見出し画像

10月2日、3日 森の芸術祭 晴れの国・岡山

とある業務に関わる視察として、岡山県北で開催中の「森の芸術祭 晴れの国・岡山」を尋ねる。
1泊2日で全て回るのは無理だが、それでもかなり見た。

まずは、キム・スージャによる、旧津山扇方機関車を使ったインスタレーション。
津山地域の歴史を踏まえた象徴的な作品と想定していたが、ガラス窓面への介入だけで、スペクタクル性は抑えめだが期待通りの作品。

そこから、津山市内無料巡回バスにのって、城西浪漫館へ。
まず「森芸」ではないが、近隣のNISHIIMA25の展覧会をお休みながら事前にお願いして見学。
そこから、作州民芸館~城西浪漫館~津山城~城下スクエア~つやま自然のふしぎ館~衆楽園~PORT ART&DESIGM TSUYAMAと、津山市内は基本的に、市内循環バスを利用。

場所により、作品が要請する(と思われる)鑑賞時間と、バスの運行間隔で多少のズレはあるが、おおむねストレスなく移動が可能。


それに、いずれの施設も、これまで訪問したことがあるが、今回の事業のために、日頃は物品が多くゴチャゴチャした空間が、いずれもきれいに片付けられ、建築空間本来の特徴が良く引き出されたうえで作品が配されている。素晴らしい&見習わなくては。

衆楽園。リクリットの空間は、お弁当がなくても、素晴らしかった!
衆楽園。太田三郎さんのお仕事はいつでもチャーミング。今回は「鶴亀算」が吸引力。

きっと、ほうぼうで展示の写真もUPされるだろうから、私は控えるが、私にとって重要なのは「津山にはじめて泊まったこと」。

なにしろ、家から車で2時間かからないし、もしこのあたり泊まるとなると湯郷温泉とかに行ってしまう。
今回は、お仕事視察ゆえ、津山に泊まらなくてはならなかったが、これが楽しかった。
ホテルには、かなりの人がいて、県外ナンバーの駐車も多い。

夕食は市内でしたが、思わぬ味覚に出会って満足。

そして、街には稲葉さんの盛り上がりの痕跡が多数。
やはり泊まってみないとわからいことも多い。


翌日は、JR津山~奥津振興センター~奥津渓~GREENABLE HIRUZEN~満奇洞~井倉洞と巡るバスに乗る。

 広域にわたる移動であるが、上記各所は、いずれも区間500円(キャッシュレス決済)で乗車できる。
 各所の出発時間も、作品見学の時間を確保できるダイヤとなっているので自家用車がなくても効率よく回遊できる。でも、いささかバスの時間を気にしながらなので早めの鑑賞になりがちなのは、自分のメンタルとの戦い。

 他にも、ツアー形式のプログラムなどもあり、津山市内の無料循環バスも含めて、移動インフラについては、初回にしては良く準備されている印象。



 総合キュレーターが安定の長谷川裕子さん(金沢21世紀美術館館長)ゆえ、全体のバランスも整っており、また展示作品の大半が、建物や鍾乳洞など既存資源を生かした作品となっていることが大きな特徴。
 作品の質はいずれも十分担保されている。

奥津振興センター。中に樹木があるので、成長と共に姿が変わります。
GREENABLE HIRUZEN。いくつかの室内展示も良作が多かったです。


 ぜひお勧めしたいのは、満奇洞、井倉洞の二つの鍾乳洞。
 大原美術館で実施するARKOでも、こちらをリサーチした作家は多いが、どちらも既存の(変な)照明や案内看板を撤去しただけでも、嬉しい。
 そのうえで、満奇洞は蜷川実花、井倉洞は、アンリ・サラなので、鍾乳洞の空間(広がりに湿気に温度に音に)を活かした素晴らしい作品となっている。正直、ずっとこのままで良いのでは、と思う。

 満奇洞では、照明と音響が全体に施され、メインとなる空間は、マスメディアでも露出の多い彼岸花のインスタレーション。
 こちらは、私の身長だと、洞内の半分くらいは腰をかがめているような感覚だが、伏せた目を上げた際のシーンが次々と変わってくる。

入る前から、彼岸花。
どうやって設営したんだろう~とか考える前から、堪能。


 一方、井倉洞では、全ての既存照明を使わず真っ暗にしたうえで、観客がリュックサック型のスピーカー&手元灯を一体化させたシステムを背負って洞内を巡る。
 今回、このシステムをアーティストチームのエンジニアが新規に作り上げたそうだが、リックを背負った際の位置、人数とリックの数の割合、前後の観客の間隔まで、細かく作家が指示し、開会当日は、アンリ・サラが、日がな入場までのオペレーションを確認、修正したという。

そうした作品ゆえ、洞内の写真をとっている余裕はありません。


でも、井倉洞 いつもの絶景

初回は、設営まで、そして会期中の運営と、ほんとうに大変だろうが、ともかく無事に完走することを願わずにはおれない、関係者の尽力と、作品のクオリティーでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?