見出し画像

#216 ジェイコブズ批判と最新ビッグデータ検証

ノンフィクション作家・ジャーナリストびジェイン・ジェイコブズJacobs [1961] 「アメリカ大都市の死と生」

『アメリカ大都市の死と生』 黒川紀章訳(抄訳、鹿島出版会、1969→同:SD選書、1977)、 山形浩生訳(全訳、鹿島出版会、2010)

60年代の政治運動の時代の都市論

今でも都市計画系の研究者や建築家など影響を受けている人は多い。

少し前のリチャード・フロリダ Florida[2002]「クリエイティブ資本論」

都市のクリエイティブ層という一種の知識集約型産業の従事者に着目している。大都市周辺に済みコミュニティへの参加意識、豊かで創造的な体験を重視し、地域社会を開放的で魅力的なものにするなどの特徴を持つ。
 ① 技術 Technology ② 才能 Talent  ③ 寛容性 tolerance

これもジェイコブズの影響がある。

これに対して経済学者の批判は容赦ない

ロバート・ソローが書評において分析不足と小話による一般化と確信、経済学に対する無知を痛烈に批判している。

コトラー [2014]も「この層が街と中心地域の経済を再活性化できるという仮定は、いくばくかとってつけたよう」

モレッティMoretti [2013]は、“ものごとの原因と結果を混同してはならない”と痛烈に批判している。「クリエイティブ・クラス」の誕生のような現象は観察されていない、と。

Friedman[2005、2006]「フラット化する世界」の「ネット・コミュニケーションの発達で地理的な意味は薄れた」

これも批判する。これとは逆の都市化が進んでいると。

それが、ビッグデータの時代になって検証も進んでいる。

東京大学先端科学技術研究センターの吉村 有司、熊越 祐介・小泉 秀樹らの最新論文

Yuji YOSHIMURA*, Yusuke KUMAKOSHI, Sebastiano MILARDO, Paolo SANTI, Juan MURILLO ARIAS, Hideki KOIZUMI, Carlo RATTI

”Revisiting Jane Jacobs: Quantifying urban diversity”『Environment and Planning B: Urban Analytics and City Sciences』

ジェイン・ジェイコブズの都市多様性の概念を生物学で提案されている「種の多様性指数」を用いて定量化し、都市環境への経済的な影響を検証した。

「ジェイコブズの都市多様性の概念の指標化および今回実証した効果は、都市計画やまちづくりといった分野にデータに基づいたアーバンサイエンスという新しい局面をもたらす可能性を示すものである。」






いいなと思ったら応援しよう!