マネジメントとは経営すること、では、経営とはマネジメントすること?
マネジメントとは何かと尋ねられると「経営することです」と答える人がいます。
その人に、「では、経営するとは何ですか?」と聞くと「そりゃマネジメントすることですよ」と言ったりします。なんだかおかしいですね。
このように堂々巡りする説明を「循環論法」といいます。実は、循環論法は日常生活でもよく見かけます。
例えば、騙されていそうな人に、「どうしてそんな話に乗ったの?」と聞くと、「だってAさんは信用できる人だから」と答えます。「どうして?」と聞くと、「Aさんはいい人だから」と答えます。さらに、「どうして?」と聞くと、「だって信用できる人だから」と話が振出しに戻ったりします。
循環論法の大きな問題は、明確な裏付けのない言葉が信ぴょう性を持って語られてしまうことです。
冒頭の「マネジメントは経営することです」は実質的な内容がない点が問題です。ところが、ぼんやり聞いているとなんだか意味のある話のような気がしてしまうのです。
ところが、「じゃあ、今からマネジメントしてください」と言われても、何をするかがよくわからないのです。「経営してください」と言われる場合も同じです。循環論法には落とし穴があります。
循環論法は日常のさまざまな場面に登場します。「コピーを先に取らせてもらえませんか?コピーを取らなきゃいけないんですよ。」は循環論法です。後の文に意味はありません。
ところが、循環論法を使う方が相手を説得しやすいことが分かっているのです。
例えば、「コピーを先に取らせてもらえませんか?急ぎなんです」ならば理由があります。しかし、「取らなきゃいけないんですよ」という理由のない循環論法にも同じぐらいの説得効果があるのです。
実は、「神は存在する。聖書にそう書いてあるからだ。聖書は神の言葉なのだ。だから正しいに決まっている」も循環論法だったりします。
循環論法には良くも悪くも強力な効果があるのです。