20241016 朝露の日(走ることの考察から)
走ること
考えたところでそこに何か答えが転がっているわけでもない。人生の縮図でもなければ、ましてや人生を豊かにしてくれるものでもない。ただ走っている。それだけだ。
そんなことはこれまで嫌という程考えてきた。もちろん人それぞれ考え方がある。走ることは人生を豊かにしてくれると考える人もいるだろうし、走ることで暗闇に光が差し、生きる目的ができたという人もいるだろう。
それでも走ることについてふと考えてしまう時がある。今朝も気づけばまた少しそんなことを考えてしまっていた。
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ひとりの少女が森にいる。
「今朝はどうしたのかしら。分かった。まだ暗いからみんな寝ているのね。」
そう言っていつもの切り株の上に腰掛ける。少女の周りには色とりどりの花が咲いている。昨夜からの急な冷え込みで、花弁には小さな雫が張り付いている。それらをゆっくりと吟味しながら花かごに入れていく。どうやら彼女には彼女なりのルールがあるようだ。
「ほら、いらっしゃい。」
すると一匹のリスがどこからともなく現れる。うまく聞き取れないが、キュッキュッキュという声で何かを彼女に伝えている。
「分かったわ。でもね、もう行かなきゃならないの。さぁあなたもこの露で顔を拭いたげる。ほら、これであなたも美人さんになったわ。」