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不登校中学生が最難関高校を目指す話①

こんにちは、PebyStyleの米倉です。

気が向いたときに教え子についての連載記事を書いていこうと、ふと思い立ちました。

どこまで続くか分かりませんが、お付き合い下さい。

僕が学習塾で働いていた時代の、ある卒業生の話です。

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彼女は中学2年生の頃、僕らが運営する学習塾にやってきました。

彼女はある病気がきっかけでなかなか学校へ行けず「勉強についていけなくなると余計に学校へ行きにくくなるだろう。」という事で、お母さんと一緒に塾にやってきました。

学習塾に通う目的は、大きく2つあって「受験」と「補習」です。

多くの学習塾は「受験に合格する」というゴールに向かいながら日々の「学校の補習」も同時に行っていますが、彼女の場合はほとんど「学校の補習」だけが目的だったので、クラス授業ではなく個別授業をおススメし、学校の勉強を1から丁寧に進めていきました。

最近子どもの数は減っているのに、不登校と呼ばれる子の数は毎年驚くほど増えているのですが、不登校にも色々なパターンがあります。

彼女の場合は「行きたくない」ではなく「行きたいけど行けない」という複雑な状況でした。

彼女にはぼんやりとした夢があり「映画をつくったり、ミュージックビデオをつくったり、映像作品の監督をやってみたい」というもので、たまに彼女のつくった映像についても塾で話したりしていました。

勉強の方はというと、要領がよく、反復を嫌がらない子だったので、個別で指導していると、何でもあっという間に吸収してくれました。

入塾当時は偏差値は50以下、平均点を取るのも難しい状態だったのですが、少しずつ理解を深めていってくれました。

テストなどを受ける機会は少なかったので、本人は学力が上がっている意識はあまりなかったかもしれません。

勉強の方は順調だったのですが、体調はまだ万全ではなく、学校へも行けたり行けなかったり。多くの日は保健室登校をしていました。

ですが彼女の中で、勉強が少しずつ理解出来るようになり、心の中も変化していくように感じました。

「他の子と同じように受験をしてみたい」

そう考えるようになっているのを感じました。彼女は口には出しませんが。

お母さんはもちろん、頑張って受験していった学校に彼女が通えるかもわからないし、受験期に必死に勉強すると体力的にも心配なので「定時制や、家の近くの私立に行って欲しい」という意見でした。

同じ塾で働く他の講師たちも「現実的ではない」と。

何度もお母さんと面談を交わしたのですが、本人が希望しているであろう「普通の受験」というのは、なかなかハードルが高く「一緒に目指すことすらできない」という自分の無力さに悩む日々でした。

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