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環境は別に守らなくていい

こんにちは。百森の田畑です。

ネイチャーポジティブやTNFDの関連で、林業においても素材生産以外の側面が取り上げられることが多くなってきました。そんな中で見かけるのが「環境を守る」という言葉。テレビのニュース、学校の教育、社会活動、ビジネス戦略まで、そのフレーズは至る所に溢れています。この表現は本質を見失わせてしまう側面があるのではないでしょうか。

なぜなら、守るべきは「環境」そのものではなく、あくまで「人類という種の生存」や「私たちが快適に生き続けるための基盤」であるからです。結局のところ「環境」は、これらは人類がいようがいまいが存在し続けるものですし、我々が保全したいという「環境」は、「人類から見て豊かである環境」のことにほかなりません。

つまり「環境を守る」のではなく「人類という種が持続的にかつ快適に生存していくための基盤を守る」と表現した方が、私たちにとって何が大切かをより的確に示せます。たとえば生物多様性を維持することは、人間社会がこれからも豊かな食料や医薬品、資源を得るために必要なことです。中心にあるのは環境ではなく人類です。

しかし、人類は長期的な視点から最適化を行うのが下手クソです。ゆえに、短期的な利を求めて「人類という種の生存」や「私たちが快適に生き続けるための基盤」に害を成すであろう行為をヘーキでやってのけます。結果として「人類から見て豊かである環境」を自らの手で破壊する、という事例はいくらでも挙げることができます。

また、人類は複雑性を受け入れるのも下手クソですし、KPIを変にハックしたがりもします。ゆえに、「人間社会がこれからも豊かな食料や医薬品、資源を得るために必要なこと」として生物多様性をとらえると「じゃあ食料や衣料品、資源に関係する生物だけ保全しようぜ!」みたいな阿呆なことを言いがちでもあります。

ということで、わたしたちが「人類という種が持続的にかつ快適に生存していくための基盤を守る」ためには、そういった長期的視点や複雑性と付き合う能力を獲得しするか、そういうのがどうでも良くなるような圧倒的な技術革新を起こしたりするか、その両方が必要だったりするんだろうなと思っています。難しい。

技術革新の方は正直あんまりよくわかりませんが、林業や森林管理というのは長期的視点や複雑性と付き合うための訓練をするには面白い場所だと思っています。植えてから育つまで50年とかかかりますし、絡んでくる要素や関係者は(ちゃんとやれば)めちゃくちゃ多いし。

一緒にやりませんか。




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