#223 お札を刷れば通貨発行益?
シニョリッジ。seigniorage
政府・中央銀行が発行する通貨・紙幣から、その製造コストを控除した分の発行利益。
通貨を発行することができれば儲かりそうな気がします。
たしかに、通貨が信任されている限りは、シニョリッジの効果はうまれる
政府の発行する硬貨について、製造費用と額面との差額は政府の貨幣発行益となります。
ただし。これはコインの場合に限ります。
ところで、記念コインを発行してタンスに隠されてしまえば経済への影響はない。発行益は政府のもの。これで出世した財務官がいたとかいないとか。
一方、紙幣の場合は違う。
この場合のシニョリッジは、発行対価として買い入れた手形や国債から得られる利息部分だけです。
日銀券の製造コストと額面の差額ではありません。
なぜなら、紙幣を刷ってもどう出すかが問題であって、政府がもつ国債を買いオペなどにより資産として買うことで世の中にお金が流れていきます。
紙幣を発行すると日銀の貸借対照表(BS)の負債となります。
「利子なしの日本銀行券を発行」して「利子がもらえる国債」を買うことで市中に出回ります。そうすると政府から見れば、
「利子つき」-「利子なし」=「利ざや」
が発生します。これがお札のシニョリッジです。
これは国庫納付金になります。これらから国債の利子がまた支払われます。(グルグル循環している)
金融を勉強し始めたとき「へー」と思ったくらいですから、まだ勉強していない人はわからないはず。
シニョリッジは、普通の人が考えるほど大きくはない。
政府紙幣は国庫の負債であり、無利子国債の発行と同じ。インフレ懸念があれば無利子国債は(政府紙幣も)流通しないはず。
シニョリッジとは関係ないけど、似た話題を。。。
我が国では元首相がふれ回っている。
「皆さん、どうやって日銀は巨額な国債を買うと思いますか?紙とインクでお札を刷る。20円で一万円札が出来るんですよ!」って。
日銀引き受け&シニョリッジの合わせワザを言っているのかなあ?現代貨幣理論(MMT)の事?
あと、「インフレなどお札刷れば簡単に起きる」
刷ってもどういう手段で市中に出すかまでは頭が回らないらしい。買いオペ?
日銀が新発国債を直接引き受けろということだろうか?国会の議決を必要とするほど大変なこと。
こういう感覚で説明するのは、聞いている人が××な人なら「そうかも」と思うと思うけど、国民は××だと思って低レベルでしゃべっているのか?本当にそう思っている本人が××なのか?
「だったら、ヘリコプターで捲け!」日銀が国債買い入れで財政資金を供給する「ヘリコプターマネー」というリロンもあった。
ところで仮想通貨などトークンを発行すればシニョリッジを得ることが出来そうですね。
だからみんな発行したくなるわけです。
電子的であれば発行コストが限りなくゼロに近いですが、実際はかなりのコストがかかっているはずです。
それはともかく、紙幣になぜ価値があるかと突き詰めて考えれば「みんなそう思っているから」となります。
つまりその通貨あるいは発行体に信任によるわけです。
今や先進国ですら信頼されていない状況をみると大変です。
特にインフレ。
トークンも裏の信頼によるわけです。
特に発行量。
初期値ゼロだったトークンが上昇してきたからと言って、自分でつくって時価を得ようとすると一挙に信頼を失います。
どこの馬の骨かわからん輩に信頼など寄せるお人よしなどいるのだろうか?
シニョリッジ欲しさに仮想通貨つくろうなんて人がいたとしたら「なんと単純な人なんだろう」と感心します。