不登校中学生が最難関高校を目指す話④
地方の公立高校の地域トップ校に合格するためには「本番でミスをしない」ということが、本当に大切です。
ナツがエリアのトップ校を目指すと決めた何日か後、授業中に「集中」について改めて話しました。
「よく『集中しなさい』という話を聞くと思うんだけど、そもそも『集中』ってなんだろう?」
「1ヵ所に集めること?」
「うん。そうだね。小学生の頃、太陽の光を虫メガネで集めて、段ボールを燃やしたでしょ?あれが『集中』という言葉を説明するときに1番分かりやすい。」
「太陽の光で火事が起きました。ってニュースは聞いたことないでしょ?もともと太陽光には、段ボールを燃やすほどの力は無いんだ。普段は『分散』してるからね。でも『集中』して1ヵ所に集めるだけで、力が一気に倍加して、段ボールを燃やすほどの力が生み出される。」
「人間は1日に6~7万回くらい何かを考えてるんだって。例えば、その7万回のうち 10回が勉強のことで、69990回がゲームの事だったら、どうなりそう?」
「ゲーム開発者になれそう!」
「じゃあ70000回の思考が全て、志望校に合格することだったとしたら?」
「どんな学校にだって合格できそう!」
「うん、そうだね。現実的には家族の事、友達の事、好きな人の事、好きなアニメのこと、ゲームの事、嫌いな教科のこと、と色んなことを考えちゃうのが人間だから、どうやっても分散しちゃうんだけど。でも、1ヵ所に集めるのは難しくても、回数を増やすことは出来るよね?」
「受験を好きになって、受験に一緒に熱中しよう。日常を過ごす全ての時間で、気付けば勉強のこと、合格のことを考えている。って状態が作れたら、日々の行動が自然と合格に向かうんだよ。『分散』してるときは想像も出来ない様な力が『集中』するだけで生まれるから。」
ここから彼女たちは「常に本番を意識して」勉強に取り組むようになります。
模試はもちろん、日々の授業での演習や自習などの勉強時間を「勉強」ととらえるのではなく「本番のための予行練習」だと捉えるようになったら成長も早いんです。
「入試では、この項目はどんな風に問題になるんだろう?」
「この問題が本番で同じように出てきたとき、自分は解けるかな?」
特にナツは、大好きなおもちゃを与えられた子どものように、嬉しそうに受験に熱中しました。
まだまだ、それでも同じ学校を目指す他の子達には、模試の結果も演習でも及びません。
それでも気にする様子も落ち込む様子もなく、ひたすら合格だけを見て楽しそうに学んでいました。
普通の中学生は、なかなかそこまでの意識を持てないのが実態です。
たとえば数学の問題で計算ミスをしたとしても「あ、次から気をつけなきゃ」くらいしか思えません。そして次もやっぱりミスを繰り返します。
しかしナツは
「これがもし本番だったら、このミス1つで落ちてたよね!セーフ!!」
「この類似問題、反復したいんだけどプリントある?」
と「本番の為」という位置付けが明確なんですね。
これは、一流のトップアスリートにも共通する精神性です。
どんな些細な練習でも、常に本番のための練習だということを忘れない。
常に本番を意識して練習するというスタンスが、彼女を合格へと近づけていきました。