もうだめ脱却記 残業代請求編④ 被告と1年近く直接対決した
残業代が出ない会社を辞めて転職することに成功した私は、残業代を請求することを決意しました。
私は弁護士を通じて残業代を支払うよう要求しましたが応じなかったため、私は訴訟を提起しました。
このnoteでは、残業代を払ってくれない会社を退職した私が、弁護士に依頼して訴訟を提起した時のエピソードをご紹介します。
裁判のルール説明―準備書面バトルゲーム
話の前に、第1回の期日(前回の記事)の後、どんな流れになるのかをざっくりと解説しておきます。
今後は、こんな感じの流れで裁判が進んでいきます。
〈第2回期日:被告のターン〉
・裁判所が第2回期日を指定する
↓
・被告は第2回期日までに、自身の主張を「準備書面」にまとめる
↓
・第2回期日になったら、原告と被告が裁判所に集まって被告の主張を聞く
↓
〈第3回期日:原告のターン〉
・裁判所が第3回期日を指定する
↓
・原告は第3回期日までに、自身の主張を「準備書面」にまとめる
↓
・第3回期日になったら、原告と被告が裁判所に集まって原告の主張を聞く
↓
〈第4回期日:被告のターン〉
(以下、裁判官が「議論が出尽くした」と判断するまでくりかえす)
私がやった裁判のルールをカジュアルに説明すると、「準備書面」という、相手への反論や自分自身の主張などをまとめた書類を弁護士に準備させて争う、準備書面バトルゲームでした。
実際に裁判をやってみた感想ですが、裁判はターン制で行う1対1のデュエルみたいな感じでした。遊戯王みたいな1対1のカードゲームや、チェスやポーカーみたいな感覚に少し近いような気がしました。
ただ、裁判は1ヶ月ごとに期日が設定されるので、4月に自分のターンが回ってきたら、5月に相手のターンになり、6月に自分のターンが回ってくる…といった感じで、ゲームの進みがハチャメチャに遅いです。
「裁判は時間がかかる」という話を聞いたことがありましたが、1ヶ月に1回しかプレイしない1対1のゲームなんて、そりゃ時間かかるわなぁと思いました。
長い戦い
上記の流れにそって、第1回期日、第2回期日、第3回期日…と1ヶ月に1回のペースでターンが進み、期日の度に原告側、被告側の弁護士が裁判所に集合しました。
私の弁護士は、相手から提出された準備書面をスキャンしたPDFや、期日に裁判所に行った時の様子をメールで送ってくれました。
弁護士からもらった複数の報告を、カジュアルに要約するとこんな感じです。
・こちらの主張を真っ向から否定しており、話が平行線で全く進まない
・明らかに不当な主張や要求もあって、弁護士史上マジで一番腹が立った
・相手の作った準備書面は、関係ない主張をしている上にまとまりがなさすぎてこっちの準備書面を作るのが大変
・決着までにとても時間がかかる予感がめちゃくちゃする
実際、訴訟を提起してから決着がつくまでにかかった時間は軽く1年を超えました。
裁判中、私は弁護士と打ち合わせするくらいで特に何もすることはありませんでしたが、強いて言うなら心が忙しかったです。
弁護士は、形勢はこちらの方が有利と見ている、と言ってくれましたが、私はなにぶん法律に関しては素人なので確信が持てませんでした。
今の世の中は、分からないことがあればネットで調べれば解決できることも多いですが、裁判はケースバイケースの最たるものですので、私の裁判の結果がどうなるかなんて調べても答えは出てきません。
相手の準備書面を読んで「こんなこと言われてるけど大丈夫かなぁ…」と心配になったり、私の弁護士が作成した準備書面で見事に反論されているのを見て安心したりといったことを繰り返していました。
もう一つの敵
裁判中は、もちろん被告と争うのですが、はっきり言って自分との戦いでもありました。
裁判は長かったですが、その間は被告からあれやこれやといろんなことを準備書面に書かれました(反論の必要がないようなどうでもいいことも書いてありましたが…)。
結果がどうなるかわからない長い戦いの中であれやこれやと言われることで、ネガティブな気持ちになってしまったり、疲れてしまったりすることもありました。
なので相手から何を言われても、自分の主張を最後まで伝えきる強い気持ちを持ち続けることで、私は「心配」や「ネガティブな気持ち」といった、自分の負の感情をコントロールしながら戦っていました。
そして、訴訟提起から1年近くが経過した頃、ついに裁判官から「議論が出尽くした」との判断が出されたのでした。
そして長く続いた戦いは、新たなフェーズへと移行するのでした…。