「学習」とは?
経営学者のピーター・センゲ著の「学習する組織」によると、「学習」には二つのタイプがあるそうです。
ひとつは、「適応学習」で、野生動物がその環境で生き残るすべを身に着けるというタイプの学習です。一般的には、「学習」といえば、この適応学習を意味することが多いでしょう。
もう一つは、「生成的学習」で、学ぶことを通じて世界の認識を刷新し、世界と自分との関係を捉え直すというものです。不確実性を増した世界で、私たちが生きていくためにはこの「生成的学習」が必要になるといいます。
この「生成的学習」に似たコンセプトに、教育分野でエンゲストロームが提唱した「拡張的学習」というものがあります。
これは、従来の「すでにあるものを学ぶ」というタイプの学習ではなく、「いまだここにはないものを学ぶ」学習なのだそうです。
現在のように不確実な状況では、未知の出来事に遭遇する場面が増えます。今までのような学習の考え方では、「これは経験したことがないので対処できない」ということになってしまいます。これでは厳しい環境を生き抜くことはできません。
「拡張的学習」とは、主体的な行動によって遭遇する、矛盾、制約、問題、課題などの新たな事態に真摯に向き合う中で、自分自身を方向づける新たな学びを得ようとするものです。
センゲの「生成的学習」もエンゲストロームの「拡張的学習」も、不確実な状況下で主体的行動を行う場合の原則について述べたものと考えられます。
表現は違えど、主体的行動、試行錯誤、フィードバック・方向修正、といったシステム思考の影響が伺えます。
ハイブリッドワークライフとは、主体的行動によって自身のキャリアを切り拓こうとする考え方です。似たような考え方がさまざまな分野で登場していることに注目する必要があります。