#297 意思決定理論(5-3)サンクトぺテルブルクのパラドックス
St. Petersburg Paradox
1738年、サンクトペテルブルクに住んでいたダニエル・ベルヌーイが発表。
人は期待値ではなく「効用」で動くことを示した。
コイン投げで表が出たときに賞金をもらえるゲーム。
賞金は、1回目に表が出たら1円、2回目に表が出たら倍の2円、3回目に表が出たら4円・・・と倍々で増える。
投げた回数を n とすると、2n−1円もらえる
さて、このゲームの参加料はいくらまで払ってよいか?という問題である。
期待値を計算してみると無限大になります。
もし人が期待値で行動する場合、参加料はいくら高くても参加するはずです。
じゃあ一億円払うとしましょう。
ところが1/2の確率で1円しかもらえない。ほとんど(99.9%の確率で)512円以下しかもらえない。
ベルヌーイは、主観的価値の「効用」を持ち出して、参加料に限度があることを説明しました。
つまり、人は期待値ではなく効用で行動するということです。
必ずしも期待値で行動しないのは「アレのパラドックス(Allais Paradox)」にもありました。独立性の公理に対する1つの反例でしたね。
実際には大当たりすることがまれに起きるのでカジノでは賭け金の限度が設定されます。
倍々で賭けていく方法は「マルチンゲール」といいます。これはファイナンスのリスク中立化のところで出てきます。
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