今年はこの5曲と出会えただけで良い1年でした2021
パンデミック真っただ中でライブもフェスも全てポシャり道楽に飢えていた去年、今年は状況が少しだけ良くなって、地元札幌で2回、大阪で2回、福岡で1回好きなバンドのライブを観た。春に2,260㎞南に住む男と遠距離恋愛を始めたおかげでライブの為に飛行機に乗るハードルがだだ下がりだった。いいのか悪いのか………。
最低賃金で働いていた学生時代、良い給料は貰っていたけど精神に余裕がなかった社会人1年目、フリーター極貧生活を送っていた社会人2年目、再び正社員で雇われるも思いがけずブラック企業だったせいで金もなければ休みもない社会人3年目を経て、2021年は社会人4年目、ずっと憧れていた「好きなライブに好きな時に行く、そのための金は惜しまない」をやっとやれた。別に収入は変わってないのに。貯金が減っていく一方です。ヤケクソ。
そんな2021年に出会った曲たちです。
slow dance / スネオヘアー
なにがスネオヘアーだ。サブカルお洒落マッシュめ。元WHITE ASHののび太ものび太のくせに歌い出すと歌うまネイティブ眼鏡だし、みんな名前詐欺。でもそういうインパクトって大事ですよね。なんの話?
2021年はスネオヘアーの年だった気がする。やたらめったら聴いた。聴く度に好きになった。
去年ゆれるを好きになった時「もっと早くから聴いておくべきだった」と悲しくなったんだけど、スネオヘアーを聴いたときは「好きになるのに遅いも早いもないな」と思った。この曲は9年前の曲、これを聴く前に最初に聴いて好きになったセイコウトウテイは18年前の曲。そういえば一時期スーパーカーにもハマったりしたんだけど、一番聴いたLuckyがリリースされた時なんてまだ3ちゃいだったらしい。今年はそういう出会いが多くて嬉しかったな。
すげえ面白かった本とか映画とか、「これをまだ見てない人が羨ましい、初めて見るドキドキを今から経験できるんだから」って思ったりしませんか。わたしはするんだけど、こういう出会いはなんか、今出会えたわたしのことお前ら羨ましかろう!みたいな気分になる。まだドキドキ残ってる。羨ましいだろ。これからもっと好きになれるんだぜ。
スネオヘアーはロックなんだけどポップで、でもポップスではない感じがすごくツボ。鳴っている音はギターロックなのに尖りがなく、かつ疾走感はあって、歌詞は若干暗くて内省的。好きです。こういう音楽を好きな自分のことも好き。
この曲は、夏の小雨が降っている夕方か、冬の朝って感じ。全体的な雰囲気も好きなんだけど、イントロのギターのフレーズと「そんなに意地悪しないで」の部分の音程の動きがなんかものすごく性癖を刺激してくる。ああ~~~そのメロディーライン………すき………気持ちいい………。この箇所だけで恋に落ちたと言っても過言ではないです。会社帰りにいつも聴いてた。
八月/People In The Box
スネオヘアーと違って、始めて聴いたときの「これは!!!!」みたいな感覚は特になかったんだけど、思い起こせばぼんやりと結構聴いていた。無類のピープル好きである恋人が弾き語りで聴かせてくれたのがきっかけだった。ちなみに恋人は歌がものすごく上手い。youtubeで眼鏡を吹っ飛ばしながらサンボマスターのコピバンしてる動画がコピバンなのに57万再生を叩き出している。おもろい。
BUMP OF CHICKENのsupernovaという曲に「熱が出たりすると気づくんだ 僕には体があるってこと」という歌詞があるんだけど、マイナスにプラスを気づかされることって多々あると思っていて。
この曲は『死』がかなり近い距離感で歌われていて、だからこそ『生』も色濃く感じる。いろいろ長々と歌った結果最後は「君は息をしてる」ですからね。息してんだよ。だからあの時とかあの時とかに死ななくてよかったよなって話だよ。
ああ美しいものって残酷だけど、だからこそ美しいよなあ、と思わされる曲です。メロディーも歌詞も。わたしの人生が映画だったとしたら、死ぬ瞬間をスローモーションで流しながらこの曲をかけたい。突然クソ暗い例えをしてしまったな………。
LOVE LOVE/MONO NO AWARE
さっきもちょろっと書いたけど、2021年、「Youtubeでバズってたサンボマスターのコピバンの動画のボーカルに惚れ込んで2年間ネトストし続けた結果やっとの思いでアカウントを特定、DMしたら付き合うことになった」という今までの人生で一番おもろい流れで恋人が出来た。なんだそれ。気になる人はYoutubeで「サンボマスター 関学」とかで検索かけてください。クソダサアメリカンイーグルのパーカーを着たモサ眼鏡がおれの恋人です。
で、16歳の頃から一緒に悪い話ばっかり共有してきた悪友にその恋人の話をしていたら、いきなりこの曲のURLが送られてきた。
恋に恋しているうちはまだまだこどもなんだよと
得意げに言う人の前で君とキスをしたい
あーーーー。ああ。そう、そうか………。と思った。いや語彙力よ。
わたしも悪友もかなりの熱量で身を削るように恋をするタイプで、それが故にいらない傷を増やしてここまで来た。その傷を共有し合ったり馬鹿にし合ったりしながら10年一緒にいる。その片割れが、よくわからない波に乗って爆速で新しい恋に駆け出していたタイミングで送る曲として、そうですね、100億点です。伊達に10年一緒にいないねうちらは。ズッ友って………コト!?
あまりに盲目的な恋の歌。君が泣いたらすぐにでも行けるように街中に監視カメラを隠したいし、君の世界が美しく見えるようにコンタクトレンズになりたい、君を素敵な景色の街へと連れて行くためにお気に入りの靴になりたい、君が空腹を訴えればシェフになりたいし君が不調を訴えれば医者になりたい、最終的には宇宙の支配者になって君が眠れない夜には流れ星を落としたいなんて言う。で、散々そんなことを言って、
青臭い言の葉に込められた愛のすべて
うら若い想いに秘んだ恋のすべて
恋に恋せよ 恋に恋せよ
消しては描き直すような理想の
愛を愛せよ 愛を愛せよ
二人で描き上げた愛を
こう。美しい肯定。
いいんだ盲目で。こういう風に愛されていたいし、こういう風に人を愛していたいわたしは。と思いました。恋は永遠だし愛は一つです、ロマンを失くすくらいなら死ぬ、わたしは。
ちなみにこのあいだ恋人にふざけて「俺のことどれくらい好き?」と聞かれたので「どうしてもそれが必要だって言われたらゴキブリを丸呑みできるくらい好き」と答えたら「おっも…………怖………」と言われてしまいました。わたしももっと美しく人を愛したいです。語彙力がいつもアナーキー。
市榮葬儀/PK shampoo
去年2曲もPKの曲をランクインさせたくせに今年もまだPKの話をしようとしている。
はーーー。良かった。令和1格好良い男、ヤマトパンクス。フルアルバムを出す予定がヤマトがレコーディングをサボりまくり、結局「新曲1曲+既存曲2曲」というクソみたいな内容で発売されたクソみたいなシングルの新曲の方。ばーかばーか酒ばっか飲んでんじゃねえよ!!!!!!と思いながら聴いて膝から崩れ落ちた。もういい。なんでもいい。好きなだけ飲んでくれ。わたしが間違ってた。サブスクにもあるのにシングル普通に買っちゃった。
酒飲んでツイッターして炎上したり、酒飲んで喧嘩して行きつけの焼き肉屋を出禁になったり、なんかそういう姿ばっかり見せられて溜息ついてたけど、わたし好きになる男全然間違ってなかったなと思った。
不正乱視
君が泣いた夜のこと
自販機の灯りみたいに全部教えて
歌い出しがもうキラーフレーズ。なんなの?
ヤマトはいつも終わりとかさよならとかそういうことばかりを意味わからん語彙力を駆使して歌っていて、聴いていて嫌でも切なくなる。
そういえばこの曲を出した時のインタビューで「小さい時に親が離婚したのがトラウマになっていて、女の子でも友達でも、“じゃあね!”っていうのが苦手です。自分が帰るのも、人が帰っちゃうのも嫌なので、とにかく人を帰さずにみんなで意識がなくなるまで飲んじゃったりするんですけど」っていうくだりがあって、心臓がギャッって言いました。ヤマト、酔っ払って寝屋川に落ちてる場合じゃないんだよ…………。
で、歌詞が良いのなんか当たり前なんだけど、相変わらず福島カイトのギターが凶暴。意味わからんところで転調するのにきちんと聴きにくくないところまで落とし込まれている。気持ちいい。福島カイトのギターを聴くだけでないものが勃つ体になってしまいました。だからなんでこんな汚い例えしか出来ないんですか?
去年のnoteに「今なら借金しても行く、ワンマン。」って書いたんだけど、実際2021年、めちゃくちゃ無茶をして大阪まで飛んでワンマンに参戦した。詳しくはこの記事にうんざりするほどの熱量で書いてます。金が飛びました。
そうしてでも観たかったし、ステージの上で歌っているヤマトパンクスにわたしの人生の主人公の座を譲りたくなった。ツアーファイナル、1曲目がこの曲でした。
歌詞の並びもコード進行もギターも声も全部うるさくて全部気持ちよくて全部悲しい。これからも悲しい夜のBGMでいて欲しい。
picnik/ArtTheaterGuild
満を持して今年はこのバンドの話をします。好きすぎてずっと勿体ぶってた。
人に勧めたいバンドはたくさんあるけど、このバンドは大事な人にしか勧めたくないと思って書けずにいた。だけど書かざるを得ない新曲を出しやがった。最高。ありがとう。
17歳の時に出会って以来わたしはずっとthe pillowsというバンドにぞっこんで、どれくらい好きかというと大学4年の秋にどうしても卒業までにコピーしたいという理由でそれまで触ったこともなかったベースを練習して無理矢理コピーバンドを大学祭で披露したくらい好きで、そのピロウズのフロントマン・山中さわおに「全曲俺が作ったことにしたい」と言わしめたバンド。
山中さわおに憧れてバンドを始めて、本人にそこまで言わせる曲を作り、最終的に山中さわおのプロデュースで世に出た。なんだそのシンデレラストーリー。
ピロウズきっかけで知ってまんまと好きになり、4曲入りのEP1枚しかこの世に流通していなかった時から追いかけてきた。そういうバンドの5枚目のCD。の、リード曲。
もうこのnote10月くらいから書き始めてて、この5曲でいこうって決めてほとんど書き終えてたのに、これが11月半ばにリリースされちゃったもんだから慌てて書き直してる。ATG入れないわけにいかない。
一旦書き終えた時にPKの市榮葬儀の締めに書いた「今年も1位でした」って言葉を消してここに捻じ込んだ。この曲のせいで1位を決められなくなりました。
遺伝子レベルでthe pillowsみたいな曲ばかりだったATG、個人的には2019年に出た「鉄紺と黄緑」でややピロウズを抜けてATGらしさみたいなものが確立されてきたと思って(何様?)あの曲が出た時もかなり興奮したんだけど、この曲でそれが確信に変わった。
もうジェネリック山中さわおでもアンチエイジングピロウズでもなんでもないです。ArtTheaterGuildにしか作れない曲になってる。なんかもうずっと聴いてきたから、音スカスカのデモに「良いんだけどこのままじゃ世には出せないから」ってさわおがリミックスしてあげた時からずっと………聴いてきたから………好きなバンドがどんどん格好良くなっていくの見れて幸せだよおれは………。
紆余曲折という4文字では言い表せないくらいのあれこれを携えて32年間ロックを続けてきたピロウズの言葉の重みはもちろん途轍もなくて、そういうバンドだからこそ鼓舞してくれる時もあるけど、今ここからやっていくATGにしか作れない歌があって、そういう歌にこそ共感して帰り道のバスでちょっと泣いちゃったりするわけです。
鉄紺と黄緑を初めて聴いた時「生まれ変わるならもう花になって居るだけで誰かに愛されたい」って歌詞がわかりすぎて指先が震えた。こんな歌詞はさわおは書かない、ああ伊藤のぞみだから書けた歌詞だと思ったらずっと好きでいようって思った。
思って、待ってた。待ってた先に出たEP。最高でした。待っててよかった。これからもずっと好きだよ。
おまけ① 2021年よく聴いたアルバム
『CRYAMY -red album-』/CRYAMY
CRYAMY待望のフルアルバム。
このアルバムのツアーのために福岡まで行ったんですけど、正直微妙で。対バンのw.o.d.の方が良かったまであった。去年の5曲にCRYAMYの月面旅行を選んだくらい好きで、初めて生で見れることになったからすげえ期待してたのに。期待しすぎたのかな。その前の月に観たPKのライブが良すぎたのもあるのかもしれない。あ、でもHEAVENは良かったな。札幌帰ってきてからしばらく聴いた。
でも、アンコールで、ボーカルのカワノがたどたどしく長ったらしくなにか熱いことを話している間、ギターのレイが頷きながらぽろぽろ泣いていて。
すごく純粋な気持ちで「あ、いいバンドだ」と思いました。カワノ毎回似たようなテンションで似たような内容のMCするはずなのに。それ聴いてメンバーが泣くってすごくないですか?同じ方向を向いてるんだろうな、ちゃんと。
CRYAMYは徹頭徹尾ずっとロックです。楽器の音はデカいしボーカルは叫んでるし歌詞は実直。不器用で生々しくて、上手に生きられないやつらの隣にずっといる。そういうバンドです。ライブは正直響かなかったけど、でも、わたしの人生にはもうこういうバンドだけでいいよ。
『愛とヘイト』/ビレッジマンズストア
ロックが好きならこれでイけなくてどうすんだ。通勤バスの中で聴いて、次の曲が流れる度にずっとハ???って言ってた。ハ?ずっとかっけえ。一曲目から最後までずっとドライオーガズム。ありがとうございます。個人的にはビレッジ史上最強のアルバムです。
前述のCRYAMYが着古したTシャツと踵が潰れたスニーカーでロックを鳴らすバンドなら、ビレッジはきっちりスーツで現れて煌びやかなロックショーを披露していくバンド。実際ステージではメンバー全員ずっと赤スーツ。だせえ。最高。
水野ギイのあの凄まじく綺麗な顔に甘い声ではなくチバユウスケ系譜のしゃがれ声を与えたのは神様のファインプレーです。水野ギイ、顔にあぐらをかいてインターネット歌い手マンにならずロックバンドを組んでくれてありがとうな………。
今日も顔が良いね。
『PK shampoo.wav』/PK shampoo
ずっとこの人らの話しててごめん。
さっき市榮葬儀の時に書いた「フルアルバムを出す予定がボーカルのヤマトパンクスがレコーディングをサボりまくり」の、出るはずだったフルアルバムがこれ。結局11月に発売になった。13曲しか入っていないのにトラックを重ねすぎたせいでデータ量が馬鹿になったらしく謎に2枚組。なにそれ。見た目より重たいという点においてはほぼ黛冬優子。そんでもって13曲中12曲が既存曲なんだけど全てリレコーディング・リアレンジ。変態。
轟音なのに切ないってどういうことなんでしょうね。1曲目を聴いた瞬間、音の重なりのあまりの多さに「ハ???」しか思えなくなったし、なんなら家で筋トレしながら流してたんだけど京都線が流れた瞬間に声に出して「え?」って言った。スクワット中に。え?なに今の音。なに?
リアレンジって怖いじゃないですか。やっぱアジカンのソルファも2016年の再録より2004年の初版の方が好きだし、いや、再録は再録で格好良いんだけど、あまりに初版を聴き込んでいたので「ア、違う」みたいな違和感は避けて通れなくて。
PKはどの曲にもあまりに思い入れがあるのでちょっとでも「元のバージョンが良かった」と思わされるのが怖くかった。で、若干怯えながら聴いたんだけど、超杞憂でしたね。来年もこのバンドを聴きながら越える夜を重ねて生き延びようと思います。
おまけ2 今年のアップルミュージック再生回数ベスト10
10位
何度でもいうけどあみの歌声が今のところ人生で一番好き。
9位
ビレッジで一番好きかもしれん。ギターソロで3拍子に変わるところが格好良い。
8位
しんどい日によく聴いたんだけど大抵毎日しんどいから結果9位。相当社畜してたことが窺えますね。歌詞が暗いのに曲調はポップなので、どちらも暗いと引っ張られてしまうくらい辛い日に丁度良かった。
7位
今日はPK聴きたいなって日に絶対1曲目に聴きます。
6位
初めてライブで聴いた時宍戸翼が「お前らクソみたいな恋愛をしたことはあるか?俺はあるよ!」っつってイントロ弾き始めて最高だった。おれもあるよ!!!一生忘れられないと思う。
5位
ふくろうずで一番好き。疲れすぎててもうなにも聴きたくない時もこの曲は聴ける。そういう曲が5位に入るってことは2021年はやっぱり結構疲れてたのかな………。
4位
すごい聴いたなと思ってたけどほんとにすごい聴いてた。
3位
すごい聴いたなと思ってたけどほんとにすごい聴いてた2。
2位
去年は3位だった。まさかのランクアップ。人生ベスソントップ10に入る予定でいる。ゆれるの活動再開、永遠にお待ちしております。
1位
サブスク解禁が嬉しくて超聴いた。11月にライブ観に大阪まで行って12月に札幌で弾き語りも観たんだけど、どっちでもこの曲やってくれた。活動休止寂しいなあ。ずっと待ってるからゆっくり休んで欲しいです。
終わり!今年おまけ増やし過ぎてすごい文量になったな。自己満足すぎる。
みんなよいお年を。そろそろマスク外してライブ行けるといいよね。またね。