#159 垂直統合 VS 水平分業
ビジネスの分類が続きます。
「垂直統合vertical integration」は「縦の系列化」
特定事業ドメインの上流から下流までを統合して競争力を強めるビジネスモデルのこと
前提として、垂直の分離から始めないといけません。
専門特化と分業という経済原則が根底にあります。
映画の製作・配給・興行のすべてを独占支配する縦型の組織体型が典型
米1940年代に違法とされ、パラマウントが分離しました。
新東宝による製作で東宝による配給と分かれましたが倒産しました。
自動車産業、石油小売業などで進みます。
それが逆に垂直統合に進みます。
M&Aで川上や川下の企業を取り込んだりします。
シャープは、亀山工場で液晶パネルから液晶テレビの組立までの垂直統合を行い成功しました。かつてのIBMもそうです。
ユニクロなどSPAは垂直統合ともいえます。PBの発展形なのでしょうか。
※ 注意すべきは、「垂直分業」という用語は、途上国と先進国の間で縦のラインの生産活動を分担し合うことで使われます。経営の話とは別です。
さて、2000年代から電子機器、家電などでは「水平分業」が進みました。
水平分業horizontal specialization
企業が製品の開発・製造の各段階で外部に発注して製品化すること。効率化、柔軟化に利点があります。
得意分野に特化できる強みがあり、過剰投資を避けるという利点がある。他方で、その製品 やサービスのシェアの拡大をめざすためには、得意分野に偏り、経営環境の急激な変化に対応しにくいという面がある。
アップル社、ウインテルが有名です。
この水平分業は「標準化」がキーとなります。2000年代の進展はインテルが中心となって進んだというのが定説です。(もちろん、デファクトな、です。官主導や協議ではありません)
これでパソコン、家電などはコモディティ化が進みました。家電に強かった日本は大打撃を受け、市場からいなくなってしまいました。
経営学でも垂直か水平かで論争が起きました。
技術革新、産業構造転換、国際情勢変化などに伴って、水平分業と垂直統合の間を行き来していることになります。
※ 用語の注意ですが、海外では、垂直分割vertical disintegration、垂直分業vertical specializatioと呼ばれます。まぎらわしいですね。
※ また、「水平統合」という言葉もあります。これは企業の連携や、製品の共同配送などのことです。