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対話を諦めてきたツケ
今日夫が焼き鳥丼を作ってくれた。
焼き鳥丼の仕上げに、きざまれた韓国のりをかけて。
私はのりをかけて食べるのが好きじゃないが
作ってくれた手前、ありがたくいただいた。
食事も一段落して、少し会話をしていたら
夫が新入社員の教育係を何年もしているという
話になった。
私「また教育係しているの?あなたはいつも何手か先を読んでフォローしてしまうからね。」
夫「今回は大丈夫だよ。ちゃんとやりすぎないように考えている。」
私「さっきもあなたは良かれと思ってのりをかけたけど
苦手な人もいるから出来れば聞いてほしかった。」
夫「まずはありがとうでしょ。根本的に人として終わってる。俺は作ってもらったものには文句を言わず、必ずありがとうを言っている。」
私「そうだね。でもおとといの鍋も作ったけど食べなかったよね?私が作ったの食べないこと多いけど何で?」
夫「文句を言わないかわりに最初から食べない。」
私「作ったものを食べないのは失礼じゃない。傷ついているんだけど…」
「作った料理の改善点を伝えることもダメなの?」
夫「それなら最初から食べなきゃいい。子どもたちが食べればそれでいいから。」
そこで会話は終わった。
ドラマ「カルテット」の唐揚げ事件を思い出した。
夫はいつも自分がやってもらって嬉しいことを、
良かれと思ってやってくれることが多い。
私は好き嫌いが多く、こだわりが強いので、
下手したら良かれと思って添えてくれた付け合わせでそのお皿のもの全て食べられなくなることもある。
カルテットでは、
唐揚げにレモンかけますか?と確認せずかけること。
レモンかけますか?と聞いたら断れない空気になることが問題になっていた。
なので高橋一生たちは
「レモンありますね」「レモンありますよ」と存在を確認するのが正解という方法をあみだした。
今までここまで夫と対話をしてこなかった。
夫は私のご飯を食べないことが多くあった。
「あとで食べる」と言って結局食べないことが多かった。
私を傷つけないためだったのかもしれないけど
食べてもらえないことに相当傷ついてるんだけどな…
私はこれからも我慢したら良いのか。
夫のように最初から食べないと選択したら良いのか…
なんだか迷ってしまうな。
確認することって、好き嫌いのない人にとっては
理解が難しいんだろうなと思った。
そしてやっぱり私は面倒臭い奴だなと再認識した。
真っ黒な中に一つ消えては浮かぶ吐息よ
冷たい闇夜は僕の願い飲み込み匿います
真っ白な息がいまもっとも無垢な本音と
悴んだ声でなにを歌う?嘘でも本当でも
好きとか嫌いとか欲しいとか
気持いいだけの台詞でしょう
ああ白黒付けるには相応しい
‥滅びの呪文だけれど‥
真っ新な子供時代教科書を暗記していれば
正解不正解どちらかを選べると思っていた
ト書き通りに生きている自分
アドリブには慣れていない癖
云いたいこと溢れ出し姦しい
‥君の前だけだけれど‥
手放してみたいこの両手塞いだ知識
どんなに軽いと感じるだろうか
言葉の鎧も呪いも一切合財
脱いで剥いでもう一度
僕らが出会えたら
好きとか嫌いとか欲しいとか
口走ったら如何なるでしょう
ああ白黒付けるのは恐ろしい
‥切実に生きればこそ‥
そう人生は長い、世界は広い
自由を手にした僕らはグレー
幸福になって、不幸になって
慌ただしい胸の裡だけが騒ぐ
‥おとなは秘密を守る‥