塚田穂高によると「統一教会の上層部には日本会議の会員も多く、~世日クラブにも日本会議関係者が多数いる」と述べている(wikipedia)

朝日新聞と元統一教会は、相互の霊感商法と反朝日キャンペーンで「手打ち」していた。(赤報隊の事件に関係)⇒ たぶんこれが今も効いているはず

統一教会は20を超える銃砲店や射撃場を経営していて、韓国などで演習している

政治家は選挙ボランティアなどの応援してもらったという。政治家は「完璧にわからないから、何もチェックしない」などと開きなおる。それでけではない、何人もの秘書も送り込まれている。後援会すらつくってもらっている人も。だから手が切れないのだ。

政治家と元統一教会、あるいは宗教右派。これだけではない、最高裁判所判事と日本会議もつながりが見られる。「政教一致」だけでなく「司教一致」を懸念する。「日本を守る国民会議」は元最高裁長官の石田和外。石田から「英霊にこたえる会」を継いだのは元検事総長の井本台吉。元最高裁判事の三好達は15年間「日本会議」の会長。海軍兵学校卒。97年の「愛媛玉串料訴訟」で裁判長であり、合憲判断しその意見は「会議」そのままだった。トランプのおかげで人工妊娠中絶がくつがえったアメリカの司法を対岸の話にしていないか?

国葬はただの大きい葬儀ではない。右派にとって安倍を神格化し、彼のやりたかった改憲の思いを引き継ぐ遺贈セレモニーなのだから。

私は犯人の山上はこうした本なども熟読していたと考える。私たち以上に真剣に。死に物狂いで。だから「思い込み」でなく確信し、「飛躍」でなく連続的につながったのだと思う。

私にとって、犯人の「論理の飛躍」はかなり縮まった。

ただし、元統一教会、日本会議など民族派は数は思ったより少なく直接票になるとは思えないが、政治家に対する圧の強さと強引さで大きい(事件さえも利用し)強いイメージを植え付けるのがうまい。裏で暗躍しているように思うと彼らの思うツボだ。また政治家も彼らに屈服したように見せて利用しようとしている面もあるだろう。

まあ思うに、私が初詣などで神社の箱に入れたお賽銭、あるいは神宮外苑で遊ぶとそのお金の一部が政治工作に流れることになるよな、と変な気持ちになった。

皆さんはどう感じるか。是非、読んで欲しい。


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