「差別化」は戦略だが、「独自性」は戦略ではない。
「独自性と差別化」、「差別化と独自性」。この語順のどちらが正解でしょうか?正解は「独自性と差別化」です。「差別化と独自性」では意味がおかしくなります。
「独自性」とは、「相手(顧客)から見た意味のある違い」です。「独自性」があるかないかは相手の価値観で決まります。「独自性」は相対的なものなのです。価値を生み出すには、相手の価値観を知り、その人に「独自性」を認めてもらう必要があります。
これに対し、「差別化」は二つの条件でできています。一つ目は「独自性があること」です。つまり、「独自性」は差別化の前提条件なのです。
そして、二つ目は、提供する商品やサービスが高値で売れること、もしくは利益があがることです。いくら「独自性」があっても、実際に売れて、利益が出なければビジネスは失敗です。
整理すると、「差別化」とは、まず、相手(顧客)を選び、その人から見て意味のある違い(独自性)を作ること、そして、それによって利益が得られる(もしくは高値がつけられる)ことです。
差別化とは、独自性があり、しかも、ビジネスとして成功(利益が上がる・高値を付けられる)することなのです。
「独自性」だけではビジネスはうまくいきません。たとえ、相手が意味のある違いを認めてくれたとしても、その商品やサービスを実際に買ってくれるかどうかは別の話だからです。
商品・サービスが実際に売れて、それによって利益が上がることで初めて「差別化」に成功したと言えるのです。
世の中には、マスコミやSNSで大きな話題になったのに、全く売れなかった商品サービスはたくさんあります。それら独自性があっても、差別化には失敗したのです。
ビジネスにおいて戦略とは最終的に利益を出して、組織を存続させることを目指す手段です。独自性があり、その上で利益を出すことを目指すのです。
ですから、「差別化」は経営戦略ですが、「独自性」追求はその最初のステップであり、経営戦略そのものではありません。
独自性のあるものが差別化に成功するまでには、さらに多くの問題・課題を克服する必要があるのです。