#99 出雲蒸され旅(4) 神々の地に雨が降る
爽やかに目覚め、朝からサウナの蒸気と水風呂で身を清める。ドーミーの売りである朝食を堪能。うまいですなあ。荷を預けチェックアウトし、今回の旅の最終目的地へ向かう。
神在月を間近に控えた出雲大社は、冷たく静かな雨に濡れていた。
荘厳とも壮麗とも少し違う威容さを備えた佇まい。気高さの中になんとなく親しみやすさのようなものも感じる。山の霊気のようなものが漂う。大気の清浄さと言い換えてもよい。聖地を五感で味わう。
社では、無心に祈り続けた。無心に祈る、とはよく考えるとおかしな言葉だが、ひたすらに祈念したように思う。そんな高揚感に包まれる場でもある。
妻に頼まれたお守りなどを授かる。須佐之男命と大国主命にゆかりのある、生弓生矢はぜひ授かりたいと思っていた。旅の予習を兼ねて先般読み終えた「水木しげるの古代出雲」(角川文庫)でバックグラウンドを概ね予習しておいたのはよかった。
雨にたたられた、と感じなかったのは、濡れてなお輝く大社の威厳ある佇まいと、ドーミーインで借りた傘のおかげか。とても助かりました。ドーミーさんありがとうございます。
ビームスジャパン出雲でおもちゃの木刀などを買った。会社のロッカールームで、合気道の剣の動作を確認するにはちょうどよい。そんな目的で買う人もいないだろうけど。
出雲縁結び空港から羽田へ。おもちゃの木刀は手荷物にしたら問題があるような気がして、機内持ち込みサイズのキャリーケースに入れて預けることにした。
機内から見下ろす都会の夜景は美しい。羽田から浜松町、都内への移動ではすっかりくたびれた。帰宅すると、実家から一足先に戻っていた妻と8日ぶりに会えた。妻は満面の笑顔で迎えてくれた、と書きたいところだが、普段通りだった。
妻の実家滞在はもっと長くなるかもしれないと思っていたが、義親の手術も退院も順調だったとのことだ。本当によかった。
妻に土産話をしたかったが、また次がある。たくさん撮った写真も見せることをせず、また必ず行こう、ということだけを話した。概ね楽しい旅だったが、次はもっと楽しいだろう。