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PFI事業の難しさ〜1年半取り組んだプロジェクトの話〜

みなさん、こんにちは。
株式会社HYAKUSHOの湯川です。

つい先日、1年半取り組んできたプロジェクト(プロポーザル)が完了(負けて)し、ひと段落したので、これまでの経緯についてしっかりと振り返っておこうと思います。

完全にひとりnote反省会になっています。(面白みない)

背景

このプロジェクトは、PFI事業と呼ばれて、案件の公共施設の「設計、整備、維持管理、運営」までをセットで発注する事業です(通常は、設計だけ、整備だけ、維持管理だけ、運営だけ、となり、個別発注になります)。そのため、「チームアップ」が非常に重要で、各社は誰とどのように組むのか、情報戦、心理戦が繰り広げられます。

過去のビジネス姿勢など総合的な要素が絡み合ってくるので、「あの企業がはいるのであれば弊社はやらない」という状況は普通にあり、パズルのピースをはめ込む感覚があります。

それだけではなく、「勝てるチーム」にする必要もあり、そのためのチームアップも考えていかないといけないため、提案書を作成するまでに勝負が決まってしまうこともPFI事業にはあります。

動き出し

弊社は、当初この事業に参画するのか、どのポジションで参画するのかは曖昧でした。弊社は、行政側のアドバイザーをすることが基本なので、今回は民間側でのプロジェクトマネジメントに入るの普通です。しかし、それだけだとPFI事業自体を回していく業務だけで、地域にバリューを出していく事業に参画することはなりません。そのため、参画するかどうかは迷っていましたが、要求水準書も整理されていない状況であったため、まずはチームアップフェーズとして動くことを決断しました。

しかし、決断という威勢の良い言葉をつかっていますが、後を振り返れば、そんなことはなく、大きな流れに身を任せていったというパッシブな感情であったと思います。この姿勢も後々に少し悪く影響してきました。

チームアップの情報戦

情報の扱い方が丁寧でなかったことは間違いないです。最後の最後までチームアップはうまく進まず、あの会社が入るのであれば、うちは入らないなどの調整が難航し、その間に「あの会社はホテルをつくりたいだけ」などの憶測などが入り、軸を持ってチームアップを進められなかった。

いずれにしても、代表企業の存在と実務的に仕切るマネジャーがセットでいることにより、初めてチームは機能していきます。特に、PFI事業は多くの会社が絡むため、仕切ることの重要性は他の事業に比べて相対的に高くなります。

この点について、運営企業が仕切るモチベーションがあまりないですが、「どこまでプロマネ的な動きをするのか?」は明確な線引きをして臨むべきでした。その点については、意思決定もパッシブであったために、弊社自身の動きも少しパッシブになっていたことは否めません。

運営の提案内容

募集要項が発表されるまでは、「市民活動」が運営事業に入るとはわからなかったため、運営のチームアップと提案は発表されてからでした。

コアな提案内容が定まってきたのは、5、6月頃でしょうか。これは、地元運営チームでのディスカッションが元に作り上げられました。「市民とともに施設も成長する」ための重要な要素を提案内容に盛り込めたと考えています。ただ、この提案内容はもう少し早めに提案できていれば、設計チームとの連携もうまく進んだのではないかと思います。

設計と運営の連携

PFI事業の良いところは、「設計と運営をセットで提案できる」点にあります。裏を返せば、運営を考えた設計が考えられているのかという点が評価にもなります。

その点については、最後までうまく連携できていなかったと感じています。「運営側の意見をもう少し具体化してほしい」というオーダーを幾度となくいただいたが、運営側も明確な施設運営イメージをカチッと持っているわけでもない(ある方が素晴らしい)ため、意見交換をしながら作り上げました。

運営側としての反省点です。

追い込み

ただ、提案書の提出が近づくにつれて、提案内容のブラッシュアップ、具体化などを進める中で、チーム力は高まっていったと思います。それは「リアルで会う」という機会が多かったからだと思います。その機会をどれだけ初期段階につくれるのか、非常に重要な要素でした。

評価について

今回は、提案書169ページ(付属書類除く)とプレゼン時間40分+質疑応答30分での評価になりました。この事業だけではなく、提案書に対する評価をどのように実施するのかは課題があると思います。今回負けたからではなく、提案書を作成しながら、感じたことです。169ページ、細部の文言まで拘って書いていきますが、見る側はそこまで見ているのかと思いながら書いていきます。

「本当に適切な評価できるのか?」と。

私も指定管理者の選定委員をしたことがあるので感じましたが、評価する側が適切にできていない可能性が高いです。例えば、私はまちづくりについては一定の専門性はありますが、文化事業は専門外です。しかし、文化施設の選定委員の場合は、すべての項目について評価しないといけません。本当に適切な評価ができているのかと審査員自体不安に感じます。

まとめ

今回は、チームアップから提案書作成、クライアントの場外点の獲得も含めて、相手チームの方が上手であったと思います。早めにプランを作成し、クライアントに見せて、関心を惹き「ここなら任せても大丈夫」と思わせていくことにより、ポジションをしっかりとつくっていくことはできていなかったと思います。

「最終的にいい提案をすれば大丈夫」

というゲームではないということを早めに理解しておくべきでした。1つずつデットラインを決め、「ここまでには第一次提案内容を作成する」という方針を固め、ポジションを獲得していくことが必要でしたが、それができていなかったです。

感想

「負けて強くなる。」

好きな建築家の方の言葉です。その方も40歳までたくさんコンペで負けてきたと述懐していました。日々、これからも自分自身、会社をアップデートさせていくことを誓わせてもらった案件でした。

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