第9回 ゆきの好きな映画「イブの時間」補足
*この記事は「劇場版 イブの時間」のネタバレを含みます*
第9回の配信でゆきの好きな映画として「イブの時間」を挙げさせていただきました。
ですが、あまりにも言葉にならなかったので、悔しさから今力をこめてキーボードを叩いています。
なんとなくのあらすじや、ちょっとしたネタバレは番組内でも喋っているのでそちらを聞きながら、ぜひこの記事を読み進めてくれると嬉しいです。
さて、イブの時間ですが、2008年にインターネット上で公開された各話15分で全6話のアニメーションです。
2010年に全6話を編集した”完全版”として「劇場版イブの時間」が公開されています。
今回僕が喋ったのはその劇場版の話です。
家事用アンドロイド(ハウスロイド)が一般家庭に普及している世界で、アンドロイドの頭上には例外なくホログラムのリングが表示され、無表情で人間に奉仕しています。
主人公の高校生リクオは所有する「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのないログを見つけ、GPSを頼りに「イブの時間」という喫茶店にたどり着きます。
そこでは『当店では人間とロボットを区別しません。』というルールが掲げられていて、店内にいるアンドロイドはホロリングが消え、人間と何ら変わらない見た目なので、自分と友人以外誰が人間で誰がアンドロイドかわからない。そんな中で垣間見える人間関係(アンドロイド関係?)に触れていく作品です。
必ずしも一方から見えているものが真実なのか?
前述したとおり、この世界では当たり前のように人間はアンドロイドを家電として扱います。
なので、荷物を届けに来たアンドロイドに対して「ありがとう」というのは不自然で、”ドリ系”と呼ばれるアンドロイドに精神的に依存する人々としてからかわれる始末。
ルンバにありがとうって人前で言ったらきっと気味悪がられますよね。
そんな感覚です。
知れば知るほど”ドリ系”よりな考えになっていくリクオと、ハウスロイドは家に居ないがロボットに詳しく、かつ懐疑的な友人マサキ。
そんな二人を中心に、それぞれのアンドロイドが、人間が相手とのコミュニケーションというものに、この作品では重きを置かれています。
主人公たちはこんなロボットも人間も入り混じる喫茶店に居て、はきはき明るく誰とでも喋る人間味溢れるアキコちゃん。
そんなアキコちゃんにマサキはなぜここに居るのか聞いてみる。
するとアキコちゃんは、
「見た目がそっくりだけど、中身は全く違う。
そんな相手のことを知りたい、わかってあげたい」
マサキはそんなセリフを聞き、アキコちゃんをドリ系と確信します。
後日、主人公達が”ドリ系”と思っていたアキコちゃんがリクオ達の後ろをすれ違っていきます。
そう、頭上にホロリングを表示させて。
人間→アンドロイドの気持ちだと思っていたのが、
アンドロイド→人間だったんですね。
家電として扱われるアンドロイドが、見た目そっくりだけど中身が全然違う人間に対して、あなたは私のことをどう思っているの?
あなた達のことをもっと知りたい。
という気持ちだったんです。
それぞれのアンドロイドに、人間に、物語があって、
凝り固まった考えに支配されているのは、
未知に対しての恐怖や不安で関わろうとしないのは人間ではないのか。
様々なアンドロイド模様に触れ、そうやってリクオとマサキの二人は段々とその心情を変化させていきます。
映画を見ていると半分くらいはアンドロイドなのに、まるで何一つ変わらない人間達の話にみえてきます。
アンドロイドはAIでしかないのによっぽど人間らしい。
むしろ人間よりも純粋に相手を想っているようにも感じてきます。
人間はどうしても立場や性別、環境などによって感情に濁りが混じってくるように僕は思います。
でもそれを取り払って、純粋な気持ちで相手と向き合い、
自分の目線だけでなく相手のことを知りたいと思いやる気持ちが大切なのではないか。
そんな当たり前といえば当たり前の話をきちんと表現してくれる優しい作品です。
辛いとき、人間関係に悩んでいるときにこの映画を見ると、
自分を、そして相手を大事にしよう。
わかろうとしてみよう。
そんな気分にさせてくれます。
そしてコーヒーが猛烈に飲みたくなります。
ナギさん!僕にイブレンドひとつ!!
特にこの作品は視線、音にこだわりがあり、
時折キャラクターの視線の動きのシーンがあったり、
扉の向こうの話し声が本当に扉の向こうから聞こえるようだったり、
店内がフル3DCGな為、細かい描写や、どこからでも店内を映せる細かさがあります。
2008年と少し古い映画ではありますが、今見ても全然見劣りしない作品です。
声優さんも恐ろしく豪華なので声優好きな方も是非楽しめると思います。
その辺の声優話もポッドキャストで少し話しています。
声優さんの表現力ってすごいですよね。
細かい設定や世界観が作品を邪魔しすぎない範囲であらわされているので、ファイルが表示されているシーンは、一時停止してちゃんと読んでみると、大事なことが書かれていたりします。
もちろん劇場版ではおまけの世界観みたいなものなので、見ても見なくてもさほど支障はないので大丈夫です。
劇場版で言いたいのはそういった細かい描写や設定詰め込みの難しい作品ではなく、あくまでコミュニケーションに重きを置かれています。
深堀りしようと思えばいくらでもできそうな作品って感じですね。
そして今回ED曲について話した”Kalafina”さん。
そんなKalafinaさんを手掛けていた梶浦由記さんが、収録後に、
FictionJunctionの2022年に新アルバムに参加してくれる新歌姫のオーディションを開催することが決定しました。
KalafinaのHikaruさん(現H-el-ical//)のようなオーディション出身歌姫が生まれるのが楽しみです。
今回話したのは、
イブの時間
スカイ・クロラ
マルドゥック・スクランブル
です。
どれも2008年のちょっぴり味のある作品です。
僕の好きな作品はどれもこれも心の有り様を見つめるような作品ばかりですね。
そういう好みからも自分が求めてるものは興味がある事を知れて面白いなって思います。
イブの時間、スカイ・クロラはAmazonプライムビデオで見ることが出来ますので、よろしければ是非。
※マルドゥック・スクランブルはAmazonプライムビデオではありませんでした。
見て損はありませんので、レンタル等して見てください。
これを読めばもっとちゃんとした話になったんじゃないかと思いましたが後の祭り。
前回のアドベントカレンダーに参加する為の記事で書くことが僕の中の候補に浮かんできました。
ポッドキャストとnoteと活用しながら、
言いたいことを声で、文字で、あなたに向けて発信していけたらと思います。
今回も長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございました。